2008年世界レコード産業の実績 | ポップ・ミュージックのトリコ

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流行音楽を聴きながら、人生を音楽で豊かにしたいと願う、私的でミーハーなブログです。

やや旧聞になりますが、IFPI(国際レコード産業連盟)が世界の08年売上実績を公表しました。
報告によると、世界レコード産業の売上は、パッケージ売上で前年比15%減となる138億ドル、配信による売上は前年比24%増となる38億ドル、合計176億ドルで前年比9%減とのこと。
音楽配信による売り上げは引き続き躍進していますが、パッケージ売上の減少を補うことはやはり難しかったようです。

国別で見るとトップ5は相変わらずの5国。 
1位 米国(07年:61億ドル⇒08年:49億ドル)世界市場シェア28%
2位 日本(07年:40億ドル⇒08年:40億ドル)世界市場シェア23%
3位 英国(07年:18億ドル⇒08年:17億ドル)世界市場シェア10%
4位 独国(07年:16億ドル⇒08年:15億ドル)世界市場シェア9%
5位 仏国(07年:11億ドル⇒08年:10億ドル)世界市場シェア6%

あいかわらずこの5国で、世界レコード産業売上の4分の3強を占めています。

日本がわずかながら前年実績を上回り、ほぼ横ばいの推移であることを除いては、主要マーケット各国は軒並みダウン傾向が今年も続きました。
特にトップの米国の下落には、深刻なものがあり、パッケージ売上(ほぼCD売上と同義)は前年比31%減の31億ドル。2位の日本が前年比4%減の32億ドルに留まったことから、世界で一番パッケージ音楽を売る国に日本が躍り出たことになります。
さらに米国は配信実績を入れても前年比20%減。米国を除いた世界レコード売上実績では前年比4%減であることから、米国の売上減少によって前年比ポイントが5%も下がっているという状況が浮かび上がります。
米国では年末商戦が小売業に与える影響が甚大であることが知られ、音楽もまた、その影響を強く受ける商品なのですが、ちょうどそのタイミングでサブプライム問題に端を発した不況が重なってしまったのが大きく響いています。
日本でもこの不況の波は他人事ではないのですが、年間を通じて、数度の売上のピークを作る日本のレコード業界は、年末の大パニックの前にある程度の売上を確保していたのも幸いし、前年を超える結果をこの時勢に残せました。
さすがに米国も今年の年末商戦はここまで数字を落とさないとは思いますが、それでも日本が世界市場トップシェアになる事態も視界に入ってくる段階になってきました。
とはいえ、日本も2005年をピークに人口は減少に向かっていますし、高齢化も世界最速で進行しています。
レコード産業は戦後世界的に若者向けにマーケットを拡張してきましたから、受けるダメージもどんどん大きくなります。
どこかに「産めや殖やせや」といわんばかりの時代錯誤なことをいう人もいましたが、国際社会における”日本人”の存在価値を維持するためにも急激な人口減少はよくありませんし、税収、社会保障の観点から見ても、移民の受け入れなど”純日本人”にとらわれない形での国力を損なわない努力は国民ひとりひとりに必要だと思います。
”顧客は嘘をつかない”というのは有名な言葉ですが、ここでいう”顧客”とは”お客様”と同義ではありません。”よく買ってくれるお得意様”といった意味です。その意味で、マーケットの存在価値を落とさないことは、世界の市場での存在価値を落とさないことにつながります。

ここでは音楽のことに特化していますが、”歌は世につれ世は歌につれ”、世の中の事象の写し絵として音楽は存在します。ほかのどの産業と言えどこの法則には抗えないでしょう。
中国やインドが日本を通り越して注目されているのは、この人口をバックボーンにした大きな市場が期待されているからです。
日本は、ばらまき政策や核抑止力でこの状況を打開しようとしていますが、本当に必要なのはマーケットの維持、拡大でしょう。これによって日本が”大きな市場”という外交カードを堅持することが得策だと思います。

かつて中国は宋の時代に北方を攻め取られ、多くの人民は南へ逃れ南宋の時代を迎えました。
北方の国、遼に贈り物を毎年行うという屈辱を受け入れながらも、文化・経済は北宋の時代を引き継ぎ大きく発展しました。
日本もまた、米ドル国債を受け入れ、資金援助も大盤振る舞いの宋のような体制で戦後の時代を歩みました。そして文化・経済の大きな発展をもたらしました。
国民の求めるものは、貧しさや貧困にあらざる方向への社会の発展。

そしてそんな思いや願いがリズムとなって音楽をいつも素晴らしいものにし続けているのだと思います。