『日はまた昇る』というのは、日本の経済が”失われた10年”を越えて再び輝く日が来る事を書いた名著ですが、2000年からすでに2割の売上ダウンを経験してきたこの音楽業界にも、その夜明けが来た事を告げる発言が、業界最大手であるユニヴァーサル・ミュージックの親会社、フランスのヴィヴェンディの重役からなされました。
「音楽産業は再び成長する」
彼によると、ユニヴァーサル・ミュージックの2008年前半の売上は前年より5%上昇しているとのこと。
売上の上昇により収益も拡大。i-Tunesなどによるダウンロードの売上も、様々な競合の出現により、まだまだ拡大の見込みがあり、いよいよ業界は長い暗黒期を乗り越えようとしています。
思えば、音楽業界は何度も不調期を乗り越えているわけです。
例えば70年代末期はその不調によって多くのバンドが経営を支えきれなくなって縮小。シンセサウンドが人件費の削減に貢献しました。個人レコード店は次々に廃業し、大型レコード店が各地に進出しました。
その後、第2次イングリッシュ・インヴェージョンを経て80年代ならではのサウンドが定着、そこへ、CDの登場による、カタログ作品販売の好調により業界は大きく浮上しました。
今回の不況はその20年前の不況の結果生まれた新しい音楽業界を根本から揺るがしました。大型レコード店の雄、”タワーレコード”さえ廃業に追い込まれてしまうという大激震。多くのアーティストがメジャー契約を切られ、インディーズとインターネットの世界に活動の舞台を移しています。
また一方では、アルバムを発売する前に、YouTubeなど無料動画サイトでプロモーションを行い、着メロの販売だけで、巨額の利益をもたらし、アルバムなど売れなくても充分成功しているアーティストも現れています。
メジャーレーベル自身もダウンロード販売という、もっとも嫌っていた手段に大きな収益の鉱脈を見出し、新たなる時代に向って動き始めました。
音楽は時代によって変わり、その産業の主役も変わっていきます。しかし、音楽はいつまでも人々の生活を潤し続けてくれることでしょう。そして、音楽産業は、生誕の地、米国や音楽大国の日本や欧州を超えて、さらに世界中に大きな市場をもたらしてくれる事でしょう。
クリエイティヴ産業は、金融産業の次に来る、世界の成長産業であるからです。