先日の大阪市廃止構想はすんでのところで阻止できましたが、悪の根が絶やされたわけではありません。
本格的な「日本崩壊」が、一時的に回避されただけに過ぎません。

維新は依然として大阪府・市の議会の最大多数を占め、行政を牛耳っています。

そればかりか、今回の住民投票で民意が示されたにも関わらず、住民投票の必要ない「合区」という方向性で、大阪市の2000億円をネコババしようと策謀していますので、絶えず監視・糾弾していくことが必要です。
 

 


今回の住民投票で危惧されることになったのが、30代・40代の男性が維新政治、つまり新自由主義(ネオリベラリズム)にシンパシーを覚えているという事実でしょう。



新自由主義とは、「緊縮財政・グローバリズム・規制緩和の三点セット」を伴いながら推進されていきますが、そのすべてが愚策であると言っても過言ではありません。

今回はこの三点セットのひとつ「規制緩和」について、マクロ経済学的にどのように間違っているのか説明したいと思います。
 *この場合の規制緩和とは、民営化・自由化・構造改革などと呼ばれるものが含まれます。

ビジネスの現場で、特にIT・デジタルやドローン、シェアエコノミーなど新産業に関わる分野で「規制が厳しいので自由な経済活動のために、規制緩和してほしい」と感じることも多いかもしれません。

多くの人たちは「自由であることが良いことだ」「規制は打破しなければならない」という漠然とした感覚を共有していると思います。

もちろん、公共政策が民業を圧迫するような事態もありますので、政策担当者はそれが本当に良いことなのかよく考えて規制を緩和しなければなりません。

しかし、基本的に規制緩和は、好景気でインフレ傾向にあり、生産能力がフル稼働している時にやるものです。
(新自由主義が流行った1970年代は高インフレ期≒スタグフレーション期で、インフレを抑えるために規制緩和政策を機能させました)

デフレ不況で、完全雇用下でもない現在は、規制緩和をすると新規参入者が増え過当競争が始まるため、さらに物価を下落させる要因(デフレ要因)になるので、やってはいけない政策となります。


下の「100人村」の簡略図を見てください。
(究極に単純化しました)
  ・前提1 : 100人村に1つのコンビニがある。100人全員がこのコンビニで買い物をする。
  ・前提2 : 100人村にはコンビニを2軒以上作ってはならない規制があったが緩和され、2軒のコンビニができた。



この場合、この100人村の運命はどうなるでしょうか?

2軒のコンビニのお客さんは50人・50人とか、70人・30人とかになり、元々あったコンビニも新しくできたコンビニも「商売あがったり状態」になることが誰にでもわかりますよね?

100人分しかない需要(購買力・消費する力)を2軒のコンビニで分け合うのですから、コンビニの売り上げは必ず落ちます。

すると、彼らはもっと頑張って商品を売ろうとするため、商品価格を下げたりします。
そうしてこの競合社間で過当競争が始まります。

コンビニの赤字が常態化すると、経費削減のために店員さんが賃下げ・解雇されるかもしれませんし、どちらかのコンビニが潰れてしまうかもしれません。

コンビニ店員さんの所得が減少し、または失業状態になると、その人の消費も減少します。

すると、コンビニ店員さんの消費により、得るはずだった収入を失うスーパーや電気屋さん、レストランも出てきます。

これらの収入が減ったお店屋さんは、消費を減らし、また他の誰かの所得も減り…(以下ループ)

こうやって悪循環が拡がり、デフレ不況を進めていきます。


このようなかたちで経済崩壊が起こらないようにするために、「規制」が存在するのです。


100人村の例から、「需要が低迷しているのに、供給側を増やすと、余計にデフレ不況が広がる」という命題が得られます。


この間違った「規制緩和」を進め続けたのが平成の30年間、つまり「失われた30年」となります。

例えばかつて、住宅地や小売商店の並ぶ土地にショッピングモールなどの大型店舗を作ってはいけないとする「大店法(大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律)」という規制がありましたが、アメリカの年次改革要望書やUSTRの圧力により撤廃され、その結果、商店街が「シャッター通り化」した経緯があります。

