たかがポップ・ミュージックといえども、その完成には様々な経緯が有るものも少なくありません。
名だたるアーティストのコラボともなれば、その結果、異常な輝きを手に入れることもあります。
ここでは、その中から、あるクリエイター3人に注目してみたいと思います。
①80年代:ライオネル・リッチー×ダイアナ・ロス
始まりは映画の主題歌の依頼でした。『ある愛の詩』に匹敵するインストゥルメンタルを、との映画製作者からのオーダー。しかしその曲が完成するにつれて、歌を入れた方が良さそうだ、という展開に。そしてさらにそのヴォーカルにダイアナ・ロスを迎えることに。あれよあれよと話が進むうちにとんでもない話になっていきました。
ダイアナ・ロスは当時モータウンから移籍した直後。それがモータウンの曲に参加するというのだから、異例中の異例。
それにライオネル・リッチーは当時、彼のグループ、コモドアーズとケニー・ロジャースのレコーディングが同時進行中。ダイアナ・ロスもツアーの真っ只中。こんな二人にそもそも空いている時間などなかったのですが、深夜3時に、二人の中間点で落ち合い、一気にレコーディング。ダイアナ・ロスはそれまで曲のメロディしか知らなかったのに、朝5時半にはレコーディングは終了したというから、2時間半の間にヴォーカル録りは済ませたことになります。
そして完成した歌は
"Endless Love "Diana Ross & Lionel Richie('81)
結果はモータウン史上最大のヒットに。ライオネル・リッチーのどうしても映画音楽を手掛けたいという熱意が周りを巻き込んで生み出した、まさに入魂のヒット曲です。
②90年代:ドクター・ドレ×2パック、ロジャー・トラウトマン('96)
もともとはドクター・ドレのソロ曲の予定でした。彼のレーベル、デス・ロウ・レコーズの、共同オーナーであり、後見人であったマリオン”シュグ”ナイトは、この曲の完成度に、保釈金を払って出獄し、デス・ロウ入りしたばかりの2パックの復帰シングルとすることを提案。こうして、ドレと2パックの夢のコラボが早くも実現することに。
この曲のもう一つの主役はロジャー・トラウトマン。ヴォコーダーを使った独特のスタイルがGファンクとばっちり相性がいいばかりか、この曲を特別なものにすることに大きく貢献しています。
"California Love "2Pac feat. Dr. Dre & Roger Troutman
ヴァース1ではドレが独特のラップをぶちかまし、ロジャーのコーラスの後、もう待ちきれないとばかりに飛び出してくる2パック。このヴァース2での2パックは神がかり的瞬間。どんどん聴き手を煽りまくります。
ロジャーの変態的な活躍が曲の終盤で聴けるのはこちら。アルバム収録ミックスですね。
残念ながら2パックはこのヒットの直後に暗殺され、ロジャーもほどなくして他界。この世に遺した二人の最後の輝きがこの曲でした。
③00年代:カニエ・ウェスト×ジェイZ、T.I.、リル・ウェイン('08)
T.I.の新作レコーディングの曲を収録し終えたカニエが、実はもう一曲ある、と言って提案したのがこの曲でした。もういままであったようなありふれた曲には辟易していたT.I.は、この曲をレコーディングすることに。これがきっかけでありえないメンツによる、ありえない完成度の曲は誕生することになりました。
その後、ジェイZ、リル・ウェインが参戦。この”四天王”によるメンツでとてつもないパワーを持ったこの曲をねじ伏せ、世に問う事に成りました。
"Swagger Like Us "Jay-Z & T.I. feat. Kanye West & Lil Wayne