1年前にフリークにて圧送交換を行ったCX-8、
今年も広島県からお越し頂きました。
前回の交換からもう45,000km走行されています。
前回は、オイルパンも取り外してストレーナーも交換。
マツダ純正ATFを使って、しっかり綺麗にしています。
その時のブログはこちら
ATF交換-マツダCX-8(KG2P)ATF圧送交換+ストレーナー交換他
あれから1年、走行は45,000km追加。
さてさて、どの位汚れているのでしょうか??
1年前と同じ位置に。
走行して来られたばっかりの為、現在油温は65℃までしっかり上がっています。
今回は圧送交換だけを行いますので、いきなりオイルクーラーにアクセス。
少しだけこぼれて来たATFを比較用の瓶に採取しますが、
オイルクーラーの所から出て来るATFは本当に微量。
あとはドレンプラグから排出される分を追加採取。
マツダメーカーにお勤めの方ですので、純正ATFを購入されてお持ち込みです。
最初に抜けた分、5リットルを充填してからエンジンを始動。
CX-8はATF全容量が約8リットル。
つまり、3リットル以外は新品ATFですが、この黒ずみです。
それでは圧送交換を開始します。
まずは5リットルの圧送交換を完了。
少しだけ、黒さが薄らいで来たかな??といった感じです。
更に圧送交換を続けて行きます。
ご用意頂いたATF20リットルをフルに使用して、
ようやくここまで綺麗になりました。
新しいフルードが入る事で油温がどんどん下がりましたので、
油量調整温度である50℃まで上がって来るのを待って、
レベルゲージを何度も抜き差ししながら、
ゲージ上限ピッタリの位置で油量調整完了。
オイルクーラー用Oリングとドレンプラグガスケットは新品に交換済みです。
ATFの差はこんなにあります。
新たに汚れが出たというよりも、1年前に入れた新品のATFがAT内部の汚れをゆっくり落として来ての、この汚れなのでしょう。
そうそう。
先日「プレ洗浄」?に付いて同業者さんに「どう思いますか?」、「やってますか?」と聞かれました。
「プレ洗浄」とは、最初に安いATFを使って内部を洗浄し、綺麗になった所で、本当に使用したいちょっとお高いATFに切り替えて圧送交換を行うというやり方です。
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以下は、私の個人的な考え方です。
プロでもそれぞれで考え方も違いますし、拘りを持ってされている方も多いですから、信頼されている方のやり方で作業を行う事をお勧め致します。
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実は、お客様からのご依頼で過去に「プレ洗浄」というものを行った事があります。
その際、「プレ洗浄」で使用したATFは約15リットル。
そして、目的とするATFに切り替える訳ですが、プレ洗浄で使用したATFは赤色で、最後に充填する高級ATFはほぼ透明に近い黄色でした。
綺麗な真っ赤になったATFから、高級ATFの色である透明になるまで圧送交換を行いましたが、それに使用したATFがこれまた15リットル。
だって、ここではしっかり綺麗にしておかないと、安いATFもまだまだ混ざっているって事になりますからね。
終わってみれば、合計30リットルのATFを使いました。
ん???
それなら、「プレ洗浄」なるものを行わず、最初っから目的とする高級ATFを使用したら良かったんじゃないの??
という疑問。
最初にプレ洗浄用に使用したATFが高級ATFであれば、15リットル使用した時点で中身はすっかり高級ATFになっていた筈です。
賢くないから間違っていたらごめんなさいですが、
ちなみにこのCX-8で計算しますと、
全容量8リットルに対して、5リットルずつの圧送交換を合計3回行ったとした場合の、古いATFの含有量計算は 0.375の3乗になります。
3回目の交換終了時点で、その中に含まれる古いATFの割合は0.052。
つまり5%ちょっとです。
更にもう1回行えば、0.0197。
約2%まで割合は下がります。
ただ、プレ洗浄を行った場合、目的とする「高級ATF」になるまでの間に、「低価格ATF」への移行が含まれていますので、その時点で再び仕切り直しとなり、余計に交換を繰り返している事になります。
最初っからどんなATFを使用しようが、上記条件であれば、3~4回の圧送交換を行う事で、元のATFは新しい物に入れ替わる計算になります。
もちろん、圧送交換は抜きながら入れながら、混ざりながら綺麗にしていきますので、上記の様な計算で確実な数字を割り出す事は無理ですが、それはプレ洗浄するしないに関わらず条件は一緒。
では、そもそも、真っ黒に汚れたATFは、何がどうなってそんなに真っ黒なの??
という疑問。
これは、ATF交換を行っているプロの方ならだいたい感じていると思いますが、フルードが劣化する事によって変色しているのではなく、フルード内に鉄粉などの不純物が混ざり込む事によって黒く変色をしていると思われます(もちろん、フルードの劣化も少しはあるかと思いますが)。
バルブボディなど、本当は綺麗な銀色なのに、鉄粉などの付着によって濃いグレーに見えます。
パーツクリーナーなどで洗浄すると一気に綺麗になります。
この様に表面に付着している物と同じ成分の物がフルードの中にも当然混ざり込んでいて、それが黒く変色させていると思います。
私は遠心分離機など持っていませんのでテスト出来ませんが、持っている方がおられたら、排出したATFの分離テストをして欲しい・・・
では、何故「プレ洗浄」を行うのかという疑問。
ATFは洗浄効果が高いから、先に安いATFで洗浄をしておいて、綺麗になった所で高級ATFに変えるのさ!
という事ですが・・・
ATFはそんなに洗浄効果が高いのでしょうか??
ATFには高い清浄分散性能が付与されています。
確かに、汚れを落とす効果は高いのです。
でも・・・
そんなにみるみる落としてくれるなら、ATFが綺麗になるまで圧送交換を行ったまま、そのまま1時間なり2時間なり、エンジンをかけたままで放置しておけば、再び真っ黒になるはずです。
これ、実験した事があります。
すっかり綺麗になった車を1時間半、エンジンをかけたままで放置してみた事があります。
色味??
全く変化無く、とっても綺麗な赤色のままでした。
つまり、洗浄分散性能は高いとは言え、みるみる汚れを落とすというレベルではないという事です。
(それに、そんなに汚れを急激に落とすのであれば、色んな意味で危険です)
今回のこのCX-8の様に、新しいフルードに入れ替わって、その状態で暫く走って頂く事で、その時間経過が重なって行くに連れ、ゆっくりじんわりと落として行き、フルード自身が真っ黒になって行くのです。
であれば、最初っから高級ATFを使用し、すっかり綺麗になった所でその状態で3~4万キロ走り、しっかりと汚れを落としてくれた頃にもう一度圧送交換を行うというのが、合理的でもあり、お財布にも優しいATF交換かと私は思っています。
じゃあ、結局「プレ洗浄」の効果とは??
いや~、だって、気持ちいいじゃないですか!!
心の安らぎですよ!!
それって、結構重要だったりしますしね!!
ご用命、ありがとうございました<(_ _)>
<参考データ:車両走行距離 90,000km>
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