①cargo - gypsy- sleeve- final mid b.jpg


どうもです!

みなさん22日はcargoの新作Gypsy Woman買ってくださいね!☆(ゝω・)v
できれば、オラたちに力をください!
■URL http://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12048972541.html


さて、重い、おも~い現実を直視する時間がやってきましたよ!


こちらのポストの続きとなります
↓↓↓↓
■危機に瀕するミュージック・インダストリー :一足お先にTPP状態① ~定額ストリーミング
1)  序章 :音楽がタダ同然になっちゃった
http://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12045451085.html

■危機に瀕するミュージック・インダストリー :一足お先にTPP状態② ~定額ストリーミング
2) いわずもがなの違法ダウンロード(デジタル化の光と影)
http://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12046931592.html


で、今回は第3回目。

■危機に瀕するミュージック・インダストリー :一足お先にTPP状態③ ~定額ストリーミング
3) グローバル化とIT化の荒波(暇つぶし業界に黒船来襲)
となります。



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https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:William_of_Ockham.png


* 大変申し訳ないことですが、正直言ってしまって、この「危機に瀕するミュージック・インダストリー」シリーズ(全7話)は、特に前半部分はネガティブな事実を書き連ねるだけとなり、 非常に心痛いものになります。

もし本記事をご覧になってる若いミュージシャンがいらっしゃったら、ただただヘコむことになるので、ドラゲナイの人のブログでも訪問し、夢を見て現実逃避したほうがいいように思います。
でも、もし現実を直視したうえで、音楽家の立つ現在位置を確認し、その先に進みたいたいのであれば、読み進めていただくことによってその一助となれるかもしれません
(保証はできませんけど)。



金銭的価値だけでなく、その社会的価値さえも消失しつつあるように見える音楽文化ですが、

過去を見直して何がダメだったのかわかれば、その逆に張ればいいんじゃないか?という"オッカムの剃刀"理論で、対策を明確化していこうと思います。



③FC5bigSto1 b.jpg
http://chanelkant.blog.fc2.com/blog-entry-34.html



3) グローバル化とIT化の荒波 (暇つぶし業界に黒船来襲)



先日、経済評論家の天野統康先生と、今回の”定額制ストリーミング”の件に関して電話で話していました。
http://ameblo.jp/amanomotoyasu/

天野先生いわく
便利で安価だからといってグローバリズムを拡充させ続けるのは危険だ。
しかしグローバリズムの流れは止められない。
10年前、小泉/竹中行政改革によって、日本の労働人口の4割以上が派遣労働者化してしまったが、このほどの派遣法の改定により、10年後にはほぼ全員が派遣労働者になってしまう恐れがある。

あらゆる産業で労働者の権利は切り捨てられる
とのことでした。


さっそく、暗いですね~!笑



■【参考】 リクルート研究所 : 2025年の日本の労働者が悲惨な件 グローバル化の影響で、平均所得は56万減の299万、無職500万人増
http://www.logsoku.com/r/2ch.sc/poverty/1434227980/


便利で安価だからとグローバル企業の商品のみを使い続けると、経済格差の固定化された地獄が待っています



新自由主義厨のみなさんは、「そんなのスキルのない怠け者による言い訳だろう。自己責任だ」と、この現実をルサンチマン構造に落とし込んで単純化してしまい、ちゃんと現実を認識できていないように思えますが、

実際に、グローバリズムによる格差の固定化が進むと、犯罪率もあがるし、それによって政情も不安定化、さらに経済の循環も滞り不況となり、、、「自分だけは大丈夫だ」とタカをくくっていた新自由主義厨のみなさんにも実害が及ぶ可能性が高まるのです。



去年、某加工食品製造会社にて、正社員との給与待遇の差に憤った非正規社員が、製造ライン上の商品に毒物を混入したテロ事件が起こりましたが、
この企業は従業員への支払いをケチったばかりに売上は半分に、金額にして百億円以上の損害を被ることになってしまいました。

