「検閲」が反対者を黙らせるための武器と化している。

2016年頃からトランプ支持者/Qアノン界隈がピザゲートなどのデマの陰謀論を垂れ流し、ヘイトクライムにも発展したことから、主流メディアにおいて界隈の締め出しが始まった。
2020年からは、コロナウィルスやワクチンに関わる陰謀論も加わり、2021年1月の国会議事堂襲撃事件でそのエスカレーションのピークに達するとともに、ビッグテックが運営するソーシャルメディアからもMAGA界隈を締め出す検閲が強化されていった。
その検閲体制がウクライナ戦争で常態化、さらなる全体主義体制がしかれ、主流メディアやネット上から反ウクライナ的言説や反戦的な言説も排除されるに至った。

この状況に関し、筆者は有名な二ーメラーの詞を思い出す。
最初は共産主義者が排除された動きが、労働組合、 社会民主党、ユダヤ人へと迫害が拡がっていったとする詞だ。

「自分は当該集団の関係者じゃないから」と見て見ぬふりをしていると、自分がいざ迫害対象になった時には、社会には声を上げてくれる人はもう誰もいなくなっていた、という状況になりかねない。


ソーシャルメディア・プラットフォームは、ワクチンに関する誤情報に対する一般的な方針について「保健当局が認める稀な副作用を除き、ワクチンが慢性的な副作用を引き起こすと主張するコンテンツを禁止している」と声明で述べる。 

RFK Jrのインスタグラム・アカウントは、新型コロナウイルス感染症に関する誤情報を繰り返し投稿したことを受けて、2021年に永久に削除されたが、その後、大統領選出馬を表明した23年6月に復活した。

RFK Jrの過去のコロナウィルスやワクチンに関する情報が間違っていたのかどうか、細かには筆者にはわからない。
しかし、例えば、最初はコロナウィルスの武漢研究所起源説/人工物説を否定し、陰謀論扱いし、検閲し、人種差別主義だと罵ってていた主流メディアも今ではその方針を翻しつつあるように、主流派側が間違っていたケースも多い。

また別の件、これは本公聴会でも扱われた件(https://www.youtube.com/watch?v=M28tXX0cvvI)だが、たとえばハンター・バイデンの紛失したラップトップの存在を主流メディアは否定し、それらの存在を取り沙汰したタブロイド紙やMAGA界隈を陰謀論だと一蹴、さらにビッグテックは検閲したが、最終的には非主流派が正しかったことがわかった。
NYタイムスら主流メディアやツイッターらビッグテックは敗北を認め、彼らに謝罪している。
https://www.dailymail.co.uk/news/article-10624113/NYT-finally-admits-Hunter-Bidens-laptop-real-year-DailyMail-com-confirmed-authenticity.html

ハンターのラップトップには、ハンター本人だけでなくバイデン大統領本人がウクライナをはじめとする外国企業から10億ドルもの賄賂を受け取った証拠の一端があったとされる。
FBIやCIAはそれを、ロシアが情報工作のためにハッキングして流出させた偽情報だとしてタブロイド紙の報道を妨害したが、事実が確定した今でも何のおとがめもない。

デマを垂れ流していたのはFBIと主流メディア側だったのだ。
https://nypost.com/2023/07/20/biden-bribe-file-released-burisma-chief-said-both-joe-and-hunter-involved/
https://www.mashupreporter.com/hunter-biden-admits-laptop-data/


彼ら為政者や権力側は、それがデマなのか、または有意な仮説や疑惑なのかを区別できず、陰謀論だと一緒くたに括り、検閲により排除してしまっている。
また同時に、自身らに都合の悪い情報をデマ・陰謀論・偽情報・差別を伴う有害情報としてレッテルを張り、それらを隠蔽するために検閲することを意図的に武器化している


この検閲を介した全体主義体制に非主流派(主に共和党)が、アメリカの国会にて闘いを挑んでいる。

米国会の司法委員会にて、検閲・ハイテク企業・言論の自由に関するヒアリングとして「連邦政府の兵器化に関する公聴会(Hearing on the Weaponization of the Federal Government)」が開かれている。


