ATF圧送交換-坂道で時速20kmしか出ない35万キロ走ったハイエース、ATF圧送交換で直るの? | フリークのブログ

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「それって幾らになるの??」にも、明確にお答えします(^^)

お付き合いさせて頂いている地元の車屋さんより、ハイエースのATF圧送交換をご依頼いただきました。

 

 

 

フリークでは様々な車両のATF圧送交換は行っておりますが、最近はその露出を少し控えております。

 

理由は、

 

”株式会社フリークネット”では、ATF圧送交換ツールの販売を軸に、ATF圧送交換の要領書作成やATF交換についてのお問い合わせ・故障診断・交換前&交換後の相談・純正部品供給の無い部品の輸入&開発&販売などを行っていますので、弊社で実施の圧送交換についてはSNS露出を減らし、他の整備工場さんへの入庫促進を後押しできたらと思っての事なのですが、、、

 

今回の案件はちょっと興味があるかもしれませんので、ブログに書かせてもらいました。

 

 

 

 

こちらのハイエース。

桜三里という、比較的勾配の緩い峠道を走っていたら、途中でアクセルを踏んでも加速しなくなったそうです。

 

時速でいうと最大20km程度しか出ず、しかもどんどん失速。

これでは次の坂に差し掛かると登ることが出来ないどころか、多分このまま動かなくなると判断されたオーナー様はレッカー搬送をご依頼。

 

そして普段お付き合いされている所に入庫。

 

そして、フリークに入庫となりました。

 

 

実際フリークへの入庫時には先方スタッフさんが乗って来られた訳ですが、通常走行に於いて全く問題無し。

 

こちらでも色々乗ってみましたが問題無し。

 

ただ、問診内容から想定すると、おそらくATFのオーバーヒートではないかという事で、フリークから少し離れたところにある急こう配の坂道へと車を走らせ試運転をしましたら、そこで見事に車が動かなくなりました。

 

案の定オーバーヒートで、しばらく冷やしてあげると復活。

 

 

 

現在走行距離は35万キロ!!

少し予防整備も含めてご提案させて頂いた内容は、まずは冷却関係をしっかりと整える事。

 

ATFクーラー内蔵のラジエータですので、内部の詰まりはこの距離になると多々見受けられます。

ATF交換を適宜行っておられる車両なら問題ありませんが、今まで行った記憶・記録が無い、ラジエータも交換歴が無い、、、となると、ATFクーラーの詰まりによるATFオーバーヒートも多いため、ラジエータ交換、そして同時に、交換時期を迎えているであろうラジエータホース関連。

そしてサーモスタット。

 

そして、もちろんのATF圧送交換!

 

 

 

 

作業内容に快諾を頂き、まずはラジエータの交換。

 ※写真はラジエータ交換済みのものです。

 

今は社外ラジエータなどもあり、ある程度ご予算を抑える事も可能です。

ただし!!

「安い」と「ぼろい」はこの自動車業界では綺麗にマッチングしていますので、「〇〇オークションや〇〇ショッピングで見つけた激安ラジエータ」というのはご使用を控えて下さい。

そこに出されている全てがそうだとは言いませんが、

 

 

5年ほど前に書いた私のブログ記事、

目の前で激安ラジエータが爆発したことがありましたので、興味ある方はこちらもどうぞ

 

 → トラブル修理-セルシオ(UCF31)時々エアコンが効かない → 診断中ラジエータが爆発!!

 

 

 

冷却関係の部品交換やメンテナンスが整った後は、いよいよATF圧送交換です。

 

まずは輩出したATF。

 

 

 

廃油容器の内壁にちょっとつけると、思いっきり跡が残るという、そんなレベルのネットリドロドロ状態のATFです。

 

※全ての動画は音量が大きいです。ご注意下さい

 

 

 

オイルパンは交換。

理由は、液状ガスケットを使って取り付けているためです。

再利用の場合はこれらの剥離作業に多大なる時間と労力を要しますし、何より、少なからずオイルパン自体を傷つけてしまいます。

 

このオイルパン、新品に交換しても部品代は4,330円なんですから、もはや交換しない手はない!のです。

 

 

 

 

小さな磁石からは、「もうこれ以上の鉄粉除去は無理です!」と悲鳴が聞こえて来そうです。

 

 

 

ATFストレーナー。

 

 

 

ATFストレーナーからポトリと落ちたATFの黒ずみ具合と流動性の悪さ!!

 

 

 

ATFストレーナーの表面。

 

・・・圧送交換で、本当に直るのか??と不安になってしまう、そんなレベルです。

 

 

 

 

グローブに付いた汚れも凄いけど、これが何でもないATFストレーナーの表面に大量に付着しているのですから、AT内部はとんでもない事になっているでしょう。

 

 

 

新品オイルパンを取り付け。

 

 

 

初期充填。

 

 

 

エンジン始動。

 

 

 

圧送交換開始。

 

 

 

 

 

ヘドロの中に時々上がって来るメタンガス!?

みたいな状態です。

 

 

 

 

抜き取って来る汚れたATFの流動が悪すぎて・・・

 

 

 

流動性の良い新品ATFがするすると入っていくため、

 

 

 

入っていく量が、抜けて来る量を追い抜いてしまいました。

 

 

 

 

一気に10リットル交換しましたが、

 

 

 

そりゃ元々の汚れたATFと比べると少しだけ赤みが増してきましたが、それでもまだまだ真っ黒です。

 

 

 

 

10分間、クリーニング。

 

 

 

クリーニング後もさして変わらず。

 

 

 

2回目の圧送交換を開始。

 

 

 

ラジエータとは切り離していますのでATF温度はさほど上がっていません。

 

しかし、新油がある程度混ざって来たことから、ずいぶんと流動性が良くなってきています。

 

 

 

 

 

 

 

 

ずいぶんと赤みが増してきました。

 

この時点で、初期充填5リットルの、

ATF圧送交換10リットルを2回実施です。

 

 

 

3回目スタート。

3回目は8リットルでやってみます。

 

 

 

おっ!!

