『BOSCH/ボッシュ』シーズン1(古参警官の憂鬱) | Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

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イーグルドライバーの観た映像作品について、あれこれ書いて行きます。
主に「洋画」ですが、ジャンルにはあまりこだわらず、インスピレーションで拝見する作品を選んでいます。
海外の「ドラマ」も最近は気になります。

『BOSCH/ボッシュ』シーズン1 全10話(各話おおよそ45分)

 『BOSCH/ボッシュ』の世界にようこそ!!

 これから、シーズン7完結までの全70話、あなたはそのドラマの「虜」となるでしょう。数々のJazzの名曲をBGMとしながら、重層的なスト-リーが展開され、個性豊かなレギュラー陣と各シーズンごとに登場する多くの犯罪者、ペテン師、偽善者らが絡む複雑な人間関係が、回を追うごとに明らかとなって行き、私たち視聴者は完全にノックアウトされ、劇中に没入させられていく”中毒性”の高い作品です。

 各シーズン中に、複数の事件・事故が発生し、ロサンゼルス市警察ハリウッド署の殺人課刑事たちが、その解決に向けて奮闘する姿が描かれています。単純に、一事件の特定の凶悪犯を警察組織が追い詰めていくのではなく。原作の2~3話を脚色し、1シーズン中(時には、複数のシーズンにまたがる事案も)盛り込む手法は、なんとも贅沢という他ありません。

 ちなみに、シーズン1で発生する事件を挙げると・・・

 1.警官による連続婦女暴行容疑者射殺事件

 2.少年と思われる撲殺遺体発見事件

 3.男娼等を狙った絞殺遺体遺棄事件 等です。

 他にも、事件化はしませんが・・・署内恋愛に絡む愛憎、逮捕中の不適切対処事案、家庭内性的虐待事案などなど。ハリウッド署の殺人課刑事達は、これらの事件、問題の解決に向けて奔走します。

 

【あらすじ】

 ロサンゼルス市警察ハリウッド署の殺人課刑事で、一等巡査部長である「ハリー・ボッシュ」(タイタス・ウィリバー演ず)は、民事訴訟の被告となっていた。2年前に射殺したラテン系男性容疑者の配偶者から、その正当性について訴えられ、巨額の損害賠償を請求されているのだ。原告側の弁護士は「ハニー・チャンドラー」(ミミ・ロジャース演ず)で、彼女は刑事事件もこなすが、主に行政に対する民事訴訟を専門として活動している人権派弁護士である。しかも、警察関係の不法行為については、数百万ドル規模の巨額損害賠償を請求し、法廷において常勝を誇る敏腕である。

 思い起こせば、この民事訴訟のきっかけは、連続婦女暴行事件の捜査線上に浮かんだ容疑者を夜間に追跡した課程で、正当防衛により射殺したというものだったが、その捜査過程で、「ハリー」が、市警擦のもっとも基本的な規定の遵守を怠っていたことが判明したからだった。

 そして、そんな問題を抱える古参刑事の元に、少年の遺骨らしきものが発見されたとの一報が届く。現場を調べたところ、全身の約60%の骨が見つかり、見聞の結果、死後20年近く経った白骨化した遺体で、骨には日常的に虐待された痕跡が47カ所認められ、最期は鈍器で頭部を殴打され、頭部陥没骨折による死亡であることが分かった。あまりにも悲惨なこの事件は、「ハリー」の生い立ちとも重なり、彼の執念の捜査が始まるのだった。

 また、一方では警ら中の制服警官の職務質問から、主に男娼を対象とした連続殺人事件が明るみに出る。停車させた車から全裸男性の死体が発見されたため、その運転手を現行犯逮捕したのだ。鑑識の結果、この車からは7人分のDNAが発見され、容疑は確定と思われた。ところが、この犯人からとんでもない司法取引が提示され、それによって、地方検事代理の殉職、殺人課刑事への銃撃・被弾が発生し、ロサンゼルス市並びに周辺地域を震撼させる事件へと発展して行くのだった。

 

【シーズン1に登場する注目人物】

レイナード・ウェイツ(演ず):孤児で児童保護施設から里子に出され、仏語教師の義母と工場労働者の義父に育てられるが、その生い立ちからその後は異常な欲望に取りつかれたサイコパスとなる。

 

リチャード・オシェイ(スティーヴン・カルプ演ず):ロサンゼルス市長を目指す地方検事で、現在の市警察の体制に対して批判的な立場を取る人物

 

ジュリア・ブレイシャー(アニー・ワーシング演ず):ハリウッド署の見習い中の巡査で、ハリーと深く関わる。

彼女は、2023年1月29日ロサンゼルス市において癌で亡くなっています。ご冥福を祈ります。享年45歳