ヨーロッパは、さすが民主主義、近代銀行制度発祥の地です。

日本より一歩も二歩も先に行っています。

 

主流メディアによりポピュリズム、そして極右としてバカにされ続けた「五つ星運動」と「北部同盟」が連立を組んでイタリアの新政府を発足させるのですが、彼らが掲げた目玉政策のひとつが「実質的な政府通貨の発行」となります。

 

これはとんでもない革命的なできごとです。

 

天野統康さんに教えてもらって本件を知ったのですが、我々は民間銀行の信用創造を縮小させていくことを考えている宗派(?)ですので、世界の経済にとって、この「政府通貨発行」は朗報だと思っています。

 

というわけで、詳細をお伝えします。

 

▼  Why Mini-BOTs Loom Large for Investors in Italy Assets

Bloomberg 2018 5/21

https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-05-21/why-mini-bots-loom-big-for-investors-in-italy-assets-quicktake

【翻訳、抜粋】

「mini-BOT」と呼ばれるこの短期政府債は、1ユーロから500ユーロまでの小額の額面となり、国債と言いながらも利息は支払われず、償還期限もない。また額面を政府が保証するという、実質的な政府紙幣となる。

・ただし、ユーロ圏の法定通貨を発行できるのは欧州中央銀行(ECB)だけであることから、これは法定通貨ではないと主張している。

・五つ星と北部同盟は、財政支援のためのミニBOTを7000億~1000億ユーロを発行することで、景気を押し上げるだろうと述べている。

・ミニBOTは、いくつかの点で通貨と似ている。 イタリア人は、たとえば、国営企業などで列車の切符やガソリンを購入するために使用することができる。実質的に並行通貨になりえる。

・金融アナリストらは、事実上の平行通貨がユーロに負担をかけ、イタリアの財政の持続可能性を危険にさらす可能性があるという考えを懸念している。

・両党による政府の政策草案とされているものによると、加盟国にユーロ離脱を認める域内での手続き導入が提案されているほか、2500億ユーロ(約32兆5300億円)のイタリア政府の債務を帳消しにするよう欧州中央銀行(ECB)に要請する方針が盛り込まれていたとされる

・クレディ・アグリコルのG10通貨調査責任者ワレンティン・マリノフ氏は

  • 「ミニBOT発行を巡る臆測が、ユーロ相場の弱さとイタリア国債(BTP)相場下落の主な要因の一つとなる」
  • 「政府債務の支払いにミニBOTを活用すれば、イタリアの国家財政の持続可能性だけでなく、同国のユーロ圏残留についてさえ不安をあおる可能性がある」
  • 「ミニBOTの発行は、イタリアが欧州連合(EU)の公共支出および借り入れ制限を回避しようとしているという懸念をかき立てる恐れがある」

と分析している

 

 

なるほど、ブルームバーグは経済不安を煽っていますね。

興味深いことに、ブルームバーグは上記記事で五つ星運動をポピュリズム(大衆迎合主義)政党ではなく、「The anti-establishment Five Star Movement 」と呼んでいます。

彼ら金融資本サイド(権力側)に敵対する勢力として明確化し、攻撃しようとする意向の現われなのでしょうか。

 

次に日経の記事もご紹介しますが、日経も批判三昧(笑)

でも、これは逆に素晴らしい兆候ですよ。

 

「大衆迎合」「バラマキ政策で財政規律が緩む」「ミニBOTは擬似通貨だ」「エコノミストから批判が渦巻いている」などと、なかなか火病が止まらないようですが、我々としてはエールを送られた気分になります(笑)

 

▼ イタリア「疑似通貨」に市場疑念 国債に売り圧力

2018/5/24 15:41日本経済新聞 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30908160U8A520C1000000/

【転載】

 【ロンドン=篠崎健太】イタリアの次期首相に23日、法学者のジュセッペ・コンテ氏が指名され、同氏を推したポピュリズム(大衆迎合主義)政党「五つ星運動」と極右「同盟」による連立政権の樹立が固まった。バラマキ政策で財政規律が緩むとの見方から、金融市場ではイタリア国債に売り圧力が根強い。新政権のリスク要因の一つとして警戒されているのが「疑似通貨」構想だ。

 

 23日の欧州債券市場では、イタリアの10年物国債利回りが一時2.46%と、2017年3月以来の水準に上昇(債券価格は下落)した。4月は1.7~1.8%程度で安定していたが、連立政権の誕生が現実味を帯びてきた5月半ば以降、利回りの上昇が加速した。

 

 放漫財政を思わせる項目が並ぶ両党の政策合意はさることながら、市場では「ミニBOT」という証券の発行構想が、国債の悪材料としてにわかに注目を浴びている。

 

 これは政府が無利子の短期証券を刷り、市民への税還付や未払い金の納付などに充てるというもの。その後はモノやサービスの購入から納税まで、決済に広く使えるようにする新たな国の借用証を代用通貨として流通させようというアイデアだ。イタリア政府が資金調達するために発行している短期財務証券は「BOT」と呼ばれ、それを小口にしたイメージから、この名前がついた。

 

