出所:ツイッターの武田さん

 

本日は経済同友会という経済のシロウトの皆さんに反論したいと思います。

 

経済同友会は、経団連と並び日本経済を破壊することを目的とした反社会的組織なのではないかと疑われますが、経済同友会の櫻田謙悟代表幹事(SOMPOホールディングス)は5月11日に記者会見を行い、以下のようなアホ丸出しの見解を開陳しました。

 

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「PB、2050年度も赤字のまま」 経済同友会試算

朝日 2021年5月12日
https://www.asahi.com/articles/ASP5C6V33P5CULFA019.html

 

政府が財政健全化の指標として黒字化をめざしている国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)について、経済同友会は11日、現状並みの経済成長では2050年度でも赤字のままだとする試算を発表した。政府は25年度の黒字化を目標にしており、同友会は「現実的な目標が必要」と訴えている。

 

PBが黒字になると、社会保障などの政策経費を新たな借金に頼らずにまかなえるようになる。しかし、内閣府の試算では、高い経済成長が実現できても黒字化できるのは29年度。現状並みの成長なら30年度でも赤字のままで、赤字額は国内総生産(GDP)の1・6%に上るとしている。

 

 そこで、同友会は今回、31~50年度の状況について、内閣府の推計の仕方をなるべく再現して独自に試算した。その結果、成長が現状並みなら、50年度のPBは赤字のままで、赤字額はGDPの1・8%に拡大した。国と地方の債務残高の対GDP比も、すでに21年度で先進国最悪の208%に達する見込みだが、50年度には260%まで悪化するとした。この比率を毎年下げていくには、消費税率を26~34年度に毎年1%ずつ引き上げて19%にする必要があるとも試算した。

 

同友会で今回の試算をまとめた神津多可思氏(リコー経済社会研究所長)は11日の記者会見で、政府が現実的な財政再建目標を設ける必要性を訴え、「コロナ対策に伴う債務に現役世代で対応する議論を始めないといけない」と指摘した。

 

同友会では、東日本大震災の際、復興のためのお金を通常の予算と別枠で管理した復興特別会計や、その財源のために導入した復興特別税を参考に、コロナ後の財政を立て直す具体的な方法の検討を始めるべきだとしている。

(後略)

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櫻田謙悟経済同友会代表幹事の記者会見発言の詳細はこちらです。

https://www.doyukai.or.jp/chairmansmsg/pressconf/2021/210512_1514.html

 

 

多くの日本人は「経済同友会」とか「日本経済団体連合会(経団連)」と聞くと、何やら経済の専門家なのかという勘違いをしてしましますが、彼らは大企業の連合体で、「経営の専門家」であり、マクロ経済は専門外です。

その専門外のド素人の皆さんがなぜか偉そうに政府に対して提言などを行い、大本営マスコミの皆さんも大真面目にそれを報道しているのですから世も末だと感じさせられます。

なぜ金儲けに長けただけの人たちが、経済について知ったかぶりするのか全くよくわかりませんよね。

経済同友会や経団連に属する企業の幹部の皆さんはマクロ経済が不得意でしょうから、以下の高卒の書いた文章でぜひお勉強してください。

 

ちなみに経済同友会の役員には、リンク先のようなおマヌケな面々が雁首を揃えています。

 

▼ 経済同友会 役員紹介

https://www.doyukai.or.jp/about/managers.html

 

また、この提言を出した「2020年度経済財政推計PT委員」の名簿は神津多可思(リコー経済社会研究所所長)をはじめ以下の通りです。

 

今回の提言の元となる資料も存在するので、以下リンク先にあるそのPDF資料と合わせてこの一連の提言を検討していきたいと思います。

▼  持続可能な財政構造の実現に向けて

〜長期の経済財政試算を踏まえて〜  経済同友会

https://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2021/210511a.html

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まず、新聞報道からわかることは以下の大きな二点です。

 

①    PB赤字を解消するためには、消費税率を26~34年度に毎年1%ずつ引き上げて19%にする必要がある

②    コロナ対策で累積した債務を償還し、財政再建するために復興税が必要

 

当方のブログを読んでくれてるような反緊縮派の人にとっては、これがいかに愚かなことなのかと、速攻でツッコミが入りますよね。

そもそも「PB黒字化」を目標にする先進国なんか存在しません。それどころかギリシャはPB黒字化目標をユーロに強制されて破綻しましたので、どれだけ愚かなことなのかまともな国のトップたちは理解しています。

