女性アーティストのアルバムベスト15 (上級編の④)  | ポップ・ミュージックのトリコ

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ポップ・ミュージックのトリコ-MiseducationofLaurynHill
『The Miseducation of Lauryn Hill』Lauryn Hill(1998)

フージーズのローリン・ヒルがソロ作をリリースという話題性もあって、世界からの注目が集まる中作られた本作は、商業的に成功しただけでなく、芸術的な評価も非常に高いものでありました。1998年は90年代において、とても重要な年でした。90年代的な音楽の集大成がなされ、ヒップホップとR&Bの垣根がなくなり、その音楽がポップ・ミュージックの最も流行の最先端を行く時代がいよいよ絶頂期を迎えていました。

"Lost Ones"
アルバムのイントロが終わった直後にはじまる一曲目。非常にハードコア目のトラックに、ローリンの乗せるラップもかなりハード。

"Ex-Factor"
ローリンのすごいところは、ラップもできるが歌も歌えるところ。ソウル・ミュージックがかつて持っていた熱い情熱を現在に蘇らせるような歌唱。これが当時22歳だった彼女から出てきたものだという驚異の事実。

"Doo Wop (That Thing) "
歌えるローリンとラップできるローリンの魅力が融合した彼女ならではの1曲。
ここでも彼女はヴィンテージなソウルの魅力に最大限の敬意を払いながら、ヒップホップがソウル・ミュージックの系譜に属するブラック・ミュージックの枠組みにあることを証明して見せました。

"Can't Take My Eyes Off of You"
あくまで「ボーナス・トラック」という扱いですが、こんなカバーもこのアルバムには入っています。
アルバムが全体としてハード目な内容だけに、食後のデザートのようにこの曲が機能しています。
私は個人的にこの曲の配置が気に入っています。

このアルバムの成し遂げたことはあまりに多く、奇跡に近いものがありました。
さて、このアルバムが発表されたあとのローリンですが、10年以上経った今も、まだフル・アルバムが出ていません。

ちょくちょくライブに参加したり、スタジオに顔を出したり、みたいなことはあるものの、もう新しいアルバムは出ることはないのでは、と思っています。
私は彼女がこのアルバムを作るのに、本当にすべてを注ぎ込んだ結果、それまで蓄積してきたものを何もかも放出したのだと思います。
しかし私はそれでもいいと考えています。
この彼女の一世一代の作品がCDに封じ込められて、永遠にきらめき続けるからです。