【目次】
(1) 国債発行で金利上昇??そんなバカな
(2) 財政健全化で余計に経済を破壊する財務省
(3) 低生産性企業は潰す!クビ切りも進める!選択と集中だ!
(4) 過疎地域の奴らは棄民だ!


 

(1) 国債発行で金利上昇??

 

毎回ろくでもない提案をする、財務大臣の諮問機関「財政制度等審議会」であるが、一昨日、建議を大臣に提出した。

▼「財政強じん化を」 財政制度等審議会が財務大臣に建議を提出(5月20日)
https://mainichi.jp/articles/20240522/ddm/008/020/036000c

記事ではこんな不思議な記述がある。
>金利上昇で利払い費が増えて更に国債を増発し、それが一層金利上昇を招けば実体経済に悪影響が出る

「国債を増発すると金利上昇する」???
これはひょっとして、我々反緊縮勢が5年ほど前に散々論破した件ではないか。

このロジックは、「国債は民間銀行の預金で購入されているため、預金額が減り、国債の需要が増すことで国債金利が上がる」というものだ。
しかし事実は、国債は銀行間取引にしか使用できない準備預金で購入され、我々の預金を使用することなどないため、金利は上昇しない
国債を購入するための準備預金は、政府口座から民間金融機関に振り替えられているだけなのだから、国債購入前と後では準備預金量も変わらないのだ。(購入直後は準備預金量が増えるため国債金利は下がる)
https://tezj.hatenablog.jp/entry/20170111/p1

国債購入の資金が準備預金(日銀当座預金)で支払われ、政府支出により民間銀行の準備預金が増える(*政府支出/国債発行の一連の行程におてはインターバンク市場の準備預金量は変わらない)ことは日銀のページでも確認できるため、経団連の十倉ら財制審はただのバカだということになる。
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2000/kwp0003b.htm

一方で、上述の文章をひとつ評価するなら、ここからは「金利上昇で利払い費が増えたら国債を発行する」とも読み取れる点だ。

下図でクルーグマンが言うように「利払い費は国債発行で賄うこともできる」し、むしろ現在もやっているのだ。


そしてその国債は全て借り換えられているので、財政的負担は一切ないことも付言しておこう。

 

 

(2) 財政健全化で余計に経済を破壊する財務省


次に財制審の提出した実際の建議資料を読んでいく。
あちこにに事実とは違うヤバいことが書かれているのだが、特に「Ⅱ財政総論」を見てみよう。

▼実際の財制審の建議資料
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20240521/zaiseia20240521.html

 

上記画像の赤線①の部分だが、「我が国の債務残高対GDP比が高い主要因は、PBの悪化である」らしい(笑)
PB(プライマリーバランス)は、利払い費を除いた歳出額と税収などの収入のバランスのことだ。
このPBや債務対GDP比を良くするために、「歳出構造の平時化を図る」とのことだが、バカも休み休みにしてほしい。
GDPも個人消費も実質賃金もマイナスなのに、どこが「平時」なんだろうか。

このPBの黒字化目標とは、要するに税収の範囲内でしか支出してはいけないとする案だが、そんなド緊縮なことをしたら税収が余計に減ることは火を見るより明らかだ。
「財政健全化」が余計に債務対GDP比を悪くすることは常識だ。
債務対GDP比を良くしたいのなら、分母のGDPを増やすために政府支出を増やさなくてはならない。
次に上記建議画像の②は、本記事冒頭で論破したのでもういいとして、赤線③だ。
「赤字幅を縮減してく」とのことだが、アホかと言いたい。
「政府の赤字は民間の黒字」は、世界的にも常識だ。


赤線④もだいぶヤバい。
上述してきたような「デマを国民に流布し、洗脳していこう」という話だ。
経団連と財務省はマスコミを抱き込んでいるので、強敵である。
なんとか言論活動を介して彼らのデマをひっくり返していかなくてはならない。

 

 

(3) 低生産性企業は潰す!クビ切りも進める!選択と集中だ!

次に「Ⅲ経済成長…」にもツッコミを入れたい。
ここの路線も数年前から継続されているがひどいもんである。


生産性の低い中小企業を淘汰し、労働者のクビを切りやすくして、労働生産性を高めるとのことだ。
アホすぎて閉口するが、何年も前に論破済なので、何がどう間違っているのかは、過去の記事を参照し確認してもらいたい。
生産性の低い企業を淘汰しても生産性が上がることはないし、逆に経済が疲弊する
また従来から経団連や財務省は「労働者の給料が上がらないのは解雇規制が厳しいからだ」との頓珍漢な設定を堅持しているが、我が国の解雇規制はOECD基準で緩い部類に属する。
これ以上ゆるくしてアメリカのような狂った国になるというのか。


小川製作所さん」の画像に筆者が加筆 

ちなみに、経団連と財務省が「選択と集中」に拘泥するのは、お友達企業だけを優遇し補助金等をバラまき、またそれにより財務省官僚の企業への再就職を有利にすることが目的だ。


この「天下りスキーム」を強化するためにも、役に立たない中小企業には補助金を与えてはならないのだ。

 

 

(4) 過疎地域の奴らは棄民だ!

少し振り返るが、去年11月の財制審の建議では、こんなことが書かれていた。
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20231120/zaiseia20231120.html


「人口減少エリアには新築の公共施設は作らない」と棄民政策を謡っているのである。
ヤバすぎるだろ。
震災直後なので、今年はこの記述は外れたが、経団連と財務省が常々言っていることなので、間違いなく「棄民」は進む。

そして、「インフラの質と量はすでに十分」で、「建設業で働く労働者が少ないから公共事業を少なくする」ということであるが、常軌を逸している。
今回は、財制審の建議資料をざっと振り返ったが、一言で評するなら、これは気が狂った人間じゃないと作れないシロモノだということだ。

財政や経済学の知識がまるでなく、同時に国民を苦しめ、国力を衰退させ、自分たち大企業と上級官僚だけはその衰退する国のなかで生きながらえたいとした、強い意志がないとこんなものは作れない。

悪の巣窟、財政制度審議会は絶対に解体しなければならない。
これを国民運動にしていこう。


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