こんにちは。「墓の魚」の作曲家です。

 

今後、不定期的に私達「墓の魚」の作品の
詩の解説をしていきたいと思います。

 

今日はその第一弾です。
まずは歌詞を掲載します。

 

 

◆◆

 

「ボティーガス墓地の一夜 
~屍を漁る類の魔女の話~」より

第5番 骨とフラメンコ女の哲学
 

作詞作曲:黒実 音子

◆◆

 

**ポリリャ・デ・クルパ**
おお、兄弟達!! ドクガ、ろくでなし、墓場の犬 [**毒虫と墓犬達**アテオ!!]
お安くないよ、あたしは墓地の一人娘 [**毒虫と墓犬達**コンパドリート!!]

旦那様、ああ、恵んでおくれ!! 1ペソだってありゃしない [**毒虫と墓犬達**ヘライ!!]
神に捨てられた惨めなフラメンコ女さ!! [**毒虫と墓犬達**ドゥクエラス!!]

この墓地の老獪な顔役
プエンテ・ジェナーバのまじない女
朽ちたシギリジャで踊り明かせ!!
敬虔で正直なクリスチャンだわ

**カンパニージャ・デ・ウトレーラ**
人違いだ、僕は善良な一市民 
トカゲもまじないも信じちゃいない

**ポリリャ・デ・クルパ**
まぁ、待ちなよ、お兄さん
何事も手順ってやつが大事なんだから

さぁ、私とダンスを

**毒虫と墓犬達**
土と墓場のフラメンコを

**ポリリャ・デ・クルパ**
ここではおまえが望むだけのものを

**毒虫と墓犬達**
涙と骨が全部、与えてくれる

**カンパニージャ・デ・ウトレーラ**
正気じゃ無い、イカれた話だ

**毒虫と墓犬達**
サンボンバを鳴らし踊り狂え

**ポリリャ・デ・クルパ**
男共が望むのならば
あたしはいつだってとびっきりのやつをくれてやる

さぁ、楽しもう、人生は一度きり
罪も信仰もひとまず水に流し

いばり屋共の銃、イタ公のナイフ、
そんなものより鋭く恐いのは、
ジプシー女の愛の言葉
教えてやろう、おまえに夜の深さを

パリージョを!!
 
◆◆

 

 

 

 

解説・

「ボティーガス墓地の一夜 
~屍を漁る類の魔女の話~」



http://ncode.syosetu.com/n5067dl/

 

 

という劇の中で、
墓地で魔女ポリリャ・デ・クルパ(罪の蛾という意味)が登場し、
主人公カンパニージャをたぶらかすシーンの

妖しげな音楽です。

 

いわば、この魔女ポリリャのテーマソングのように
なっていますね。

 

ずいぶん妖しげな音楽だと思うかもしれませんが、

ラテン文化(特にスペイン語圏)の芸術では、

こうした墓や骨、死のテーマを陽気に表現する事が

かなり一般的なものとなっていて、
それこそがラテンの特徴の一つと言っても良い程です。
こうした文化を辿って行くと、

それこそ中世のメメントモリ芸術に行き着くわけですが。


歌詞の内容は、わかりやすく単純ですが、
いくつかスペインのジプシー語や、
アルゼンチンのルン・ファンド(隠語)などが

混ざって出てきますので、
その意味を知っていると、

より作品が楽しめると思います。

作品中でハレオ(フラメンコの掛け声)のごとく、
毒虫と墓犬達の合いの手が入るのですが、
その合いの手の言葉が、そういったスラングともいえる
特殊言葉になっています。

例えばアテオというのはスペイン語の罵倒言葉で、
不信心者という意味です。
日本だとピンと来ないかもしれませんが、
キリスト教徒が中心となって文化を作っている南欧世界では、
神を信じない罰当たりな者というのは、
かなり不名誉な悪口として使われていました。

次のコンパドリートというのは、
まぁ、これは色々な意味があるのですが、

この作品中では「荒くれ者」のような意味合いで
使われていると思ってください。
アルゼンチンで使われる言葉です。

ヘライは、ジプシーの言葉で旦那様という意味です。
つまり金持ちの意味もありますね。

ドゥクエラスは、同じくジプシー語で、
苦しみを意味しています。
 

魔女も含め、虫達や墓場の犬達は、

キリスト教の神聖な物に対しての

不快な物、不浄な物として登場していますので、

ろくな事を言いません(笑)

これは黒実の作品全体の特徴でもあります。

さてさて、その後に魔女が歌っている

プエンテ・ジェナーバとはスペインの地名です。
こちらもあまり有名ではありませんが、
バレンシア地方の近くにある小さな村名です。

朽ちたシギリジャのシギリジャとは、
フラメンコの踊りの一形式の事です。
シギリージャと日本では書かれる事が多いですね。
頭のないリズムの踊りと言われ、
複雑な変拍子のリズムを特徴とする
フラメンコの難曲の一つとされています。

 

それを朽ちたと、つけているのは、

魔女の不浄な踊り(反教会的)という意味を強調する為です。


サンボンバというのは、
スペインの独特な楽器(打楽器)の事ですが、
同時にその音楽の事も指したりします。
楽器の場合、壺のようなものに皮を張り、
そこに棒を縦につきさした簡易なもので、
その棒を抜き差しすることで音を出す仕組みになっている
不思議な楽器です。

さてさて、最後の方で、
魔女が、いばり屋共の銃と言っていますが、
これは隠語で、空いばり屋とはスペインと戦ったフランス兵の事です。
他にもザリガニというのはイギリス兵を指していたようで、
直接言う事はできないこうした敵国への悪口を、
当時のスペイン庶民が隠語にして語っていた事情が、
こうした言葉の成立から読み取ることができますね。

最後に曲のしめとしてパリージョを!! という言葉と共に、
カスタネット(場合によってはフラメンコギター)が鳴らされます。
パリージョとはカスタネット
または語源としてはの事なので、
木のカスタネット、または木のギターという意味で
ここでは使われています。

いかがでしようか?

様々な南欧の隠語、地方言語、方言などをふんだんに使うのが

「墓の魚」(黒実)の作品の特徴で、

それ故に、難解だったり、意味をとり難いと言われていますが、

こうした言葉の意味を知る事で、
より南欧の世界の文化の意味がわかり、
楽しむ事ができるのではないかとも思います。

 

また、他の作品の解説もこちらでしていきますので、

よろしくお願いいたします♪

 

 

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