先日7月20日に、共和党が民主党の大統領候補RFK Jr.をこの公聴会に呼び、ヒアリングを行った。

▼ Hearing on the Weaponization of the Federal Government

 

 



ケネディの陳述のテキスト版
https://judiciary.house.gov/sites/evo-subsites/republicans-judiciary.house.gov/files/evo-media-document/kennedy-testimony.pdf


https://www.foxnews.com/politics/democrats-censor-remove-rfk-jr-hearing-censorship-despicable-comments

この公聴会のケネディの様子をかいつまんで伝えようと思う。

公聴会の開幕は、「なぜ、私たちはここにいるのか?なぜこんな公聴会を開かねばならないのか?私たちはインフレや人々の生活の対応をしなければいけないのに、共和党は言論の自由を守るための証人としてケネディ氏を招聘した」と、まるで無駄な時間を過ごしていると言わんばかりの傲慢で高圧的な態度を示すステイシー・プラスケット下院議員(民主党)の冒頭陳述で始まった。

対してケネディは、「この委員会は、アメリカ国民に直接影響を与える問題に取り組むべきだという、委員の重要な指摘があった。過去2年間の食料品の価格高騰、ウクライナでの戦争とインフレ問題、国境問題...、その他にも、私たち国民生活に直接関係する多くの問題がある。しかし、憲法修正第1条なしには、そして議論なしには問題解決はできない」と完璧なアンサーを返した。
https://www.youtube.com/watch?v=OUZ_bQoV6zI
 

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ステイシー・プラスケット下院議員(民主党)は冒頭陳述の中で、コロナウイルスとワクチンに関連したケネディの主張の一部をリストアップし、その中で「コロナウイルスは白人や黒人を攻撃することを目的としており、そして最も免疫力があるのはアシュケナージ系ユダヤ人と中国人である」と述べたとした。

また、「ケビン・マッカーシー(共和党、トランプの側近)とジム・ジョーダン下院司法委員長(共和党)らは、こうした有害で危険な見解に米国議会での時間を与えるために、意図的にこのレトリックを増強しようとしました。それはそのスピーチを支持し、その言論の自由を支持するだけではありません。彼らはこの愚かで偏屈なメッセージについて共同署名したのです」と語った。 

プラスケットは「なぜ彼らがその選択をするのか明確です。それは言論の自由を守るためでも、すべての人の平等を確保するためでもありません。これらはすべて…ジョー・バイデンを攻撃することでドナルド・トランプをホワイトハウスに戻すためにやっていることなのです」と結論した。

(中略)
ケネディの冒頭陳述の後、デビー・ワッサーマン・シュルツ下院議員(民主党、フロリダ州)は、「ミスター・ケネディの発言はおかしい」と主張し、委員会を執行部会議に移す動議を提出した。
「ケネディ氏は、名誉毀損や品位を傷つける傾向にある証言を禁止する規則に違反して、卑劣な反ユダヤ主義的および反アジア的コメントを繰り返し述べている」としたが、動議は否決された。

The Hill:
https://thehill.com/homenews/house/4107697-democrats-tear-into-rfk-jr-during-weaponization-hearing/
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また、ケネディの陳述の前に、シュルツ議員はケネディの発言時間を削るよう要請もした。

下院司法委員会のジム・ジョーダン委員長(共和党)は「彼を切り捨て、さらに検閲したいなら、どうぞご勝手に」と述べ、会場の笑いを誘った。

シュルツはケネディの陳述後に、証人への質問の体を装ってさらなる攻撃も加えている。ケネディが発言してもいないことを「発言した」として挙げ連ね、彼には殆ど弁明の機会を与えず発言を遮り、根拠のない話を元にした反ユダヤ主義だと批判をしている。
その様相はまさにカルト宗教の狂信者といったところだ。
キム・アイヴァーセンの動画でその様子を確認できる。
https://www.youtube.com/watch?v=qIX4Ozs8R8A

