「私がナポリに住んでいた時、
我が屋敷の門前にいつも物乞いの女がいた。
私はいつも馬車に乗る前に、女に硬貨を投げ入れてやったものだ。
ある日、ふと老女が何も言わない事を不思議に思い、
その女をよく見てみると、
物乞い女だと思っていたものは実は、
いくらかの赤い土と、腐りかけたバナナの皮がつまった
緑色の木箱だという事が、まさにこの時にわかった。」


■マックス・ジャコブ「THE BEGGAR WOMAN OF NAPLES」

Quand j'habitais Naples,
il y avait à la porte de mon palais une mendiante à laquelle je jetais
des pièces de monnaie avant de monter en voiture.
 
Un jour, surpris de n'avoir jamais de remerciements,
je regardais la mendiante.
Or, comme je regardais,
je vis que ce que j'avais pris pour une mendiante,
c'était une caisse de bois peinte en vert qui contenait de la terre rouge
et quelques bananes à demi pourries.


こんにちは。墓の魚の作曲家です♪

 

いきなり私の好きなフランス詩を紹介しましたが、

皆さんはこの詩を読んで、何を感じましたか?

私はこの詩から、
この世など一歩間違えれば虚妄分別であり、

そもそも我々の人生そのものが可笑しな虚妄なのではないか?という感覚、
そして、世界から捨てられた哀れな場所に、
哀れな者の幻影を見る事のヴァニタス(世の虚しさ)的な表現。
一人瞑想する僧が、山の中で誰かが話す声を聴く様な、
そんな可笑しさを感じました。
この世の全てのものは、
結局は個人の脳が見てるものですからね。

そして、ナポリといえば、昔から乞食が多い事で有名で、
そんな背景もあって、
この詩は生まれたのではないか?と思いました。


さて、すみません。
話変わって、今日は私の作るファドについて話そうと思っています(笑)
上記の詩は、その中で後程、登場いたしますよ~。


「墓の魚」では、ファドというジャンルの音楽をよく作ります。
今回は、私の作った「墓の魚」のファドの動画を張り付けていきながら、
ファドとは何なのか?説明していきたいと思います。

ファド=Fadoは、ポルトガルの民族音楽(あるいは大衆音楽)です。
フランスにシャンソン。スペインにフラメンコ。イタリアにカンツォーネがあるように、
ポルトガルにはファドがあります。

 


ファドは主に、人生の叙情、哀愁を文学的に歌う音楽で、
ギターラと呼ばれる独特なギター、ポルトガルギターを伴奏に、
コインブラやリスボンの酒場で歌われます。



フランスのシャンソンのようなユーモラスな男女の愛の歌よりも、
ファドは人生の悲しみ、哲学、叙情を難解な詩にしたものが多く、
他のラテン音楽には無い独特な影を持っています。

「墓の魚」では、私がオリジナルでファドを作曲しています。
多分ですが、

恐らく日本で唯一、オリジナルでファド作曲し、歌っている楽団になります。

ただし、私の作るファドは、歌詞のテーマが
極端にの哲学に偏っているのと(笑)
(現地のファドもメメントモリ哲学を歌ってはいるのだけどね)、
日本語の歌詞で歌うなどの相違点があります。

 


私は、自分のファドをファド・エンテーホ(葬儀のファド)や、
ファド・テアットロ(芝居のファド)などと呼んでいます。
 

■そのファドの中身は何なのか?

これは、ファドに限らず、私の作品全体の話ですが、
私は自身の様々な作品の中に、
古典的で文学的な技法を取り入れようとしている作曲家です。

そのテーマこそ、メメントモリ(墓想)であり、信仰であり、
貧者のピカレスクであり、
あるいはそれを全て含め、この世をヴァニタス的に、悲喜劇的
語ったものと言えます(それぞれの詳しい説明はまた別の機会に)

シェイクスピアや、ゲーテ、ベケットに影響を受けながらも、
あくまで私の作品の本筋はイベリア精神です。

俗的な喜劇の中の高尚な信仰・・・。
それは言うならば
[捨てられた聖書の物語]、
[腐敗したゴミ捨て場の信仰]
[魔女と聖者の悲喜劇]です。

さぁ、最初に紹介したフランス詩の話にここで繋がります。

 


つまり、マックス・ジャコブ
THE BEGGAR WOMAN OF NAPLESの様な世界が
私の作品の中にも入っているのです。

日本ではほとんど根付かない(笑)
この「ラテン的な風刺」の世界を、ぜひ、酔狂な好奇心からでも
覗いてみていただけたらと思います。

「墓の魚」のオリジナルのファドを、ぜひお楽しみ下さい。

 

 

 

 



 

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