前回の記事で、ブログの主旨とはまったく関係の無いようなエピソードを長々と書いてしまいましたが、もうひとつのエピソードをご紹介します。
前回の記事の私が高校生の頃からおよそ25年後、私がすでに独立をした頃の話です。
知人が今まで住んでいたマンションを解約して引っ越したのですが、明け渡した後にそのマンションの家主から原状回復費として20万円以上の費用を請求され、預けていた敷金18万円はもちろん戻ってこず、足りない分の約4万円を請求された
と相談されました。
その知人は、私が不動産業者に勤めていたことを知っていたので、
「家主の言うことに従わなければいけないのか
」
という相談をされたのです。
私が不動産業者に勤めていた頃は、貸しビル、貸しマンションも業務として行なっていて、オフィシャルサイトの【知らないと損する!敷金最大返還マニュアル】 の中の自己紹介でも書きましたが、その家主のような原状回復費の請求を当たり前のようにやっていました。
しかし、その後から現在に至るまでの間に、国土交通省から「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が公表されたり、消費者契約法が施行されたりして、原状回復で借り主が負担する義務の無いリフォームや、グレードアップの費用を家主が請求することは、通じなくなってきています。
しかし、昔からの感覚で敷金の清算を行なっている貸し主は、正当な計算方法で借り主に敷金を返却してしまうと、「損をした
」という気持ちになるようで、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」のことを知っていながらも、昔ながらのやり方で敷金からリフォーム代金を清算する貸し主がまだ存在します。
その知人が契約をした時に仲介をしてくれた不動産業者に相談もしたそうですが、その不動産業者は「貸し主と直接話し合ってください」というだけで、逃げるような態度で埒があかないので、私に相談してきたのです。
私は知人と2人でその家主の会社に話し合いに行きました。
私が「知人に請求したリフォーム費用のほとんどは、借り主が負担するものではない」と主張すると、その家主は、
「ちゃんと法律で決まっているんですよ
」
と強く言い放ちました。
話を進めていくと、その家主は民法第545条のことを言っているようでした。
民法第545条には、“契約の解除の効果”について書かれているもので、
当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。
と書いてあります。
まさに原状回復についての定めです。
私は法律の専門家ではありませんので、偉そうに法律に関してを語るつもりはありませんが、不動産業の経験も長く、不動産に関しての法律の勉強は宅地建物取引主任者試験の時からいろいろと行なっていて、法律ではありませんが国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の勉強もしていましたので、その家主にはガイドラインの中の原状回復の定義についても説明しました。
その家主自身ももちろんガイドラインのことを知っていましたが、過去何十年も行ってきたリフォーム代金を借り主の負担として、敷金から差し引くやり方が根付いていて、ガイドラインに基づいた計算はどうしても受け入れたくなかったようでした。
しかし、時代はすでに変わっています。
私が不動産業者に勤務している時に、もし「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が公表され、消費者契約法が施行されていたら、最初は戸惑ったでしょうがガイドラインに基づく原状回復の計算に変えていったと思います。
私が不動産業者に勤務している頃は、「リフォーム代金の少なくとも半分は借り主の敷金で充当できる」という思いが、ほとんどの貸し主の中にあったと思います。
しかし、敷金返還をめぐるトラブルが多発し、裁判での判例も多く出ていることで国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を公表しました。
その家主が「法律でちゃんと決まっているんだ!」と言ったのは、昔ながらの貸し主の都合の良い“原状回復”を勝手に解釈したままなのか、それとも知っていて借り主が無知だった場合に、昔ながらの計算で借り主に負担させようと思ったのだと思います。
とりあえず私と知人は、あくまでもガイドラインに基づいて原状回復の費用を算出して、改めて明細を出して欲しいと要求しました。
それを拒否するなら、こちらも次の手段に移りますとも伝えました。
その日は家主側も結論を出さず、はっきりした返事もしてくれませんでした。
そして約1週間後に、知人から連絡があり家主から原状回復の費用の明細が送られてきたということでした。
その明細には、原状回復費用は約7万円、知人に返金する額は敷金18万円から原状回復費用を差し引いた、約11万円ということが書いてあると言っていました。
私はまだ少し高いかな?と思いましたが、知人は意外な結果に満足しているようで、この計算書で承諾すると言ったので、それ以降は家主と話し合うことはしませんでした。
知人が家主と交渉をせずに、家主の言いなりになっていたら、敷金の18万円は戻ってこなくて、逆に約4万円を支払わなければいけませんでしたが、交渉の結果約11万円が戻ってくることになりました。
家主と交渉に行った時に、家主から「ちゃんと法律で決まっているんだ!」と言われて、知人と私が民法も、国土交通省のガイドラインも知らなければ、それ以上何も言えなかった事でしょう。
前回の記事でご紹介した、私が職質を受けたときに警察官から「カバンの中身を見る権利があるんだ
」と言われた時に、私は警察官職務執行法などをまったく知らなかったので、渋々警察官の言う事に応じてしまいました![]()
前回と今回の記事でご紹介をした2つのエピソードで言いたいことは、すでにお分かりだと思いますが、
知らないのと知っているのでは、大きな違いがある
と言うことです。
原状回復の問題に関しても、民法、消費者契約法、国土交通省のガイドライン、東京の人は「東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例」などを知っていれば、今回ご紹介をした家主のような請求をされても、借り主側の正しい主張ができます。
法律は幅が広く、また用語も難しいですし、ガイドラインについてもケースバイケースの部分があるので、弁護士などの法律の専門家くらいの知識を持つ必要はもちろんありません。
さらに大きなトラブルに発展した場合には、弁護士などの専門家に頼まざるを得ない場合もあります。
しかし、その前の段階でトラブルを解決できるために、自分自身で最低限の知識を持っていれば、無駄な費用、時間、労力を大幅に省くこともできます。
賃貸で住宅にお住まいの方は、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を頭に入れておくだけで、現在のお住まいを解約する時に万一貸し主と意見の食い違いがあったとしても、大きなトラブルに発展することを避けられる可能性が高くなることでしょう。



」と、低姿勢で言われます。

がトコトコと歩いてきて、「○○○○には、どうやって行ったらいいのですかね?」と、その警察官に聞いてきたのです