シュルツの動議などに関して、ジム・ジョーダン下院司法委員長(共和党)は「民主党は検閲に関する公聴会で言論を検閲しようとしている。ありえない」とツイートしている。

 


また、ジョーダンはFoxニュースの『ハニティ』で、「彼らはバイデン政権2日目からこの男を追っていた。ホワイトハウスからツイッターに『このツイートを大至急削除せよ』というメールが届くんだが、そのツイートはロバート・F・ケネディのもので、内容もとくに間違ったものではなかった。メールの件名には『RFKの誤報』とあったが、誤報ではなく、正確なものだったのだ。しかし、仮に誤情報であったとしても、憲法修正第1条はそれをも保護するのだ」とも語り、ケネディを擁護した。
https://www.washingtonexaminer.com/news/house/jim-jordan-calls-democrats-censorship-party-tense-rfk-jr-hearing

民主党のプラスケットとシュルツだけでなく、ジェリー・コノリー下院議員(民主党)も「ケネディ氏が共和党の要請で公聴会の場に立つことは、バイデン大統領を困らせるために政治的に利用されている。私はあなたの父親ロバート・ケネディを尊敬しているが、あなたの行為はケネディ家の名を貶める」と侮辱した。

筆者は民主党(サンダース派)を支持してるが、民主党議員のOwellianな全体主義傾向に比べて、この点に関する共和党議員がいかにまともかを思い知った次第だ。

プラスケットとシュルツら民主党議員によるケネディの「反ユダヤ主義」発言への攻撃は、藁人形論法に他ならない。
ケネディが言ってもいないことをもとに架空の虚像を作り上げ、それをポリコレ棒で叩いているのだ。

初期のコロナウィルスが、黒人や白人に容易に感染・劇症化し、他方でユダヤ人や東アジア人は移りにくいことを示す医学論文をケネディが引用したことは、前回の拙ブログ記事でも示したところだ。
根拠のない話ではない。プラスケットやシュルツは根拠とした論文に目も通さず、大本営メディアの虚構のヘッドラインだけを信じ込み、発言しているに違いない。



ケネディが陳述で何を言ったのかも確認しよう。
 

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ケネディは冒頭、自身の演説や、大統領選への出馬を民主党が検閲しようとする広範な取り組みを嘆いた。同氏は、立候補を表明する演説が開始5分後にユーチューブによって検閲されたと述べた。

「検閲は私たちの党の方針とは正反対だ」と彼は言った。また「議長が言及したように、父にとっても、叔父にとっても、FDRにとっても、ハリー・トルーマンにとっても、トーマス・ジェファーソンにとっても、それは愕然とするものだった。検閲に反対することは民主主義の基礎だ」と述べた。

「憲法修正第1条は、言論を容易にできるように書かれたものではありません。これは誰からも好かれない言論のために書かれたのです」と彼は付け加えた。

ケネディは、バイデン政権発足からわずか3日後にワクチンに関する同氏のコメントを検閲しようとしたことを示す最近の電子メールに言及した。

「彼らは私のような人々を検閲するために『悪意のある情報(Mal-information)』という新しい言葉を発明しなければならなかった」「悪意のある情報とは、真実ではあるが、政府にとって不都合な、人々に聞いてほしくない情報のことです」と彼は語った。

FOXニュース:
https://www.foxnews.com/politics/democrats-censor-remove-rfk-jr-hearing-censorship-despicable-comments
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修正第1条は自由権の保護を謳っている。言論の自由、出版の自由、信教や結社の自由、また請願権を保障した。
憲法を遵守する義務のあるアメリカ政府がこれらをないがしろにするのは憲法違反だ。

また、上記Foxニュースは隠したが、修正第1条に触れたあとケネディは「トランプ政権からも検閲を受けた」と発言している。
彼は、民主党・共和党双方に「検閲をすべきではない」と問いかけている。

もう少しケネディの公聴会での発言を紹介する。

 

