バルブ破損の原因を考えてみました。
まず、この傷の様な状態から、何か異物が混入、
もしくはいずれか部品の一部が破損し、傷を作ったのではと考えましたが、
しかし、もし異物が原因であれば、
燃焼室内壁(シリンダー内壁)に何らかの傷や痕跡が残るはずですが、
そういった痕跡は全く無く、
同時に吸気系統及び排気系統の内壁なども確認しましたが、
やはりいずれにも問題はありませんでした。
エンジンの構成部品から、タービンも含めて点検しましたが、
やはり問題ありません。
色々考えた結果結論付けたのは、
元々このバルブ事態に瑕疵があり、
そのバルブが、大変熱の逃げにくいちょうど真ん中の2番シリンダーに装着されていて、
しかも、更に熱にさらされるエキゾーストに装着されているという事により、
(エキゾースト専用バルブなんですけどね)
最初は小さな小さな欠けや傷だった場所から排気熱が吹き抜け始め、
そうする内にその傷が徐々に広げられ、
途中からは圧縮がこの部分から抜けていく事により、
この様な風の通り道を作ってしまったのではないかと思います。
言わば、グランドキャニオンの様な。
風が時間を掛けて岩を削っていくという感じでしょうか。
(グランドキャニオンは、風というよりも、コロラド川の浸食だそうですが)
さて、
バルブ以外に異常が無い事は確かめたので、
エンジンオーバーホールの続きに移って行きます。
ヘッドに付いている、インマニやエキマニを固定している
スタッドボルト&ナットを取り外していきます。
数本は腐食しています。
ダブルナットで取り外し、
合わせ面を、これまた綺麗に掃除!掃除!!
スタッドボルト装着は、
まだほかの作業がありますので、傷つけ防止の為、後作業です。
せっかくですから、ヘッドのポート研磨もしておきます。
じゃーん!!!
鏡面とまでは言えませんが、かなりいい感じに仕上がっています(^^)
ヘッドの点検・清掃、そしてちょっとサービスが終了。
続いてはブロックに移りましょう。
ブロック状面に付着しているヘッドガスケット残骸や、
その他の汚れを綺麗に掃除します。
じゃーん!!!!!(笑)
ポート研磨といい、自己満足ですが(^^)
続いて、取り外したピストンから、それぞれのピストンリングを取り外し、
固まってしまっているカーボンやスラッジを綺麗に除去します。
真っ黒に汚れたピストンリングたち。
張力も落ちてきている事でしょう。
ピストンリングさん、お疲れ様でした。
新しいピストンリングを組み付け。
コンロッドメタルも新品に交換します。
初期かじりを防いでくれるという、ワコーズの組付けペーストを塗布します。
このペースト、とっても優秀です。
もう少し安ければ、もっと有り難い。
ピストンリングコンプレッサーを使って、
ピストンをエンジンヘッドに組み付けて行きます。
コンロッドキャップ取り付けて、ピストンをクランクシャフトに固定していきます。
組み付け後、スムーズに動く事を確認。
これでエンジンブロック側の作業終了(^^)
続いてヘッドに移ります。
バルブの新旧比較です。
新しいバルブを入れて、擦り合わせを行います。
新品のステムシールです。
エンジンオイルが、上から燃焼室に降りていく事を防いでくれる部品です。
古くなって硬化してくると、白煙やオイル消費の原因にもなる部品です。
バルブのシャフト部分がこのステムシールを下から貫通します。
SSTを使ってバルブを固定。
コッタピンを取り付けてバルブを装着していきます。
バルブとヘッドの当たり面がしっかりしていて、
隙間などが無いかを点検します。
古いスパークプラグを組み付けて、
どこにも穴が開いていない状態にしたエンジンヘッドを逆さまにし、
エンジンオイルをなみなみと注ぎ、しばらく放置します。
もちろん、結果は、、、バッチリ~ です!!!!(^^)
SSTを使って、スタッドボルトを取り付けていきます。
次はヘッドボルトです。
エンジンヘッドとエンジンブロックを繋ぎ合わせるボルトです。
新品のヘッドガスケットを取り付けて、
ヘッドボルトを締めていきます。
規定トルクを加えて締めていき、
その後は角度締めを行います。
ラッシュアジャスターを挿入し、
ロッカーアームを装着。
カムシャフトを上に載せて、
キャップを取り付けて規定トルクで、規定の順番に締めていきます。
装着されていた6本のスパークプラグ。
摩耗具合がすごい!
ここまで摩耗した状態のスパークプラグは久しぶりに見ました。
新品と比較すると、その摩耗具合がよく解ります。
手前に3本。
奥にも3本の、合計6本です。
ヘッド上面の半月板シールを組み付けて、
ヘッドカバーガスケットを組み付け、
綺麗にしたヘッドカバーを組み付けます。
あ、ちなみに、取り外した時のヘッドカバーはこんな状態でした。
プラグコードも新品に交換します。
コイルに組付けて、各プラグに装着していきます。
水温センサーのハウジングに装着されているガスケットも、勿論交換です。
ドライブベルトも新しく交換します。
エアコンベルト用のテンショナーベアリングが、
手で回しただけでももの凄い音を出しています。
近いうちに焼付きますので、新品に交換しておきます。
ベルトしっかり張って組み付け。
エンジンオイルのオイルパンですが、
当社に運ばれてきた時は、こんなに錆びていましたので、
綺麗に磨いて、
防錆塗装を塗ってから取り付けています。
オイルエレメントも交換です。
エンジンオイルを充填。
冷却水は、メルセデスベンツでアプルーバル(承認)を取っている、
フックスのものを使っています。
注入。
そしてエンジン始動!!!!
不調も白煙も、変な音もありません(^^)
スマート君、見事復活してくれました(^o^)/
その後、しっかりと試運転をし、各所の経過も観察。
調子もとっても良くなりました。
納車は、何とお客様が埼玉県から御越しいただけるそうで(^^)
お待ちしておりま~す!(^^)!
今回のトラブル修理では、上記内容も含め以下の作業を行っております。
・ヘッドカバーガスケット交換
・ヘッドカバー半月板シール交換
・ヘッドガスケット交換
・ヘッドボルト交換
・ステムシール交換
・ピストンリング交換
・コンロッドメタル交換
・インマニガスケット交換
・スタッドボルト交換
・スタッドボルト用ナット交換
・スパークプラグ交換
・ハイテンションコードセット交換
・水温センサーハウジングガスケット交換
・エキゾーストバルブ交換
・インテークバルブ交換
・オルタネータベルト交換
・エアコンベルト交換
・エアコンテンショナーベアリング交換
・エンジンオイル(MOTUL)交換
・オイルエレメント交換
・メルセデス アプルーバルLLC交換
今回の修理ご請求額は、 ¥ 264,750- となっております。
(別途、東京都町田市からの陸送代が 47,250円掛かりますので、
合計総額 308,000円となっております)
ご用命、ありがとうございました<(_ _)>
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