00年代の終焉を間近に控え、いよいよ佳境を迎えつつあるエレクトリック・ミュージックの熱狂。
80年代を通じて飛躍的に成長した音楽が90年代をまたいでレトロフューチャーなサウンドとして新しい生命を宿し、瞬く星のようにきらめいています。
そういえば、このジャンルをきちんと振り返ってなかったなあ、と思って、私の持っている音盤より、10枚を選出してみます。
エレクトリック・ミュージックのアルバムを
A:ヨコ・・・この音楽を世に広めたトレンド・セッターとなったもの
B:タテ・・・この音楽の芸術的価値を高めたもの
C:奥行・・・この音楽を裏から支え、深みをもたせたもの
の3方向から3作品ずつ抽出、さらにおまけでもう1枚を選出します。他にも名盤はありますが、あくまで中古などで売りさばかずに現在手元に残っているものより選出しています。それゆえ個人的な思いいれたっぷりなラインナップですが、なるだけバランスよく選んだつもりです。
まずは
A:エレクトリック・ミュージックのヨコ
①『Dare』Human League('81)
デジタルビートのカッコよさが際立っています。この無機質で、無表情なクールさにしびれます。
②『Please』Pet Shop Boys('86)
彼らもこのクールさが素晴らしいですね。無機質なのに、なぜか自然と体の底からわき上がって来るビートへの共鳴を止められなくなります。
③『Gonna Make You Sweat』C+C Music Factory('90)
90年代突入期らしい極端に強いビートとパワフルなヴォーカルが時代の空気を反映しています。いわゆるハウスと呼ばれた音楽ですが、やはりルーツはテクノ。正確に刻まれるビートがクールです。
B:エレクトリック・ミュージックのタテ
①『Trans-Europe Express』Kraftwerk('77)
この音楽がドイツ産というと、「なるほど、そうだろうなあ」と妙に納得させられるのは音楽にも国民性が反映されていることの証でしょう。感受性が豊か過ぎるゆえに、それをコントロールすることの必要性が高まり、その結果生まれるきまじめな単調さ。交響曲、俳句、2Dアニメ(および漫画)。定型化され、デフォルメされたフォーマットにこそ溢れんばかりの創造性を発揮する才覚は日独人が傑出して持つ共通の国民性ですね。
②『Selected Ambient Works 85-92』Aphex Twin('93)
"Xtal "
彼の初期活動の集大成。無機質な音の集合体なのに、何故か生命の根源に触れたような、荘厳な暖かさ。天才的。
③『Blue Lines』Massive Attack('91)
A③と同じく90年代初頭期らしいハウス寄りのプロダクション。
C:エレクトリック・ミュージックの奥行
①『The Pleasure Principle』Gary Numan('79)
"Cars "
80年代のシンセサウンドによるポップス黄金期の道を切り開いた、時代のさきがけ。まだまだキワモノ扱いだったこのサウンドをポップに調理したセンスが素晴らしい。
②『World Clique』Deee-Lite('90)
このアルバムも大概90年代初頭期らしいハウス寄りのプロダクション。きわものすれすれのプロダクションにも関わらず、キャッチーな魅力で聴く物を離さない。
③『Play』Moby('99)
"Southside "feat. Gwen Stefani
今のところ、グウェン・ステファ二ーの存在感を増したこのPVのバージョンは輸入盤にしか収録されていないのですが、それはさておき、このアルバムはモービーのアルバムの中では随分ナマっぽいサウンドで、エレクトリック・ミュージックという枠におさまりきらない彼の想像力があふれ出している大傑作。
おまけ『Chariots of Fire』Vangelis('82)
この企画の趣旨にはまりきらないかもしれませんが、それでも紹介せずにはいられない名盤。
当時シンセサイザーをここまで荘厳に鳴らすことが出来ようとは誰が想像したでしょう。