いずれまとめようと思ってたのですが、やっと本日アメリカと日本のコロナ対策額を比較してみようと思います。


まずはアメリカから。

アメリカの財政出動の規模と中身をまとめてくれている便利なサイトを2つ発見したので、基本的にはこれらのサイトの表記に沿っていきます。

▼ Investmedia - A Guide to U.S. Coronavirus Stimulus Packages and Relief Measures
https://www.investopedia.com/american-rescue-plan-definition-5095694

▼ Comittee for a Responsible Federal Budget - COVID Money Tracker
https://www.crfb.org/tags/covid-money-tracker
               *CRFBは、政府の予算に拡大に大変厳しい「緊縮派」の半公的シンクタンクです

今回のブログでは詳細には触れませんので、細かい数字や支出先を確認したい方は上記サイトをぜひ見てみてください。
(私自身何度も同じ内容を調べているので、CRFBとInvestopiaの記述はかなり正確だと判断しています。例えば1年前にも薔薇マークのサイトの資料室にもアメリカの財政規模額等に関する報告書を掲載しましたし、ブログでも何度も報告しています)

アメリカは2020年3月以降Phase1~Phase5として、おおまかに5回の補正予算を投じました。

 

アメリカのコロナ対策費

Phase 1
  2020年3月6日 トランプ大統領が83億ドルのコロナ緊急対策に署名。

Phase 2
  2020年3月18日 1920億ドルの「Families First Coronavirus Response Act(FFCRA)が法制化。

Phase 3
  2020年3月27日 2.3兆ドルの「Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security Act(The CARES Act)が法制化。

  Phase 3.5
  2020年4月24日 4840億ドルの「Paycheck Protection Program and Health Care Enhancement Act」が法制化。
    
Phase 4
  2020年12月27日 9080億ドルの「Bipartisan COVID Relief Bill」がトランプ大統領によって署名。

Phase 5
  2021年3月11日 1.9兆ドルの「American Rescue Plan」がバイデン大統領によって署名。

        総額は、5兆7923億ドル = 637兆1530億円 (*1ドル110円で計算)

            GDP比で27%   (*2019年の名目GDP 21兆4332億ドルと比較して)
 

 

ここで漏れている細かい追加予算も多少あると思いますが、だいたいこれで合ってるはずです。
(CFBRは総額5.9兆ドルと記述しています)

そして、皆さんが気になってる「真水」ですが、私は5兆~6兆ドルだろうと見ています。

なぜこんなにざっくりしたことしか言えないのかというと、PPPとEIDLといわれる中小企業・個人への融資があって、その予算額が1.5兆ドルほどにも及ぶのですが、これが、借りた金額の75%を給料・光熱費・家賃等に使用すれば全額免除される、つまり返済の必要のないものになっています。
このPPPやEIDLという融資は、殆どが「真水」に替わる性質があり、ひょっとしたら予算計上された額以上になる可能性もあるからです。

現在1兆ドルほどが未執行だといいますが、3月10日(Phase5が法制化される前)の報告によると、Phase4の分がまだ執行しきれていないからとのことです。

この既に議会決議された5兆~6兆ドルに加えて、今後、インフラ投資向けの2.3兆ドルの「Jobs Plan」と今後策定される2兆ドル規模の「American Families Plan」が続きます。

羨ましい限りですね。
アメリカの好景気は約束されたようなものなので、私も当地に移住したいです。


さて、我が日本はどうでしょうか。
今回あらためて私なりに精査しました。

 

日本のコロナ対策費

Phase 1(第一次補正予算)


https://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2020/sy020407/hosei020420b.pdf

第一次補正予算計上額  25兆6914億円
 国債整理基金 ー1259億円
 融資     ー3兆8316億円
  合計  21兆7339億円


Phase 2(第二次補正予算)


https://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2020/hosei0527.html

第二次補正予算計上額  31兆9114億円
  融資     ー11兆6390億円
  国債整理基金 ー963億円
   合計  20兆1761億円

ちなみに安倍が「第一次+第二次補正予算の総額は234兆円で、空前絶後の世界最大規模だ!」と言っていたのは真っ赤な嘘です。
過去の日本の財政出動の粉飾決済は、ピーターソン国際経済研究所所長のポーゼン教授やMMTのランダル・レイ教授にも「二倍以上の大きさで誇張されている」と指摘されており、日本の統計が信用できないことは世界的にもバレています。


Phase 3(第三次補正予算)


https://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2020/hosei1215.html

第三次補正予算計上額  19兆1761億円 + 特別会計9320億円 = 20兆1081億円
  融資     ー3兆2049億円
   合計  16兆9032億円
          総計  58兆8132億円

        総額は、約58.8兆円 

            GDP比で10.5%   (*2019年の名目GDP 561兆2660億円と比較して)
 


補正予算に計上された19年の治水費、して融資分や国債整理基金等の費用は差し引き、予備費は全額使用したものとして考えました。
(3次補正の国土強靭化や自衛隊費用などは、あまりコロナ対策に関係のなさそうですが、この費用約10兆円は含めました)

 

ちなみにですが、日本の融資政策に関してですが、企業向けの劣後ローンは倒産しないとチャラにはならず、個人向けの緊急小口資金や総合支援資金は、独身世帯で所得が35万円という住民税非課税世帯しか返済不要となりません。いずれも高い高いハードルが設定されていますので、ほぼ真水にはならないだろうと予測できます。

本当はもっと正確に算出して、グラフも新しく作りたいのですが、体力と使える時間に限界がありますので、ご容赦下さい。(誰か、替わりにやってくれ~)

とにかく、日本のコロナ対策のGDP比は、アメリカの半分以下となります。

スガ首相は緊急事態宣言をした4月22日その日に「21年度第一次補正予算は組まない」と豪語していますので、これ以上のプランはない恐れもあります。
これでは、衰退国化は確定ですね。

 

GDPは先進地域で最悪です。


IMFにもアジアで最悪の復興度だと試算されていますので、大不況が続くことは間違いありません。

 

本日もおつきあいありがとうございました。

 

また次回!!

 

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