T.I.の新しいナンバーワン・ソングである"Live Your Life"のプロデューサーとして、俄然注目の集まるジャスト・ブレイズの特集をしたいと思います。
1978年生まれ、ニュー・ジャージー出身。ジェイZの作品に取り上げられ、ロッカフェラ周辺からキャリアアップしてきた彼ですが、そのジェイZの立身出世とあわせ、同期的存在のカニエ・ウェスト同様、00年代のサウンドを築き上げてきたこの10年の音楽界の重鎮でもあります。
なかなかカニエのように、表舞台に立たない分、地味な印象もある彼。カニエ同様、回転速度を変えたサンプリングで、渋いソウル臭のするサンプリングネタをホコリっぽくない音にして調理して現代的な音にする、ドープなサウンドは、彼のトレードマークです。
まずは彼の仕事の進め方 。
それでは彼の活動の軌跡をヒット曲で振り返ります。
①"Oh Boy "Cam'ron feat. Juelz Santana('02)最高位4位
完全に勢いを失くしていた東海岸に新しい命を吹き込んだキャムロン率いるディップセット勢。彼らが世の中に知られるきっかけとなったのは、キャムロンのロッカフェラ移籍第一弾、のこの曲からでした。キャムロン自体、もはやシーンから消えつつあったにもかかわらず、突然時代の寵児となっていく様は何か恐ろしいものを感じました。
キャムロンもジュエルズ・サンタナもニューヨーク、ハーレム出身。東の反逆の狼煙が上がった瞬間でした。
②"Roc the Mic "Beanie Segal & Freeway('02)最高位55位
フィラデルフィア出身のビーニー・シーガルとフリーウェイが組んだこの曲も、ジャスト・ブレイズらしい一曲です。
ロッカフェラの元には当時多くの才能が終結していました。やがて、デフ・ジャム本体の発展にもつながり、ユニヴァーサル・ミュージックの00年代の覇権を確かなものにしてゆきます。
③"React "Erick Sermon feat. Redman('02)最高位36位
エリック・サーモンとレッドマンなんてもう90年代でさえすでにクラシックな存在だったのですが、古き良きヒップホップの伝統をわかっているジャスト・ブレイズのもとには、こうした伝説の巨人からのオファーも届くようになります。
それにしても挑戦的なトラック。こういう飛び道具もきちんと料理できるセンスはウータンのRZAにも通じるものがあります。
④"Can't Let You Go "Fabolous feat. Mike Shorey, Lil' Mo('03)最高位4位
南部ヒップホップの影響を受けた初の東海岸ラッパーなんて呼び方も有りますが、出身はブルックリン。バリバリの”東”の人。ともあれ彼はとにかくその甘いマスクが魅力的。ここでのジャスト・ブレイズの仕事は、ファボラスのラップスタイルのゴニョゴニョ発音に合わせて、トラックの勢いは控えめでクールなものに。
⑤"Pump It Up "Joe Budden('03)最高位38位
ジャスト・ブレイズと同郷のニュー・ジャージー出身。だからかどうか、トラックも非常に気合が入っています。映画『ワイルド・スピード2』のサントラ収録曲。
⑥"Breathe "Fabolous('04)最高位10位
最近のジャスト・ブレイズのトラックの印象に近くなってきました。こういうドープなサウンドはほかのプロデューサーにも影響を与えましたね。
⑦"Touch the Sky "Kanye West feat. Lupe Fiasco('06)最高位42位
同じロックフェラ出身のサウンドクリエイターであるカニエの曲をジャスト・ブレイズがプロデュース。しかも、二人は往年のサウンドを回転速度を変えてクリエイトするのが得意という共通点。この曲を聴いて思うのは、カニエがやるのとはまたアプローチが違うなあ、ということ。カニエもやはりそこが欲しくて彼に依頼したのでしょう。
⑧"Show Me What You Got "Jay-Z('06)最高位8位
パブリック・エネミーか?という出だしですが、ジェイZの『キングダム・カム』のファースト・カットという大役をまかされたジャスト・ブレイズの気合が漲る一曲。
⑨"Tell Me "Diddy feat. Christina Aguilera('06)最高位47位
ディディの『Play』にも一役買ってますね。この曲もたいがい凄い迫力です。
⑩"Live Your Life "T.I. feat. Rihanna('08)最高位1位
確かに飛び道具もきちんと処理するツワモノの彼ですが、ここまでキワモノのネタも珍しいですね。
その苦労の甲斐もあって、ようやくチャート1位の栄冠を手に入れました。