平成の時代は、他にも派遣業や弁護士、宅配業界、タクシー運転手、保育士、バス業界、整体師、歯医者、薬剤師などなど、マクロレベルでどんどん規制緩和していってしまいました。
 

【参考】  ▼ デフレ脱却のために規制緩和して価格を下げる??笑
https://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12287593480.html
 *2017年の拙ブログなので、理論的に少し間違いもありますが、ご容赦ください。本文中に松尾匡先生の助言もあります(懐かしいw)


例えば、供給サイドの規制緩和により新規参入者を増やしたことにより、柔道整復師さんの数は1000人から7000人(毎年)に膨れ上がったといいます。
その結果、過当競争により柔道整復師さんの収入は激減し、さらなる需要低減を招きました。

上述した「100人村コンビニ」の惨状を思い返してください。
柔道整復師さんに起こった惨劇と同じことがおこっていますよね。

平成の30年間の低需要不況・低成長状態とは、なにも時代の流れとか自然現象のように起きたものではなく、人為的にもたらされたのだとわかります。

需要(人々の消費や投資)が落ち込んでいるところに、規制緩和で供給側を無理やり拡大した結果、更なるデフレ不況が加速されたということです。

世界では、この日本の「低需要・低成長」状態を「Japanification(日本化)」と呼んで、反面教師にしていますが、このことを日本の一般人、ひいては維新のネオリベ路線に感化される30代・40代男性が知る由もありません。

というか、本当は一般教養としてこれくらいのことはぜひ知っておいてほしいところですが、おそらく企業経営者のような視点で考えてしまうので、「生産性を上げて供給側を増やせば経済は上向く」程度に考えているのだと思います。または「まとめサイト(主に自民党関係者により運営されている)」の中毒になり、洗脳されてしまっているので、その間違った知識を払拭すべく経済学を勉強することもないのでしょう。


安倍前首相や、スガ首相、維新が薦めるネオリベ政策、規制緩和政策は、「成長戦略」でもなんでもなく、完全に間違っているどころか、日本衰退化を進めるだけなのです。

彼らは単なるバカなのかもしれませんし、規制緩和により既得権益者に利益供与するために懸命に働いているだけなのかもしれません。


最後に、ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ教授の名言を引用しましょう。


出典:首相官邸 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokusaikinyu/dai1/gijisidai.html 
  *追記:翻訳が正確ではなかったので上記画像を差し替えました。

「供給それ自体は需要を生まない」。
供給側、つまりお店屋さんなどの数を増やしても、需要する側の国民にお金がないのだから、お店で消費することもないので、経済成長しないということです。


じゃあ、国民に需要するだけのお金がないとしたら、どうすれば良いのでしょう?

それは、私や反緊縮派がここ数年ずっと言ってるように、政府がもっと財政出動することです。

このことは、この数年で、IMFや世界銀行、FRB、ECBなど名だたる世界的機関も推奨するようになりました。

 

 

これこそが「There Is No Alternative」です。
本当に本当に、この道しかありません。


本日はここまで。
ご覧いただきありがとうございました。
また次回。

cargo



追記:
大阪府議会、大阪市議会ともに反日勢力(維新と公明党)に多数を抑えられていますので、市民が悪党と対決するには市長と府知事のダブルリコールしかないんじゃないでしょうか?

大阪府議会:維新49人、自民16人、公明15人、共産2人、そのほか5人
http://www.pref.osaka.lg.jp/gikai_giji/giininfo/kaiha19.html

大阪市議会:維新40人、自民19人、公明18人、共産4人、そのほか3人
https://www.city.osaka.lg.jp/shikai/page/0000002245.html