「偽造、捏造、安倍晋三」

「嘘つきは安倍のはじまり」

と言うように、教祖がホラ吹きなら信者も悪質なデマ吐きであります。

 

ネトウヨ(似非ウヨ)さん達がまたまた判で押したようなデマをネット上で流布しています。

「民主党政権時代に公共事業を削ったので、西日本豪雨で死者が増えた」というのです。

 

結論から言うと、これは完全な間違いです。

 

災害にあわれた方達の気持ちを利用した民主党叩きは実に見苦しい。

とうとうここまで堕ちたかという印象です。

 

以下で説明します。

 

まずこのグラフをご覧ください。

京大大学院藤井聡教授作成

https://www.facebook.com/Prof.Satoshi.FUJII/posts/697495460351400

 

確かにこのグラフでは2009年から2010年にかけてガクンと治水分野の公共投資額が減っています。

しかし、その減った治水事業を2013年から始まる安倍政権でも大きく増やしたわけではないことがわかりますし、2009年に至るまで大幅に削減し続けたのは自民党政権であることも見てとれます。

 

さらにもう一つ表をご覧いただきたいと思います。

以下も同じく財務省の公共事業関係費からのデータですが、藤井先生の表より広めに「治水」の概念をとっている(ひょっとしたら藤井先生の表は補正予算を含めていないのかもしれません)ようです。

財務省:公共事業関係費  https://yamba-net.org/14033/

 

一番上の「治山治水対策事業費」だけ見ると、2009年9283+3073億円、2010年6859+513億円、2011年6559+1064億円、2012年6596+3594億円、2013年6845+1155億円、2014年8422+255億円、2015年8448+771億円、2016年8441/(+補正予算)億円となりますが、ぱっと見た感じこちらでも2009年から2010年にかけてガクンと減っていますが、12年は1兆円を超えています。

ところが13年の安倍政権以降は8000~8500億円と、増えたどころかむしろ民主党時代より減っているのです。

 

ちなみに最下部の箇所、公共事業全体の「合計」においても、安倍政権下では激減していることがおわかりいただけると思います。(平成26年(2014)から特別会計が一般会計に繰り入れされています)

 

藤井先生の表とは随分と結果が乖離していますね。

 

さて、皆さんもお気づきかと思いますが、結局、どの分野までを指して「治水事業」と呼んでいいのかいまいちはっきりしません。

 

そこで、もう少し広めに公共事業全般についても見てみることにします。

参議院・立法調査  http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2018pdf/20180206116.pdf

 

一番最初の藤井先生が作られた表でも同じ傾向が見られますが、まず公共事業は民主党政権時にいきなり減らしたものではなく、90年代中盤からずっと削減トレンドにあることがおわかりいただけると思います。

そして実は民主党も特に減らしていない(!?)

むしろ安倍政権下のほうが民主党政権下と比べて少ない年が多い(笑)

民主党政権時で最も少なかった2010年の6.4兆円よりも、安倍政権の最初の年の13年の6.3兆円の方が少ないことは特筆すべきでしょう。

 

不思議だと思いませんか?

2013年には「アベノミクス第二の矢!財政出動やーっ!!国土強靭化やぁーっ!!」と大声で叫んでいたはずなのに一体なぜ?

しかも震災対策ということで、より一層の防災事業に努めなければならないのに、公共事業が増えていない(減っている)のですよ?

 

これは罪深い。

民主党は国民のコンセンサスを得たうえで約束を守って無駄な公共事業(ダム事業など)を減らしましたが、安倍政権は「公共投資を増やす」と公約していたのに、実際は減らしているという公約違反状態になるのです。

 

 

さて、ここでちょっと民主党政権の「事業仕分け」についておさらいしておこうと思います。

 

事業仕分け (行政刷新会議) wikiから

事業仕分けは、2010年度(H22)予算編成のために民主党政権が導入し、2009年(H21)11月に実施(鳩山政権発足は2009年9月)

 

なお、事業仕分けを自らの事業を正当化する手段としないために、5つの基本原則(現場に通じた外部の視点の導入、全面公開、同一フォーマットの事業シート作成、明確な結論、プロセス重視)が示されている。

 

枝野幸男行政刷新担当大臣は、「事業目的と実際の状況が乖離していると誰が見ても判断するような場合に限り、事業仕分けにおいて事業目的の是非も問うことになる。」と発言。

政府内や自治体での事業の重複や天下り先となっている独立行政法人の基金を中心に廃止、見直しがなされた。

 

産経新聞社FNNが実施した合同世論調査によれば、回答者の9割近くが事業仕分けを肯定的に評価している。2009年12月4日から6日にかけて行われた『読売新聞』の調査では、仕分けの実施については71%が肯定的に評価をした

