日本の団塊の世代のように、米国も出生数が高まった世代がありました。同じ年齢層の人間の母数が増えるということは、同じものでもそれだけ需要が増えるということ。米国の音楽産業の発展もこのことと無関係ではありません。
米国の戦後最初の出生数の上昇は日本よりもずっと長い間続きました。そのピークも1957年ですから、戦後から約10年間以上も上昇が続いたことになります。この世代はベビーブーマーと呼称されています。音楽の主たる消費者として、若者世代が早くから開拓されていましたから、この時期ものすごい数で子供の世代の人口が増えたので、音楽業界はうなぎ登りの成長を遂げていきました。ロックンロールの流行など、この世代の果たした役割は果てしなく大きいのですが、特に人口のピークを迎えた1957年生まれのあたりを中心に、この世代の流行について見てみます。
①"The Letter"Box Tops(1967)
ベビーブーマーの登場はロックンロールの誕生にも寄与しているわけですから、この世代の登場はベビーブームのまさに終盤、すでにトップ集団が作ったロック文化がすでにこの世にあるところに生まれてきたという意味では遅れてきた世代と言えるでしょう。そんな彼らが最初に触れた音楽といえば、やはりこういう音楽だったと言えます。ビートルズ、ストーンズ、と言われるとちょっと古いなあ、と感じた最初の世代です。
②"To Sir, with Love"Lulu(1967)
当時としては異色だった売れっ子の黒人の俳優、シドニー・ポワティエの主演による映画の主題歌。黒人教師という当時としては異例の配役。異色の40年経つと大統領が実在するのですからこういう映画の存在も大きかったのではないでしょうか。
③"Incense and Peppermints"Strawberry Alarm Clock(1967)
サイケデリック!!!
この世代の一つの特色。
④"Green Tambourine"Lemon Pipers(1968)
これもサイケデリック!!!
60年代の末期を象徴する音楽ですね。
⑤"Harper Valley P.T.A. "Jeannie C. Riley(1968)
PTAなんて言葉がこの頃からあったのですね。そんな教育ママをちょっと風刺した作品。これがいまではモンスター・ペアレントへ進化。時代が変わると親のあり方も教師の立場も変わるものです。
⑥"Crimson and Clover"Tommy James & the Shondells(1969)
これもサイケデリック。個人的にこのバンド好きなんです。ナヨ声のボーカルながらカッチョエー。
⑦"Sugar, Sugar"Archies(1969)
海を越えて英国でも大ヒットした曲です。爽やか~。
⑧"I Want You Back"Jackson 5(1970)
この世代にとってまさに同世代のシンガーであるマイケル・ジャクソンがリード・ヴォーカルのグループ。
スプリームスやマーヴィン・ゲイを「古い」と感じる世代が自分たちの時代を代表するアーティストとして選んだのはジャクソン5でした。
⑨"Venus"Shocking Blue(1970)
⑩"ABC"Jackson 5(1970)
⑪"American Woman"Guess Who? (1970)
堀内孝雄(もしくはバート・レイノルズ)のような容姿のヴォーカルですが、カナダ出身のスーパーロックグループ。ランディ・バックマンのギターもかっこいいです。
⑫"The Love You Save"Jackson 5(1970)
ジャクソン5の曲のなかでは特にお気に入りのナンバー。
⑬" (They Long to Be) Close to You"Carpenters(1970)
いまだ日本でも人気を誇るカーペンターズ。エヴァーグリーンなサウンド。
⑭"Ain't No Mountain High Enough"Diana Ross(1970)
ソロとなって新しいスタートを切ったダイアナ・ロス。ゴージャス。
⑮"I'll Be There"Jackson 5(1970)
⑯"I Think I Love You"Partridge Family(1970)
テレビ番組から生まれた架空のファミリー・バンド。
爽やか~。
⑰"Knock Three Time"Dawn(1971)
トニー・オーランド率いるドーンのヒット曲。いかにも70年代らしいサウンド。
⑱"One Bad Apple"Osmonds(1971)
ジャクソン5の成功を横目にそっくりな白人ファミリー・グループも登場。
⑲"Want Ads"Honey Cone(1971)
これまた70年代らしいサウンド。
⑳"You've Got a Friend"James Taylor(1971)
シンガー・ソングライター・ブームの中でも当時23歳とかなり若い存在だったジェイムス・テイラー。
ギター片手に歌う姿がセクシー。
この世代はやがてハイティーン~20代と成長するに従って、空前のディスコ・ブームとアリーナ・ロックを産み出しレコード産業の輝ける黄金期を産み出しました。そしてやがて彼らの音楽への熱狂が終わった1970年代末期以降、米国のレコード産業は一気に停滞期に突入します。