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「私は、ターゲットを絞ったプロパガンダと呼ばれる、人々が『反ワクチン』などの軽蔑的な表現を適用する、この新しい形の検閲を受けています。私は決してワクチン接種に反対したことはない」とケネディ氏は語った。 

また、ケネディは自分が反ユダヤ主義者であるという「証拠はない」と述べ、ここ数日行われている同氏への攻撃は同氏を黙らせることを目的としていると述べた。 

「反ユダヤ主義や人種差別主義、これらは最もぞっとする、うんざりする軽蔑語であり、私を黙らせるために私に適用されています」と彼は言った。 

ケネディは、検閲は政治的二極化を終わらせる方法ではなく、「問題を悪化させ、増幅させるだけだ」と主張した。同氏は、この国は他者に敬意を払う模範を示す必要があると述べた。 

The Hill:
https://thehill.com/policy/technology/4108865-rfk-jr-hearing-puts-censorship-misinformation-fights-at-center-stage/
https://thehill.com/homenews/house/4107736-rfk-jr-says-accusations-of-antisemitism-racism-are-disgusting-pejoratives-to-silence-me/

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アメリカの民主党のスターリンのようなふるまいは、我が国の立憲民主党を彷彿とさせる。
「衆院選で消費減税を掲げたが2度とやらない」と元党首が平然と公約破棄を宣言し、「脱糞民主党」とした絵を描いただけの一般のイラストレーターを刑事告発し、山本太郎の法務委員会での行いを「暴力をふるって議員に怪我を負わせた」などと未確定事案を事実として扱い貶めるなど、立憲のスターリン化も枚挙にいとまがない。


ケネディを攻撃するのは民主党議員だけではない。
検閲体制を守護する巨人CNNは、以下のように皮肉たっぷりに誹謗中傷を展開した。

 

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ケネディは下院のハキーム・ジェフリーズを含む民主党議員から「生きた、呼吸している偽旗作戦」と非難された。

ジョン・F・ケネディ大統領の孫であるジャック・シュロスバーグ氏は金曜日、ソーシャルメディアのビデオでRFK Jr.の立候補は「恥ずべきことだ」と述べた。

激しい公聴会での政略結婚は、トランプ大統領が右派側で開拓したポピュリズムと真実の歪曲がいかに左派にも大きな影響力を持っているかを浮き彫りにした。
これは、アメリカ政治の主流がいかに非主流派の声や過激派の立場によって包囲されているかを示したもので、こうした声はかつては聞き入れられなかったが、近年ではソーシャルメディアや選挙運動、さらには議会やホワイトハウスにまで足場を築いている。

トランプも頻繁に使用した戦術である代替現実(alternative realities)の創造の一例として、ケネディはこれまで反ワクチン、人種差別主義者、反ユダヤ主義者であったことを強制的に否定した。
また先日の生物兵器論争については、ケネディは公聴会中であっても図々しくも新たな真実をでっち上げているように見えた。

CNN:
https://edition.cnn.com/2023/07/21/politics/rfk-jr-republican-democrat-politics-analysis/index.html
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実に薄気味の悪い嫌味だらけの記事である。
しかし裏を返せば、戦争屋とエスタブリッシュメントが、心底ケネディを恐れていることを物語る。
あらゆるデマを駆使し、Alternative Truthを創造することでケネディを排除しようと血道を上げているのだ。

筆者は、コロナウィルスとワクチンに関するケネディの行き過ぎた発言を是とはしないが、それを政府やメディア、ビッグテックがいっせいに検閲によって黙らせることは反民主主義的だと断じたい。

 

彼らは、コロナウィルスの武漢研究所発生説/人工物説や、ハンター・バイデンのラップトップ疑獄など、公益性に資する訴えもまるごと検閲した。

「公共の福祉」の観点から、他人に危害をもたらす悪意ある言説には何らかの規制が必要なのかもしれないが、現在の民主党はミカン箱の中の1個のミカンが腐っていたからといって、箱ごと捨てるようなことをやっているのだ。

これからもRFK Jr.と全体主義体制との戦いには注目していきたい。


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