契約書に書かれている原状回復の特約については、その物件ごとに様々です。
特約条項に、“室内のクリーニング代やクロスの交換は借り主の負担とする”と書かれている契約書になっている場合も多いと思います。
このように書かれていた場合、解約の時に自分で室内の清掃をきちんとし、クロスも自然の損耗のみの場合でも、室内クリーニング代とクロスの張替え代を敷金から差し引かれても一切異議は認められないのでしょうか?
借り主Xと貸し主Yが平成14年7月に締結した建物賃貸借契約に、退去時の原状回復義務に関して次の特約が書かれていました。
「本契約解約時に、カーペット、建具、照明等の損傷または修理代や退去時の室内のクリーニング、クロス交換代は賃借人の負担とする」
賃貸借契約が終了してXが明け渡しを完了した際に、Yが返還するべき敷金19万円から上記の特約に基づいて10万1800円を差し引いたため、XはYに対し差し引いた敷金額の返還を請求する訴えを起こしました。
■通常に生じる損耗については、借り主が負担するものではないという判断
これに対し、裁判所は次のように述べてXの請求を認めました。
本件賃貸借契約における原状回復義務に関する特約は、賃借人が負担すべき費用の範囲を項目を一般的に例示したものであり、賃借人が本件居室を故意または過失によって毀損したり、あるいは賃借人が通常の使用を超える使用方法によって損傷させた場合には、その回復を賃借人の負担とするが、賃借人の居住、使用によって通常生じる損耗については、その回復を賃借人の負担とするものではないと理解するのが相当である。
■ガイドラインに沿った記載をしなければ、借り主負担が認められないケースが多い
上記の通り、裁判所は借り主の請求を認めました。
室内クリーニング、クロスの張替えなどを借り主の負担とすると契約書に書かれているケースは多いと思います。
その場合、解約時に原状回復の清算で室内クリーニング代、クロスの張替え代が敷金から差し引かれ、クレームを言うと貸し主・管理会社は「ちゃんと契約書に書かれていますから」と言うと思います。
通常は“契約書に書かれている”と言われると、仕方がないと思ってしまいますが、裁判にまで発展すると借り主に有利な判決が出ることが多いです。
室内クリーニングも、クロスの張替えも原則的には貸し主の負担です。
それを故意・過失による汚損・破損が無くても借り主の負担とする場合には、その理由がきちんとあり、借り主に対して通常は貸し主が負担するべきものということを伝え、借り主がそれを理解してきちんと承諾しなければ、特約は無効とされるケースがほとんどです。
もし、あなたの契約書にも室内クリーニングやクロスの張替えは借り主の負担と特約で書かれていても、契約時に上記の説明がきちんとされていなければ、必ずしも負担しなければいけないということはありませんので、解約時に不当な請求をされた場合には、きちんと反論しましょう。