しかし、このバイトテロ事件は、特定企業が格別にブラックだったから起こった事件ではなく、たまたまこの会社で起こった事件であり、同じような体制で運営している他企業でもいつでも起こりうる問題であり、、社会全体が抱える闇だろうと思うのです。




グローバリズムは、我々の生活に”豊かさ”を供給する一方、その富を誰かから搾取することで成り立っています。



100円ショップやファストファッションで安価な商品を手に入れることができるのは、どこかで、例えばアジアの貧国などで低賃金で奴隷のように働く労働者がいるからです。


定額音楽配信で、ミュージシャンという労働者の作り出す富を搾取し、自分達の営業利益につけかえるような業態を許す社会システムにこそ、本来の問題が隠れているのだと思います




「弱いものから略奪し、強いものだけが富を得る」


これこそが”グローバリズムの正体”であり、グローバリスト達が描く中間目標です。



■【参考】 TED : リチャード・ウィルキンソン 「いかに経済格差が社会に支障をきたすか
http://www.ted.com/talks/richard_wilkinson/transcript?language=ja



■【参考】  トマ・ピケティ教授が語る"正当化できる格差・できない格差" - ログミー
http://logmi.jp/38246

ピケティ
格差が社会に広まった原因のひとつに、グローバリゼーションがあります

格差が広がると経済成長にとっても良くないことは明確です。

格差が広まれば、民主主義が脅かされることにもなります。」





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http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/ssa/ksk/sougou/newplan/tenbo4.htm



グローバル化はIT化と密接に連動しています。


ピケティの「21世紀の資本」では、グローバリズムの弊害が主題とされていますが、

元祖"資本論"のカール・マルクスは100年前に、「労働力の機械化によって労働者は職を失い、資本家のみが富を享受できるような構造が拡充される」と予言していました。



音楽産業においては、この15年あまりのあいだに進んだIT化によって、どんどん人手が必要なくなっていきました。



最初に、レコーディングディレクターやドラマーたちの職が奪われていきます。

90年代後半に、ポロシャツの襟を立てて、カーディガンを肩で羽織り、「シースーが~、チャンネーが~」などと時代を謳歌していたディレクターたちは、2000年代初頭にはすでに姿を消し、A&Rやプロデューサーがディレクション業務を兼任するようになりました。



2000年代中盤、ドラムの専門誌にて”Best Drummer of the Year賞”を受賞した知人のドラマーは、すでにこの頃、副業で生活費を稼いでいました。

「日本で一番すごいドラマー」であっても食べていけなくなったのです



続いて、ピアニストや、ギタリスト、ストリングス、管楽器、エンジニアなどの職が奪われていきました。

楽器の演奏は、多くがコンピュータの打ち込みサウンドによって代替されることになり、また音楽産業の規模の縮小に伴う経費削減によって、エンジニアリング作業までを作曲家が兼任せざるを得なくなりました。



2000年代中盤、楽器を録音する必要もないし、ミックス作業も自宅のPCでできるので、スタジオもどんどん潰れていきました

どうにか残ったスタジオも、かつてはメインエンジニアとアシスタントの数名体制でまわしていたスタジオ作業を、IT化と経費削減の影響で、1人体制になってしまいました。

オリコン上位のアーティストのサウンドを支える知人のエンジニアは、現在、所有する機材を売りに出すことで、どうにか食いつないでいます。


歌い手の存在価値はいまだ健在ですが、後ろからVocaloidが追いかけてきています



今ではぼくのような、全てを自分ひとりで全てこなせる人、、、つまりディレクションも、作詞作曲も、演奏も、アレンジも、プロデュースも、エンジニアリングも、必要とあらばマスタリングにいたるまでを全て1人でこなせる人材だけしか生き残れない構造になってしまったようです


運営面においても、CDの製造を諦め、Data販売のみに移行したことで、
また、音専誌などの紙媒体の発行部数が落ち、広告出稿の効果が薄れ、ネットベースのプロモーション展開が主流になったことで、
レーベル運営/マネジメント業でさえも1人でこなす必要に迫られているほどです。