この位になって来ると、初期抜き取りできっちり2リットル抜いた後に、充填が始まるようになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

3回目終了!

 

 

 

ずいぶんと奇麗になってきました。

 

 

 

4回目スタート。

 

綺麗になってきましたので、4回目は4リットルだけ圧送交換をします。

 

途中で1リットルだけ追加充填しましたので、この時点でトータル38リットル使用。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4回目の圧送交換が終了!

 

 

 

その後の10分間のクリーニングモード終了。

 

 

 

透明度はまだ少し出せそうですが、でもこの時点で既に38リットル使用。

 

最後油量調整を残していますので、今回はここでフィニッシュ。

 

これ以上は、もう1ペール使ったとしてもどれ程に綺麗になるのか分かりませんから、あとは走りながら綺麗に清浄されて行く点に期待。

落とされた汚れは新品ストレーナーや磁石がきちんと吸着してくれます。

 

 

 

出来れば、今から1~2万キロ走行後に今一度ATF圧送交換させて頂くと完璧ですが・・・

 

その辺りはお任せいたします。

 

 

 

全ての作業が完了後、症状が発症した急こう配山道までハイエースを走らせ、登り下りを繰り返して改善している事をしっかりと確認!

 

 

もう、ATFオーバーヒートは起こりません!

そして、車が動かなくなるという事も無いでしょう!!!

 

 

今回のATF圧送交換で、今回の症状は見事に改善してくれました。

 

圧送交換をする事で全ての壊れたミッションが直る訳ではありませんが、今回の様な症状なら充分に改善の余地があるという事になります。

 

そしてそれよりも、何よりここまで至ってしまう前に、定期的にATF交換を行っていたらこうはならなかったでしょう。

 

ATFを交換すると壊れるという都市伝説なんて無視!

 

「交換したら壊れるよ!」と言って来る人には、

「それは、あなたが何台交換して、どの位の割合で壊れた上での検証結果ですか?」と聞いてみて下さい。

 

 

この事については今まで何度も書いてきましたし、

それでも都市伝説が止まらないので、2年前にまとめを書きました。

 

 → オートマオイルって、交換したら壊れるの???

 

 

 

工業製品であり、潤滑・作動油が必要なシステム。

普通に考えたら”交換が不要”なんてあり得ないのに、

それが何故かまかり通ってしまっているのがおかしい事ですが、

まぁ、、、

ある程度走った車はちゃんと壊れて、

定期的に買い替えて貰わないといけないって事なんです。

 

車は10年10万キロまで。

 

”長く大切に使う文化”は、美徳ではなくなったという事です。

 

あまり書くと怒られるので、この辺で。

 

 

 

 

今回のATトラブルでは、

 ・ATオイルパンASSY交換

 ・ATオイルパンガスケット(液状ガスケット)

 ・ATFドレンプラグ交換

 ・ATFドレンプラグガスケット交換

 ・ATオイルパン内マグネット3個交換

 ・ATFストレーナー交換

 ・ATF交換

 ・ATFレベルゲージOリング交換

 ・ラジエータASSY交換

 ・ラジエータアッパーホース2種交換

 ・ラジエータロアホース2種交換

 ・ウォーターバイパスホース2種交換

 ・ミッションオイルホース3種交換

 ・サーモスタット交換

 ・サーモスタットガスケット交換

 ・ラジエータキャップ交換
 ・ロングライフクーラント交換


以上の作業を行っております。


ご用命、ありがとうございました<(_ _)>

 
 <参考データ:車両走行距離  349,300km>

 

 

 

 



※同じ内容の故障事例でも、必ずしも原因は同じとは限りません。同じDTCでも原因が多岐にわたる事もあります。修理の基本である、しっかりとした問診と診断手順で原因究明して下さい。「同じ部品を交換したけど直らなかったけど、どうして?」という意味不明の連絡が同業者様から寄せられています。基本の順守をお願いします。ユーザー様も、症状が同じだからといってお付き合いのある整備工場さんに「この部品を変えて下さい」といった指示はお控え下さい。


※弊社では時々整備ブログを書かせて頂いておりますが、ブログ掲載を行って欲しくないお客様は事前に申しつけ下さい。出来る限りこちらからも「掲載可否」を頂く様心掛けますが、折り悪くその接点を持てない事もあるかと思います。ご来店時アンケートにも、「掲載可否」の項目を追加させて頂きました。掲載内容・記述内容に付いて訂正・削除をご希望の方はご連絡下さい。出来る限り早急に対応させて頂きます。
 

 

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(1) フリークでは、密閉式ミッションの圧送交換が出来る様、様々なアタッチメントを製作・販売しております。メーカーから提供されていないストレーナーや、長期欠品しているストレーナーの在庫も出来る限り取り揃えています。商品一覧はこちらです → F-PETシリーズ

 

(2) フリークは、AUTELの代理店でもあります。AUTEL製品のご購入を検討されている方は、連絡頂けましたらお見積もりさせて頂きますAUTEL インテリジェント テクノロジー

 

(3) 弊社への連絡は、LINEかメールをご利用下さい。連続したお問い合わせの中で失念してしまうのを防ぐ為です。ご協力下さい。LINE-ID 「freakltd」 メールアドレスは 「 info@c-frk.jp 」 です。

 

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愛媛新聞社の「マイベストプロ」に掲載されました

 

 

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