秋の夜長の特集第2段はヒップ・ホップ。
いろいろな意味で、岐路に立つこのジャンル。
短い歴史の中で、既に幾度かの解釈や定義の変更がされてきたヒップ・ホップは、今年、大きな音の変革が他のジャンルと同様おこっています。
そこで、独断と偏見で”08年の現在時刻ととして”最重要と思われるものをピックアップします。
①初級編
"Gangsta's Paradise"Coolio feat. L.V. '95
スティーヴィー・ワンダーの"Pastime Paradise"を下敷きにした、大ヒット曲。G系のヒップホップが世の中を席捲していた時代の曲らしいアレンジで、シンセとブリブリベースがどんどん曲をあおります。
"Hypnotize"The Notorious B.I.G. '97
ビギーの遺作、『Life after Death』のからのファースト・カット。ハーブ・アルパートの曲をサンプリングするという荒業ですが、めっちゃクールに仕上がっています。
"Ms.Jackson"Outkast '01
PV
日本でも、ロックの世界からさえ評価を受け始めたころの彼らの作品。確かにヒップホップを超越した表現。
"In Da Club"50 Cent '03
ドレー陣営のプロダクションらしいハードボイルドなトラックが、抑制をきかせながらも、じわじわと体中に沁み渡っていきます。
"The Way You Move"Outkast feat. Sleepy Brown '04
これもいかにも00年代らしいサウンド。ビッグ・ボーイの名を世に知らしめた名曲。
"Drop It Like It's Hot"Snoop Dogg feat. Pharrell
PV
このネプのトラックはいつ聴こうがぶっ飛んでいます。その裏では重低音至上主義のトラックが最高に気持ち良いのです。
"Ridin'"Chamillionaire feat. Krayzie Bone '06
いかにもノーティーズ(00年代)らしい、南部マナーのトラック。クレイジー・ボーンの客演も非常にいい効果を産んでいて、未だに車でよく聴きます。
②中級編
"Rappers Delight"Sugarhill Gang '79
シックの曲のベースラインをそのまま拝借したこの曲こそが、ヒップホップの存在を世界に発信した最初のものと考えてもいい。この曲をヒントにクイーンが"Anotherone Bites the Dust"を作って・・・なんて連鎖がスタートしたり・・・。
"The Message"Grandmaster Flash and the Furious Five '82
ヒップホップがどこから出てきた?という問いに、かなり近い解答を与えてくれる、クラシック中のクラシック。しかし、08年に聴くと、かつてのようにはダサく聴こえない。これが”時代”の”流行”というものだと思うわけです。
"It's Like That"Run-D.M.C. '83
ランDMCのデビュー曲。90年代に流行ったリミックスも込みの評価として、この曲も何か”現在”にリンクしたものを持っている。
"Children's Story"Slick Rick '88
ストリートの現実を、ストーリー仕立てで綴った名作。ラップが伝えられるものの幅広さや奥深さが認められるようになった、エポックメイキングな重要作。
"Fight the Power"Public Enemy '89
まさに今の時代にビシーっと来る音。今だからこそがっちり聴いとくべきでしょう。
"Juicy"Notorious B.I.G. '94
ビギーの魅力がたっぷり詰まった彼の代表曲。渋い!!!
"I Used To Love H.E.R."Common '94
今再び注目を浴びているNo I.D.のプロデュース曲。このジャジーな感じが、当時のヒップホップの薫りを漂わせますが、やっぱり極上。
③上級編
"Just a Friend"Biz Markie '89
変態ビズ・マーキーによる怪作。コメディな曲調に隠された、いかにもヒップホップらしいヘタウマヴォーカルなど、常人にはとうていマネのできないオリジネイター。
"Nuthin But a "G" Thang"Dr.Dre '93
ヒップホップに西海岸のオリジナリティを加え、東海岸のヒップホップを時代遅れにしてしまった歴史的瞬間。いやあ、いま聴いても、新鮮。
"Regulate"Warren G. feat. Nate Dogg '94
ドレーとともに、いや、もしかしたらドレー以上にいわゆるウエッサイなヒップホップの誕生に貢献したウォーレンG。後に客演王の異名を取ることになるネイト・ドッグの歌声も初めて聴いたときはぶったまげました。
"Doo Wop (That Thing)"Lauryn Hill '98
他の誰でもない、ローリン・ヒルだからこそ成し得たR&Bとラップの新しい時代の融合。ヒップホップが正しくソウル・ミュージックの伝統につながっていることを示した逸品。
"Lose Yourself"Eminem '02
私がヒップホップのことを語る以上は、必ず欠かせない一曲。もはや何も語ることが無い位この曲については語っているのに、一向に語りきった気がしない。時代を超える名作。
"Through the Wire"Kanye West '03
今の時代を語る上で、彼の存在抜きには成立しません。
"Jesus Walk"Kanye West '04
カニエは時代のトップランナーでありながら、今までの自分の功績を全て肩からおろして、まったく新しい何かに取り組み始めています。今はまだその全貌が見えませんが、この1年~2年のうちに、彼の取り組む”新しい何か”が確実にポップ・ミュージック界に更なる変革の重要な要素をもたらすでしょう。
いまがまさにその始まりの瞬間であると思います。