ATF交換-メルセデスベンツS500L(W140)トルコン太郎での圧送交換+ストレーナー交換他 | フリークのブログ

フリークのブログ

自動車の整備を、もっと身近に、もっと分かりやすく!!

「それって幾らになるの??」にも、明確にお答えします(^^)

大阪から、メルセデスベンツ S500L(W140)のATF圧送交換でご来店です。

 

お客様は私と同世代。

 

私達が社会人になったばっかりの頃といえば、もう30年近く前。

まだ若かった私は夜な夜な京都の街を車で走り回り、時には意味も無く琵琶湖までドライブに行ったり・・・なんてしていました。

 

ただ、ドライブ中にこのW140に遭遇したら、出来るだけ近寄らない!出来たら後ろにも付かない!横に並んだら絶対に横を見ない!!なんていう部類の車でした(笑)

 

 

そんなW140が20年以上の時を経て、

今ではメルセデスベンツ「最善か無か」時代の最後の車とされ、

ネオクラシックの部類に入って来つつあります。

 

当時行われていた妥協の無い車造りの精神はあちこちに奢られていて、開け閉めしただけで感じる異常な重厚感のドアや、かなり質感の高いダッシュパネル、あちこちに飾られたウッドパネルなど、車内を見渡しただけでもキリがありません。

 

 

令和の時代となった今では、程度の良いW140はなかなか現存していなくて、今回のお車の様な程度の良い中古車を見つけるのは難しくなっています。

 

 

憧れだったW140を最近購入し、今後も大切に乗って行きたいという事で、ATF交換で大阪からお越し頂きました。

 

 

 

 

 

 

リフトで上げます。

上げたついでにアンダーカバーも取り外し、各所点検を行います。

 

 

 

 

ATオイルパン。

ミッションは722.6です。

 

 

 

 

コンバーターのドレンプラグをサービスホールに位置合わせ。

 

 

 

 

まずはオイルパンからATFを排出します。

この時、比較用の瓶にATFを採取。

 

すごくネットリとしたATFが出て来ました。

 

 

 

 

汚れているだけでなく、汚れの濃度も濃い感じです。

オイルパンからは2リットル排出。

 

 

 

 

続いてトルクコンバーターから抜きます。

 

 

 

 

ビシャビシャと結構散りますから、専用パイプをお持ちの方は装着した方がいいです。

(そのパイプって、何?という方は直接お問い合わせ下さい)

 

 

 

 

コンバーターからは4.7リットル抜けました。

しっかり排出出来たら、新品のドレンプラグとガスケットのセットでロック。

 

 

 

 

 

オイルパンを取り外し。

 

 

 

 

ストレーナーを取り外してバルブボディを清掃します。

 

 

 

 

ストレーナーのフィルター部分、真っ黒です。

手で触った所が分かる位、全体が汚れています。

 

 

 

 

こちら側はもっと酷い・・・

 

 

 

 

取り外したオイルパンです。

部品自体が黒色ですので汚れは分かり難いですが、かなり汚れています。

 

 

 

 

綺麗に掃除しました。

 

このオイルパンには、元々磁石が設置されていません。

 

 

 

 

新たに装着する為、永久磁石は既に準備済みです。

 

 

 

 

ちなみにWISではこのような記述が。

 

 

 

 

 

 

磁石を装着。

 

 

 

 

 

新品のストレーナーを装着。

 

 

 

 

EGSのカプラー不良は、ECUをダメにする諸悪の根源。

漏れたATFが車両ハーネスを毛細管現象で伝って行き、ECUに入り込んでビショビショにして不具合を起こします。

722.6型のウィークポイントです。

 

ソケットを抜いただけでATFがドロリ~と出て来ました。

 

 

 

 

 

やはり、ソケットまでATFでベトベトに。

掃除をしておきます。

 

 

 

 

新品カプラー。

 

 

 

 

装着。

 

オイルパン内部に残ったATFやバルブボディからポタポタ落ちた分なども含め、合計7.8リットルのATFが抜けました。

 

このATは8.6リットルのATFが使われていますので、殆どのATF排出に成功した事になります。

※コンバーター内部のATFが抜けない車種もあります。

 

ただ、AT内部壁面やバルブボディ内部に残留している微量のATFや蓄積した汚れが残留していますので、それを圧送交換する事で落としながら排出して行く事が出来ます。

 

 

 

 

 

トルコン太郎を接続して、まずは抜けた分のATFを充填します。

今回使用するATFは、WAKO'Sのプレミアムスペックです。

 

残量が1リットル程度しか残っていない状態で、そこに7リットル以上のATFを充填してエンジンを始動しました。

中は殆ど新品のATFであるのに、これだけ汚れて出て来ます。

 

 

 

 

圧送交換を開始。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真っ黒で透明度も全く無かった状態のATFでしたが、ここまで透明度が上がりました。

今回はここまでで20リットル使用しましたが、それでもまだ新油の色までは届きません。

よほど汚れが蓄積しているのでしょう。

 

お客様と相談した結果、今回のATF圧送交換ではここまでで終わらせます。

今、AT内に流れているATFは洗浄効果も高いので、このまま数万キロ乗って頂き、しっかりと汚れが落ちた頃に再び抜いてあげると、汚れを含んだATFを排出出来ます。

 

