個人的に60年代から最近興味が移りつつある50年代の音楽を取り上げます。
50年代は”ロックンロール”という音楽、そしてティーンズのライフスタイルを定義する新しい価値観がDJアラン・フリードによって広められました。ロックンロールは黒人のスラングで”セックス”を意味する隠喩としてもともと機能し、ドゥー・ワップあたりのジャンルの音楽を指していましたが、アラン・フリードは音楽のジャンルは曖昧にして、ティーンに成長したベビーブーマーにフィットする、”ちょっとワル”に憧れ”でも”恋に恋する”ピュアな彼らの嗜好にぴったりフィットする音楽をまとめて”ロックンロール”としてコーディネートし、大成功をおさめました。
飽きっぽいティーンエイジャーの性もあり、エレキブームやサーフィンブームなど押し寄せる新しい波によって、ロックンロールは簡単に下火になりますが、60年代に、英国から押し寄せたマージー・ビートとフォークの精神が融合し、”ロック”として成長します。
1951年
"Cry"Johnnie Ray & the Four Lads
かなり黒人のR&Bを意識した歌い方。このラフな感じがティーンエイジャーに受けて、大ヒット。
1952年
"Auf Wiederseh'n Sweetheart"Vera Lynn
戦時中に活躍した彼女でしたが、戦後にもヒット曲があります。この曲は彼女がドイツのパブで聴いた曲を英詩でカバー。
1953年
"Doggie in the Window"Patti Page
「その犬いくら?」なんていう歌ですが、犬の鳴き声のオーヴァーダビングが効果的で、かわいい一曲になってます。旅に出る女の子がボーイフレンドがさびしくないように犬を買ってあげようという内容。
"Vaya Con Dios"Les Paul & Mary Ford
ギターエレキギター、ギブソンのレスポールモデルの名前でも有名な、レス・ポールとメアリー・フォードのコンビによる一曲。自動車事故で肘の関節が一生動かせなくなったとき、ギターを抱える形に固定してもらったという、根っからのギターマン。電気関係にも詳しく、オーバーダビング、マルチトラックレコーディングなども独自の技術で実現させていきました。
1954年
"Oh! My Pa-Pa"Eddie Fisher
彼もティーン・エイジャーに大人気だったシンガー。この力強いヴォーカルとメロディアスな曲が受けました。
1955年
"Cherry Pink and Apple Blossom White"Perez Prado
ペレス・プラードのヒット曲のうちでも非常に有名なものです。この手のレコードは私の両親の趣味でよく小さい頃から聴いていました。
エキゾチックなサウンドが魅力的です。
1956年
"Rock and Roll Waltz"Kay Starr
両親が私のロックンロールの曲でワルツダンスを踊ろうとしているよ、ていうかわいらしい歌。ロックンロールが突如流行して、一世を風靡している様がよくでています。ワルツだけあって3拍子のリズムが心地よいです。
"My Prayer"Platters
プラターズはたくさんの名曲をのこしていますが、埋もれがちなこの名曲を。後半からのの盛り上がりがいいです。
1957年
"Jailhouse Rock"Elvis Presley
エルヴィスの魅力はやっぱり動画があった方がよく伝わりますね。この黒人顔負けの下半身ダンス。親が見せたくないアーティストだったのもうなずける50年代の価値観から遠く離れた”下品”さ。歌い方も黒人並みにワイルド。ロックンロール時代のスーパースターですね。
1958年
"Don't"Elvis Presley
このR&Bコーラスグループのような節回し。彼の持つ声の魅力と融合してとろけるようなバラードに仕上がっています。
"Yakety Yak"Coasters
エルヴィスの一連のヒットで作曲からトラックづくり、仮歌までを受け持っていた黒人より黒いユダヤ系白人コンビ、ジェリー・リーバー&マイク・ストーラーが、ロックンロールの魅力を詰め込んだ一曲。
"Nel Blu Dipinto Di Blu"Domenico Modugno
イタリア産の曲のヒットです。このころの米国チャートはまだ外国語の曲に寛大で、日本語の曲も、坂本九の”上を向いてあるこう”が1位を獲得しています。
1959年
"Venus"Frankie Avalon
名曲を掘り起こせ!の10曲にはいっていた曲です。きくたびうっとりする甘いメロディ。
"Kansas City"Wilbert Harrison
これもリーバー&ストーラーの曲。ニューヨークのハーレムのアポロシアター近所にあったレコード店のオーナー、ボビー・ロビンソンの後ろ盾でヒット。このボビー・ロビンソンのレコード店は立地がニューヨークのR&Bミュージック・シーンのど真ん中にあったことから、いろいろな業界関連の人間が街角での売れ行きを観るのに使ったため、ここからコネを使ってヒットを出す人間が現れるほどのスポットになっていました。
1960年
"Everybody's Somebody's Fool"Connie Francis
ボックスセットのCDを持っているほど大好きなコニー・フランシス。特にこの曲が素晴らしいです。
"Are You Lonesome Tonight"Elvis Presley
たった数年であっという間にアーティストとして成熟を迎えたエルヴィス。ロックンロールの情熱は、ロックンロールの時代の主役本人の幕引きで冷めていきました。彼に憧れてアーティストを目指すイギリスのリヴァプール出身の4人がアメリカにやってくるまで、ロックは数年間、眠りのときを過ごします。