この話は、私が不動産業界に関わる前のことで、まだ法的なことは一切わからない時代のことです。
まだ20代前半で、ある意味平和な世界で過ごしていた時代です。
勤めている会社に、私の父と同じ年くらいのMさんという男性がいました。
Mさんとは、席が隣同士だったり、一緒に動いたりしていたので話をする事も多く、仕事の悩みなどを聞いてもらったりもしていました。
年齢が私の父親と同じという事もあって、“人生の先輩”というイメージである意味尊敬もしていました。
だた唯一の難点は、色々な事情で“お金が無い

”ということでした。
私は独身でまだ自由に使えるお金があったので、Mさんは私にちょくちょく5千円、1万円といった小銭を借りては返してもらっていました

ある時、Mさんは突然取引先の会社に転職する事になりました。
取引先の会社の社長に気に入られ、引き抜かれる形で転職をしたのです。
転職は別に個人の自由なので構わないのですが、その時点で私はMさんに5千円を貸していて、退職する直前にそのことを話すと、「今日はちょっと手持ちが無いので、あとで振り込む」と言ってMさんは退職しました。
その後、何日経っても振り込んでこなかったので、Mさんの転職先に何度か電話をして催促しましたが、その都度「お金が無い」などの理由で逃げられていました

電話だけでは一向に埒があかなかったので、封筒に督促の文章を入れて(その頃はまだ内容証明郵便は知りませんでした)勤務先に送りました。
電話でも併せて催促していましたが、相変わらずのらりくらりと逃げていたので、今度は封筒で「返してもらわなければ今度はハガキで送ります」と書いて送りました。
それにも反応は無かったため

、今度はハガキで送りました。
勤務先にハガキで送れば、文面を他の人に見られる可能性があり、恥ずかしいので返してくれるだろうと思っていたのですが、それでもMさんは返してきませんでした

。
こうなるともう金額の問題ではありません。
自分の子供くらいの年齢の人間に借りた、微々たる金額を返さずに逃げている人間性に腹が立ち、毎日のようにハガキを送りました。
最初はハガキの文面に大きく「
5000円返せ
」などと書いていたのですが、そのうち宛名の部分に「
寸借詐欺のMさん」や「
自分オ子供くらいの男に金を借りて返さない、情けないMさん」などと書いて送ったので、さすがに7~8通目になったら連絡が来て、「恥ずかしいからやめてくれよ

」と抗議をしてきました。
私が「何度も催促しているのに金を返さないのが悪いんでしょう!」と反論したら、「返すからもうハガキは送るな」と、半ば逆ギレ気味に言ってきました。
その後、数日経って現金書留でお金を返してきて無事に(?)解決しました。
この当時は仕事で債権回収などもまったくやっていなくて、知識はほぼゼロでしたが、“人生の先輩”のように親しんでいた人の情けない態度に腹が立ち、意地になって督促をしていました。
その後、金融会社をグループに持つ不動産の会社に入って督促業務などにも関わったのですが、この5千円をしつこく督促したしつこさが原点になっていたのかもしれません。