日本政府や経済同友会の皆さんはまともではないので、事実を認識する能力がないのかもしれません。

 

さらに、災害にあって国民が苦しんでいるのに、消費増税や復興税と称する増税をするつもりらしいですが、そんな気の狂った国も世界にはありません。

世界では50カ国以上が消費減税していますが、不況期には減税することこそがマクロ経済学のまっとうなセオリーに則った政策です。

そして公的債務を税収で償還するということは、国債の見合いとして発行されている貨幣を世の中から消し去るということです。流通貨幣量が減れば不況になりますので、愚かでしかありません。

 

 

経済同友会自身が作った各国の状況(上図)でも「復興税」なんて言ってる国はないですよ。

むしろ米英は所得・法人税を累進で上げて格差是正・ビルスタの強化をしようとしています。

こやつら経済同友会というのはホンマもんのバカなんじゃないだろうかと思います。

 

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こんな感じで、おバカ提言に一個一個細かくツッコミを入れていきましょう。

 

 

金利は政策変数であり、災害が起こってもびくともしないことは実際の金利の動きを見ていれば誰でも即座に理解できます。「財政状況のリスクが認識される」ことなんてありません。

上図のように米金利はFRBの宣言通りに19年初頭から下がりっぱなしで、コロナ禍でもビクともしませんでした。経済復興の見込みを理由として21年3月に少し上がりましたが、それもFRBの「金利を2%以下に抑える」との宣言通り収束します。

日本も同様に、東日本震災があってもコロナ禍があってもビクともしません。21年初頭から米金利に引っ張られる形で少し上がりますが、日銀が「+ー0.25%に抑える」と宣言し収束しました。

ECB総裁のラガルドは「投資家はいくらでも挑戦してこい。(金利を保つための)タマなら中央銀行にはいくらでもある」と自信満々です。

 

なぜ100年に一回の大災害でも金利が上がらないのか。金利が政策変数なのか。

それは…

そして「財政的リスクが確認されれば、国債の保有主体が国債借り換えに慎重になる」ということを言っていますが、まず、事実として国債というのは基本的に借り換えを延々繰り返し、消化されていくのみです。

そして例えば、日銀保有の満期到来債は現先取引(後で必ず買い戻す約束)として特別会計の国債整理基金に借換債として渡され、それが市中に売りに出され、再び日銀に買われます。この過程には市場の意思の介在があるようにも見えるかもしれませんが、日銀が必ず買い戻すので、絶対に転売益を得られる借換債を市場が買わないなんてことはありえません。現先取引は会計上の規則ですので必ず完遂されます。

民間保有の満期到来債も必ず事後的に特会と日銀に買われますので同じです。

 

(現先取引について)参考: 私や門前さんが富山大学名誉教授の桂木健次先生にヒアリングをしながら解読した結果を、門前さんがわかりやすく記述してくれています。

 

▼  日銀保有の満期国際償還のプロセスについて~桂木健次先生の研究ノートより~

https://shin-geki.com/2021/03/14/%e6%97%a5%e9%8a%80%e4%bf%9d%e6%9c%89%e3%81%ae%e6%ba%80%e6%9c%9f%e5%9b%bd%e9%9a%9b%e5%84%9f%e9%82%84%e3%81%ae%e3%83%97%e3%83%ad%e3%82%bb%e3%82%b9%e3%81%ab%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%a6%ef%bd%9e%e6%a1%82/

 

もちろん経済同友会が言うような「日銀の国債買い支えに限界がくる」なんてことも絶対に起こりません。必要以上に国債を買う必要はありませんが、自分で金を刷れるのに、どうやって資金がショートするんでしょうか(笑)

バカなことを言ってないで、少しは世の中の役に立つ行動をしてください。

 

 

事実は、「人口減少で経済成長が低下した」のではなく、「経済成長を止めるために政府支出を絞った」だけです。

経済成長と人口減少にはなんの相関関係もありません。

よって将来世代に公的債務(流通貨幣残高)を先送りにし、将来世代を豊かにしなければなりません。

ましてや復興税で経済を破壊しようなんてもってのほかです。

 

以下のグラフはCreate Commonsさんと作りましたが、労働人口の減少する世界18カ国のGDP、労働人口、政府支出の変化率を比較しました。

経済成長と人口減少にはなんの相関関係もありません。

ごちゃごちゃ言ってないではよ金を出せ、ということです。

 

