使いならされた扇。
絵柄は色濃く霞んだ桜の色に、おぼろな月が水に映る風情。
それは 『 源氏物語 』 に登場する女君、朧月夜の君の扇。
出逢いの形見に、交換して源氏が手にしたもの。
その後 「 あなたはいったいどこのどなたなのかしら?」
という意味の和歌を、源氏は扇に書きつけ、傍らに置いて離さない。
恋しさがつのるばかりの源氏。
お互いどこの誰とも名のりをあげる以前の出逢いだなんて。
何ともうっとりするような艶やかな話。
その扇は檜扇 ( ひおうぎ ) で、薄く削った檜を二十枚ほど つなげたもの。
もちろん、紙を張った扇も 「 かわほり 」 という名称で使われたけれど、
彩り豊かな絵が施された檜扇には、また独特な美しさがある。
扇は日本の発明品で、平安時代に中国に渡り、宋の時代には流行したという。
もちろん、それから西洋にも伝わった。
もともとは、煽いで暑さをしのぐものではなく、持ち歩くだけの装飾品。
当時は、名筆家が扇に和歌を記すこともしばしばあった。
源氏が扇に施したという筆跡もさぞかし美しかったろう。
現代ならさしずめ、自分の好きな言葉や文字を扇に書きつけて、
舞扇ならぬ 「 MY扇 」 もまた風情な話。
日本人として、いや、女として、夏は涼しげに扇を携帯。
扇も女らしさの演出に一役だ。
いえいえ、それはやっぱり大和撫子のたしなみかしら?
「 MY扇 」 作りたい女子は、キャレモジに集合
画像は、スクールの生徒さん(女子)が作った「MY扇」です