 


▼    第1弾 (2010 平成22年度予算編成に係る事業仕分け)

2009年11月27日、事業仕分けが終了。

当初目標としていた3兆円には届かず、1.7兆円が見直し・国庫返済との判定になった

 

2010年度予算への反映状況が報告され、事業仕分けの評価結果や横断的見直しの反映による2010年度概算要求からの予算削減額は約9692億円であった

 

▼    第2弾(独立行政法人や政府系の公益法人が行う事業についての事業仕分け)

4月28日、4か日間での独立行政法人の事業仕分けは36の事業を廃止、55の事業を縮減と判定し終えた。廃止の事業は平成21年度の予算で合計約3,508億円に相当する

 

 

民主党が事業仕分けで、必要な治水事業まで削ってしまったどうかは正直言って不明です。

彼らは無駄なダムや天下り事業、重複した事業を削ったのだと主張しています。

事業仕分けひとつひとつが本当に適切だったかどうか調査するには、調査団体などを立ち上げなければ不可能でしょうし、費用の増減に関しても、それがどう災害に関係していたかなど厳密に定義づけて論じなければなりませんし、それにはかなりの高度な知識が必要になろうかと思います。

 

 

ということで、まとめます。

①  治水事業を含む公共事業は、自民党が90年代からずっと減らし続けていた

②  民主党は国民の意を受けてダムなどの無駄な治水事業費を減らしたが、公共事業全体では減らしていない。

③  安倍政権は「財政出動」を公約したはずなのに、治水事業も公共事業全体も特に増やしていない(むしろ減らしている場合もある)

 

つまり、今回の西日本豪雨で死者が増えたのは、民主党が公共事業(治水事業)を減らしたからとは言えない。

 

 

私はケインジアンですので公共事業は賛成の立場ですが、ケインジアンの立場でこの失われた20年間に起こったことも以下にまとめてみます。

 

日本社会はそれまで天下りや贈収賄という、まるで発展途上国のような問題に悩まされてきた。

官僚機構だけにまかせておいたら必ずネポティズムや不正が起こってしまうという見地から、国民と共に政治主導で行政を監視しなければならないという風潮にあった。

 

そういう空気のもと、無駄を排除して財源獲得するため、天下りやネポティズムの元凶でもある公共事業を削減し、事業仕分けを始めた。

しかし結果として、公共事業費を削減しすぎてしまった。

 

では、現在の安倍政権はというと、公共事業費をたいして増やしもしないのに、その少ない財源のなか加計学園や森友学園、JR東海の葛西敬之氏のようなお友達を優遇し、またまたネポティズムを始めてしまった。

 

そればかりか今現在、水道事業などの公共施設を、PFI法を悪用することで外国企業やお友達企業に売り渡そうともしている。

 

 

経済学の分野で「合成の誤謬」という言葉があります。

一般家庭の家計においては「無駄の削減」は良しとされるが、国家財政においては経済のシュリンク化を招いてしまうというものです。

公共事業費を削りすぎるとロクなことにはなりません。

 

社会的共通資本は、行政と国民が守らねばなりません。

 

 

災害時には人々の神経も過敏になっていますので、悪質なデマが出回ることが多々あります。

皆さんもお気をつけください。

 

 

本日はここまで。

ご覧いただきありがとうございました。

 

cargo

GOKU

 

 

 

【追記】

昨日7.15の激論クロスファイヤで自民片山さつき議員が、民主党政権下で治水事業を削減したから災害が広がったというむきで「治水関係の表」として妙なグラフを提示していました。

 

当ブログを読み進めた方ならご理解いただけると思いますが、これは「民主党政権下の治水事業を過小に評価し、自民の治水を課題に評価した嘘臭いグラフ」でしょう。

自民党議員自らがデマを流布(笑)

実に自民党らしいです。

 

 

【追記2】

山本太郎 7.17質疑 「治水事業が削られたことを民主党のせいにする器の小さい議員もおられるが、90年代から自民が削減したことこそが大きな原因
https://www.youtube.com/watch?v=Ppt2dra2v94

さすが、太郎議員。 

「治水事業の削減を民主党のせいにするのではなく、もっと新規国債を発行して国土強靭化しましょうよ」と、私とまったく同じことを指摘している。

 

 

【追記3】

経済評論家の三橋貴明さんも私の分析とまったく同じことを言っていました。参考までに。

▼ 日本の公共事業関係費の真実   2018-07-18
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12391571482.html

▼ 日本の治水事業等関係費の真実  2018-07-16
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12391024235.html

 

自民党議員とネトウヨはデマを吐くのもいい加減にしなさい!と再度強く申しておきます。