「同じ医者なんだから心臓バイパス手術の執刀もできるはずだよね。あと、脳外科手術も頼むね。緊急外来の骨折手術もできるでしょ」と神経科医に要求するようなものでしょうか(笑


日本の音楽業界が、インドのラーガ音楽のように国家免許制をしいてなくてよかった。




コンピュータの性能の進化によって、生々しいギターのサウンドであっても再現可能となったことは、コンポーザーとしてはとても助かる反面、生のギターには絶対かなわないので、クオリティーは下がることにもなります。


僕なんか全然スキルないし、本当ならミックス・エンジニアリングの作業も、専門の職人にやってもらったほうが断然クオリティー上がるので、お任せしたいと思ってますが、ファイナンシャルな事情がそれを許さないのです。



クオリティーを差し出してまで緊縮財政を強いられる、もしくは、クオリティーを保つために労働者が過酷な労働を強いられる、そういう悪循環が起こっていました。


IT化によって人手が必要なくなったうえに、事業の縮小化が進むことにより、いままで5人から10人くらいで分業していた作業を、全部1人でこなさなければならないようになりました。


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http://www.toyo.co.jp/car/kyodo/K600_App6.html


理論物理学者のミチオ・カク博士は「あらゆる産業がロボット化された未来においても、音楽を作曲するクリエイティブな仕事は無くならない」と言っています。
http://www.sakuranpost.net/150420/

確かになくなりはしないだろうけど、激減するトレンドに入っているので、なんとも言えませんよね。




前項とかぶりますが、00年代以降、デジタル化とIT化を進めることによって、グローバル化の潮流に乗ってしまい、音楽の世界に境目がなくなりました。


00年代はじめのAOLのAIMに始まり、MySpace、Sound Cloudなどによって、世界中の人たちと手軽に音楽を共有できるようになりました。

当時は、AIMでロンドンやフランクフルトに自分の音楽を送れるようになり、向こうのレーベルの人と話ができてすごくうれしかったのを覚えています。

しかしこれは、世界中で同時に、同じルールが適用されるようになり、世界がフラット化した、、、つまり世界中のプレイヤーがライバルになったとも言える事態に陥ったのです。


誰もがiTunesやBeatportの一等地を狙って、果敢な挑戦をしかけるようになりました。


⑥My-Neighbor-Totoro-2-1988 b.jpg
http://wired.jp/2014/04/27/studio-ghibli-8-bit/


この状況に、さらに追い討ちをかけた事件が2010年頃に起こります。

スマホ という黒船が押し寄せたのです。


”暇つぶし業界”にあっては、音楽コンテンツ業も、スマホゲームやSNSとも同じ土俵で、顧客の有する余暇時間の獲得のための熾烈な戦いを余儀なくされたわけです。

有限である顧客の余暇時間を獲得するため、音楽業界はどんどん価格を下げる方向にその舵を取らざるを得ませんでした。


で、その結果どうなったか??


いつでもどこでも聞けるので、保有する意味がなくなった。

いつでもどこでも聞けるので、価値がなくなった。



ハイ、そういうことです。



現在、映画やアニメも、またゲームまでが、音楽コンテンツと同様に”定額制の波”が押し寄せてきています。

Hulu
www.hulu.jp/
Dアニメ
https://anime.dmkt-sp.jp/animestore/tp_pc
PS Plus(プレイステーション)
http://www.jp.playstation.com/psn/plus/



結局、100年前にマルクスが予言し、また現代においてはピケティが証明したように、我々労働者たるクリエイターの人権は、とことん蹂躙されていくのかもしれません。



フラット化してしまった音楽業界は、、、世界中のミュージシャンは、今こんなかんじ。
↓↓↓↓↓↓

「ファストファッション 工場」の検索結果
http://u111u.info/mjzp

(音楽業界の皆さんは、誰もが、自身の属する業界を批判することによって、村八分になることを恐れて発言しませんので、本当の実情が明らかになることはありません。ネット検索しても真実の情報を得られることはありませんので、代わりにファッション業界のリアリティーをば)


⑦AI-CA871_BANGLA_G_20130509111606 b.jpg
http://jp.wsj.com/articles/SB10001424127887323605404578473852652077248

上記リンク、ご覧になられましたか?