 

更に、SOD-1プラスの添加も行いましたので、汚れは落としてくれるし内部の保護もしてくれます。

落とした汚れはストレーナーに吸着しますし、鉄粉は新たに設置した磁石に吸着、そして、ATF自体も自らに汚れを取り込んで、周辺への付着を防いでくれます。

 

 

 

 

 

722.6ミッションでは、基本レベルゲージが存在しません。

ATFの油量を調整する為には、専用のレベルゲージを用意する必要があります。

 

HOTレベルの上のラインにピッタリ合わせています。

 

 

 

 

圧送交換用のSSTを取り外す際に排出されるATFを比較用の瓶に採取。

 

古いATFはドロリとしていて、汚れの濃いさも感じますが、現在ミッションの中に流れているATFは透明で非常に柔らかい状態です。

 

 

 

 

ついでに診て欲しいとご依頼頂いた件。

 

ウォッシャー液の噴霧口が3ヶ所あり、合計6本のスジで噴霧されますが、真ん中と左側の2ヶ所、合計4本のノズルからウォッシャー液が出てきません。

 

ノズル本体が怪しいので取り外して確認。

 

ホースが途中で抜けています。

 

 

 

 

 

 

ゴムのホースが少し硬くなっているようです。

少し柔らかくしてしっかりと差し込んで元に戻しておきます。

 

再び抜ける様でしたら、部品交換が必要です。

 

 

 

 

試運転。

それにしても、本当に贅沢な車造りがされていた時代のメルセデスだと感じます。

 

 

 

 

最後に、漏れが無いかも含め、診断機にてエラーチェック。

リフトに設置して各所確認し、最後にアンダーカバーを元に戻して全ての作業終了です。

 

 

 

 

 

翌朝、掃除し残っていた比較用の瓶を綺麗にしようと、廃油タンクに逆さまにしてフルードを廃棄したのですが・・・

 

写真右側は古いATFが入っていた瓶で、左側が圧送交換後のATFです。

両方共完全に冷えている状態です。

 

 

左側のATFはサッと流れ落ちてすぐに綺麗になったのですが、古い方のATFは瓶の内側にこびりついてなかなか流れ落ち切りません。

 

しかもこの写真は、「えっ!?こびり付いて流れ落ちない!?」と驚いて事務所にカメラを取りに行き、再び廃油タンクの所に戻って来てからの撮影なので、おおよそ2分経過しています。

 

それでもこの状態ですから、今まで一体、どれ程のフリクションロスを引き起こしていたのか気になります。

 

 

 

そして一通り掃除が終わって少しした頃、お客様より感想メールを頂きました。

 

 

<1通目>

 

スタート時やシフトアップの時の一瞬のもたつきなどが全くなくなり(以前と比較出来たので体感できたことですが)とてもスムーズなギア変則を体感できてATF交換とても満足しています。

 

2ヶ月前にイグニッションコイルを全部新しく交換した時も感動しましたが今回も同じく感動と愛着が湧き嬉しく思っています。

 

丁寧なお仕事など含めましてとても満足しております、ありがとうございました。

 

 

<2通目>

 

追伸

 

先程乗りましたら、今まで朝イチ(エンジン冷間時)の時にドライブに入れても自然には前進しませんでしたが、今日は結構なスピードで前進しました。

 

エンジンが暖まってからはゆっくり前進してましたが完全冷却からのドライブ入力で自然に前進したのは初めてです。それも結構な勢いで。

 

ATFオイル交換後のあきらかな変化です。

ご報告まで。

 

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

 

 

この119エンジンはV8の5000ccで、最高出力320PS、最大トルク470Nmです。

このエンジンでクリープ現象が起こっていなかったというのはびっくりですが、あれだけの粘度を持たATFであれば分からなくも無いです。

 

ATF劣化により、伝達効率悪化からのパワーロスは容易に想像がつきます。

今回ATFを交換した事で、燃費の向上にもつながるかと思います。

 

今後もまた変化がありましたら教えて下さい。

 

 

遠方よりお越し頂きありがとうございました。

 

 

 
 <参考データ:車両走行距離  92,000km>

 


※同じ内容の故障事例でも、作業内容や手順、個体差や経年劣化、部品価格の変動等により必ずしも同一価格・同一修理とはなりません。上記価格や修理内容を他の整備工場さんに強要する様な行為はお控え下さい。

 

 

 

 

 

 

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

 

 

フリークでは、密閉式ミッションの圧送交換が出来る様、

様々なアタッチメントを製作・販売しております。

 

 

弊社より購入頂いたプロショップさんを地域別に掲載した一覧もインターネット上にアップしはじめました。

これにより、ユーザー様がお近くのプロショップを検索できるようになります。

サイトはこちら → F-PETプロショップ

 

合わせまして、プロショップさん同士の情報交換の場として、ネット上に承認式コミュニティを設けています。

興味のあるプロショップさんは「こちら」からお問い合わせ下さい。

 

商品一覧はこちらです → F-PETシリーズ

 

 

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

 

ブログランキングに登録しています。
クリックして頂けるとランキングが上がりますので、お願い致します(^^)

 

 

★愛媛新聞社の「マイベストプロ」に掲載されました

 

 

★愛媛の社長TVに掲載されました



★株式会社フリークのホームページはこちら