 

 

同友会は「経済成長させられないから債務返済が滞る!だから消費増税だ!」というようなこと言ってますが、政府が金を出して成長させれば良いだけですね。

消費増税は民間需要を落ち込ませるだけですから、「財源は税金」という立場に立ったとしても愚策でしかありません。

 

 

 

「将来世代を巻き込んで開かれた議論」が必要だとのことなんで、高卒のオレも呼んでくれよ。ボケた爺さんどもにファクトをもとに説教かましてやるから。

 

 

 

「社会保障費が増えて大変だ」とのことです。

金を出せばいい。以上。

 

 

 

「持続可能な財政構造を実現するためには、公的債務残高対GDP比の安定的な引き下げ」は必要ありません。もし債務対GDPを減らしたいのならGDPを上げるべくお金を出してください。

消費増税や歳出削減はバカが考えるTHE愚策です。

 

 

 

「労働生産性を上げれば成長する」とのことですが、無理やりそんなことをしても経済を悪化させるだけです。

コロナ禍以前から需給ギャップが何十兆円も開いている不況期でしたが、その需給ギャップがコロナ禍でさらに広がりました。

これは多くの工場や労働リソースが遊んでいる状態で、需要に比べて供給が過多な状態にあります。

そういう時には足りない需要を補うべく政府支出し、需要が供給に追いつくように減税し、雇用を支え賃上げを後押しするものです。

産業構造の転換による労働生産性の向上は、好況期、つまり工場がフル稼働しているような時に、天井を開けて供給能力を増やすためにやるものです。

需給ギャップが大きく開いているのに産業構造を転換し、労働生産性を向上させるなんて不況になるだけで、バカが考えることです。

 

労働生産性は利益を上げるか、材料費等のコストを下げるか、労働者数を減らすかでしか実現できません。

利益を上げるということは、銀行貸し出しによる信用創造を伴わなければ他人から何かを奪うことにほかならず、材料コストを下げるということは下請けの買い叩きにしかなりません。また、言わずもがなですが労働者数を減らせばマクロで需要が減退します。

つまり労働生産性を無理に上げようとしても、殆どの場合「合成の誤謬」が起こり、悪い結果に繋がるだけなのです。

 

このあたりのことはこちらのリンク先で全て説明しました。

 参考: ▼菅政権の「中小企業淘汰」政策 まとめ(保存版リンク集)

https://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12673250506.html

 

 

「回復・成長が認められない産業は潰せ!」「労働規制を緩和して産業構造の転換を図れ!」「女も老人ももっと働いて社保料を払え!」「それがダイバーシティだ!」とのことです。

どんなダイバーシティだよ(笑)

あんたらが言ってるのはディストピアだよ。

 

これらの提言はスガ政権や経産省、東京財団、財制審、アトキンソン、竹中平蔵らが言ってるネオリベ政策そのものですが、このへんの気の狂った考えもこちらのリンク先で経済学的に間違っていることを説明しています。

 

 参考: ▼菅政権の「中小企業淘汰」政策 まとめ(保存版リンク集)

https://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12673250506.html

 

 

先日、自民党と公明党、維新の尽力で年収200万円以上の高齢者の医療費負担が1割から2割へと、2倍になりましたが、同友会はさらに負担を強いるとのことです。

これもそんなことせずに「政府が金出せ」で終わる話です。

 

 

気が狂ってるとしか言いようがないですね。

高齢者は早く死ね、と言いたいようです。いい加減にしろ。

 

 

高齢者になってもまだ働けということです。

経済同友会はとにかく弱者をいじめることしか考えていません。

 

経済学にあまり詳しくない方であっても、この経済同友会という組織が人でなしの集まりであることがお分かりになると思います。

 

そんなに負担を求めたいのであれば、まず自分達からどうぞと言いたいですね。

経済同友会所属の企業からはがっぽりと法人税を召し上げてほしいです。

ビルトインスタビライザー強化と格差是正のために法人税を上げ、高所得者の所得税も上げるのが今の世界の潮流です。

経済同友会の人たちはあまりにも情報弱者であるために知らないのでしょうね。

 

 

そんなわけで、経済同友会への反論は以上となります。

 

最後までご覧いただきありがとうございました。

ではまた次回!

 

cargo