なかなかHeavyな状況ですよね?


ぼくは一応、90年代後半から長年音楽業界でサバイブしてきてるほうなので、音楽専門学校で講師できるくらいの知識量と経験を持っているはずだろうと自負しておりますが、今の若いミュージシャンの皆さんには、この状況を真剣に考えていただくべく、この手の情報を発しています。



【参考】 ----------------------
⑧avicii-2-1024x682 b.jpg
http://jessee.me/archives/1347

想像以上に収入低かった…アヴィーチーのヒット曲『Wake Me Up』作詞家アロー・ブラックがロイヤリティを巡りPandoraを非難
http://jaykogami.com/2014/11/9838.html

  【記事要約】
世界的大ヒット曲『Avicii - Wake Me Up』の作詞とボーカルで参加したアロー・ブラックは、
巨大なユーザー規模を誇る世界最大のネットラジオPandoraから分配されたロイヤリティ料が、最終的には4000ドル(47万円)以下と少額であったことに関して、当社を批判している。

アヴィーチーの大ヒットシングル「Wake Me Up」は、
Spotifyでは過去最高再生された曲で、Pandoraでは史上13番目に再生された曲で、再生回数は1億6800万回を超えています。

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Aviciiでさえ、こんな状況です。

若いミュージシャンの皆さんには、本当に、本当に真剣に「音楽の未来」を考えてほしいのです。




とはいうものの、グローバル化とIT化の弊害にばかり留意していても問題は解決しないことは自明でありますので、最後にひとつ良い例を挙げさせてもらいます。


アメリカのネイティブ・アメリカンの話。

⑨139062095710033920228 b.jpg
http://mizu888.at.webry.info/201401/article_131.html


00年代初頭、米国のあるインディアン部族にとっての大切な霊場である渓谷が、強欲な鉱物資源業者の推進する開発計画によって、破壊される憂き目にあっていました。

もちろんインディアンたちは、自分達の祖先から引き継ぐ霊的に大切な場所が破壊されるとあって、大々的な開発反対運動を展開することとなります。

でもそのとき、彼らの助けになったのが、インターネッツを介して繋がった環境保全団体や、善意による署名運動であったと言うのです。

結果、彼らの渓谷の開発計画は保留となり、インディアン達も、大切な霊場を失わずに今に至るという話です。


つまり、強欲な開発業者の破壊行為もグローバリズムの結果であったし、またインディアンたちの助けになった反対運動もグローバリズムの結果であった、という話です。




ぼく自身も、善きサマリア人の助けを借りて、なんとか生きていってます。




ということで、今回はここまで!  
ご清聴ありがとうございました!(^^)


次回はこのシリーズその4!

もうちょっとだけネガティブ情報続きます 笑


大丈夫、あなたをビビらせて、最後には「この壷買えば幸せになりまーす」なんていう商法じゃないのでご安心を。



★ 危機に瀕するミュージック・インダストリー :一足お先にTPP状態 ~ストリーミングというABCD包囲網  : 目次

1) 序文:音楽がタダ同然になっちゃった(定額ストリーミング)
http://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12045451085.html

2) いわずもがなの違法ダウンロード(デジタル化の光と影)
http://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12046931592.html

3) グローバル化とIT化の荒波(暇つぶし業界に黒船来襲) >本記事
http://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12052421305.html

4) 文化的オワコン化 

5) 対処療法による焼け野原化と強者総取りシステムの拡充

6) 音楽関係者=コスモポリタンが陥る新自由主義

7) われわれ"河原乞食"の進むその先