 もし疑似通貨として広く出回るようになれば、ユーロと並ぶ事実上の「二重通貨」体制になる。国の安易な借り入れが横行して財政規律の緩みに拍車をかけかねない。さらにミニBOTが人気になればユーロ不要論にも発展しかねないため、市場は気をもんでいる。

 

 ミニBOTは同盟がかねて掲げてきた政策だ。18日に五つ星と合意した政策集には表立っては盛り込まれなかった。だがロイター通信によると同盟の経済政策担当者が、同日報じられた地元紙のインタビュー記事で構想に言及。投資家の関心に火をつけた。

 

 同盟はミニBOTについて「二重通貨にはならない」と主張している。法定通貨のユーロと異なり、モノやサービスの売り手に対価として受領を強制できる通用力ないからだ。ではどのように流通させるのか。例えば額面よりも割り引いて与えるなど、経済的なインセンティブ(誘因)をつける手が考えられている。

 

 疑似通貨には世界で前例がある。アルゼンチンのブエノスアイレス州政府は01年に「パタコン」という州債を出した。1年満期で7%の利子を付与。州職員の給与の一部として支給するなどし、ペソの代わりとして実際に街中で使われた。

 

 ただし成功の保証はない。財政難に直面した米カリフォルニア州政府は09年に「IOU」という借用証を出したが、銀行が取り扱いに難色を示したり、格下げにあったりして長続きしなかった。

 

 仏ソシエテ・ジェネラルのイバン・ママレット氏は、ミニBOTについて「日常の支払い手段として使われるようになればユーロ離脱の道を開きかねない」とみる。ただ、借用証の代用通貨としての展開は歴史的に金融市場の緊張を生んできたと指摘。「格下げや金利急騰を招く可能性が高い」と実現には懐疑的だ。

 

 イタリアは公的債務の対国内総生産(GDP)比が130%に達する。こうした中で歳出増や大型減税などめざす新政権の経済政策には「多くが明らかに悪い道に向いている」(独コメルツ銀行のマルコ・ワグナー氏)など、エコノミストから批判が渦巻いている。疑似通貨の展開が仮に今後現実味を帯びれば、市場の目はさらに厳しいものになりそうだ。

 

 

上記記事で、日経はミニBOTを「擬似通貨」だと表現していますが、それは正確ではありませんよ。

そもそも通貨とは「債権」であり、その債権を発行する際の借用書こそが、紙幣なのですから、ミニBOTは政府が発行する通貨ではないですか。

「擬似」と呼ぶことでなんとか印象操作したいのですかね。

 

そしてミニBOT発行によって財政規律が緩むうんぬんという話はありえないんじゃないしょうか。

むしろ経済規模を拡大するために発行するのですから、実体経済に潤沢な資金が巡り、景気が活性化、税収が増えることで政府債務は減少していくと予想されます。

 

ムーディーズもこの混乱を受けて、イタリア政府の格付けランク“Baa2”からBaa3に格下げをする見込みとのことで、イタリア債券の利回りは4年ぶりに上昇し、危機レベルが上がったとも報道しております。

 

 

今後も国際金融権力からの圧力のもと、混乱は続くものと思われますが、イタリアの政権がユーロ離脱を前提とした憲法改正に向かうことが予想されています。

 

がんばれ、イタリア!

 

日本にも一刻も早く、この流れが届くことを願います。

 

世界中のアンチ・グローバルな動きに今後も注視していくべきでしょう。

 

 

余談ですが、5/22の自由党・一郎太郎共同代表の記者会見が非常によかったです。

小沢さんが久しぶりにかっこよかった。

「野党の審議拒否がマスコミから批判を受けているようだが、気にする必要はない。そんなこと言ってたら俺なんか生存していない。誰がなんと言おうが真実を述べるべきだ。国民の理解が得られることを信じて、一本筋を通してこの政治闘争を戦わなければならない。」「権力の私物化によって民主主義を破壊している現状こそ最も重要な争点だ」というようなことを発したのです。

 

まったく小沢代表の言う通りですね。

三権分立の原則に則り、与野党立法府議員は、行政(内閣と官僚機構)を監視・監督する責任がある。

そして、内閣が「必要な記録を提出しなければならない」ことは国会法104条により担保されている。

審議の前提となる公文書を隠蔽・改竄し、答弁拒否・虚偽答弁を重ねることで、審議を妨害・拒否しているのは、まさに与党と内閣側なのだから、野党はこのような無法者には厳しく対応しなければならないのです。

マスコミも適当なことを言っちゃいけませんね。

 

私は自由党こそが日本の修正グローバリズムの本陣となりえると思います。

 

▼ 隠ぺい・ねつ造・改ざん・セクハラ!アベ「ウソの上塗りで」で強行突破ー山本太郎&小沢一郎・会見2018 05 22

https://www.youtube.com/watch?v=Qnf6xQrQkrc

 

▼ 隠ぺい・ねつ造・改ざん・セクハラ!アベ「ウソの上塗りで」で強行突破ー山本太郎「自由党」代表、インタビュー 2018 05 22

https://www.youtube.com/watch?v=-Pa1T_yTjFA

 

 

本日はここまで。

ご覧いただきありがとうございました。

 

cargo(GOKU)