豪華俳優陣で重厚な作品『遠すぎた橋』(リチャード・アッテンボロー監督作品) | Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

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イーグルドライバーの観た映像作品について、あれこれ書いて行きます。
主に「洋画」ですが、ジャンルにはあまりこだわらず、インスピレーションで拝見する作品を選んでいます。
海外の「ドラマ」も最近は気になります。

『遠すぎた橋』(1977年アメリカ/175分)

監督:リチャード:アッテンボロー

脚本:ウィリアム・ゴールドマン

音楽:ジョン・アディソン


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<出演者>

(アメリカ軍)

マクスウェル・ダベンポート・テイラー少将(第101空挺師団長)

ポール・マックスウェル

ジェームズ・ギャビン准将(第82空挺師団長)

ライアン・オニール

ジュリアンクック少佐(第82空挺師団第504空挺連隊第3大隊長)

ロバート・レッドフォード

ボビー・スタウト大佐(第101空挺師団506空挺連隊長)

エリオット・グールド

グラース大尉(第101空挺師団)

ニコラス・キャンベル

エディ・ドーハン軍曹(101空挺師団)

ジェームズ・カーン

(イギリス軍)

フレデリック・ブラウニング中将(第1連合空挺軍副司令官:今作戦の司令官)

ダーク・ボガード

ブライアン・ホロックス中将(第2軍第30軍団長)

エドワード・フォックス

ロバート・アーカート少将(第1空挺師団長)

ショーン・コネリー

J・O・E・バンデラー中佐(近衛機甲師団第5近衛戦車旅団アイルランド近衛連隊第2大隊長)

マイケル・ケイン

ジョン・フロスト中佐(第1空挺師団第1空挺旅団第2大隊長)

アンソニー・ホプキンス

ハリー・カーライル少佐(第1空挺師団第1空挺旅団第2大隊)

クリストファー・グッド

気象観測船隊隊長

デンホルム・エリオット

スタニスラウ・ソサボフスキー准将(自由ポーランド軍第1空挺旅団長)

ジーン・ハックマン

(ドイツ軍)

ゲルト・フォン・ルントシュテッット元帥(西部方面軍総司令官)

ヴォルフガング・プライス

ヴィルヘルム・ビットリッヒ親衛隊中将(第2SS装甲軍団長)

マクシミリアン・シェル

ルートヴィヒ親衛隊少将(SS装甲師団長)

ハーディ・クリューガー

ギュンター・ブルーメントリット少将(西部方面軍参謀長)

ハンス・フォン・ボルソディ

ヴァルター・モーデル元帥(B軍集団司令官)

ヴァルター・コーウト

グラブナー大尉(第9SSパンサー偵察大隊)

フレッド・ウィリアムズ

・・・などなど。


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 コーネリアス・ライアンの作「遥かなる橋」を原作に、史実「マーケット・ガーデン作戦」立案の政治的・時代的背景、国際関係を表しながら、作戦の骨子と目的、経過と結果、将兵の人間関係とドラマを事細かに描いた戦争作品の傑作です。だだし、オランダからドイツに至る地理感覚が多少必要になるので、解説的概要を以下記述します。


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 「マーケット・ガーデン作戦」の概要

 この作戦は、文字通り「2つの作戦」からなり、①空挺部隊3万人を降下させる「マーケット作戦」と、②英軍主力の第2軍第30軍団が、国道69号線沿いに一気に北上し、先行降下した各空挺部隊に合流する「ガーデン作戦」であった。


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「マーケット作戦」部分では、

 米軍「第101空挺師団」(アントホーフェン地区)→米軍「第82空挺師団」(ナイメーヘン地区)→英軍「第1空挺師団」(アルンヘム地区)の順で「南→北」の場所に降下し、各担当の橋を確保するのが、作戦骨子であった。

 つまり、序盤では、楽勝ムードで地域制圧できる「第101空挺師団」とは裏腹に、独軍との戦線により深く侵入しなければならないのが、アンソニー・ホプキンス演じる「ジョン・フロスト中佐」率いる第1空挺師団第1空挺旅団第2大隊となるわけであり、劇中でも独軍の徹底的反攻に見舞われる。


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「ガーデン作戦」部分では、

 ややのんびりしながら出発する英軍「近衛機甲師団第5近衛戦車旅団」並びに「第30軍団」ご一行様の様子や「アントホーフェン」開放で狂喜乱舞する住民に彼らが足止めされる姿が描かれ、作戦全体スケジュールの「遅延」の根源がここいらにあると表されている。


 やはり、アメリカ人の手で製作されたため、米軍よりは、英軍に対し「作戦遂行上」の落ち度が高いかのような筋書きとなっているようで、中盤以降で、アンヘルム地区で孤立する英軍「第1空挺師団」の苦労が、より痛々しく伝わって来ます。

 

(冒頭部分のみ、あらすじ)

 ノルマンディ上陸作戦の成功により、その3ヶ月後の1944年9月上旬までに、連合軍はフランスのパリ、ベルギーのアントワーフを奪還し、独軍はさらにその勢いを失い、敗走に次ぐ敗走を続けていた。独軍は、本土防衛のため全速力での撤退をしたため、連合軍の兵站は間に合わず、約600kmにも渡る補給路を維持しなければならなかった。

 独軍首脳は、さしたる追撃も実施しない連合軍をあざ笑うかのように、陸上部隊の再編成と建て直しを行っていた。


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連合軍は、広がる戦線をさら東へ押し込むべく、戦線の北方を英軍「モントゴメリー元帥」が担当し、南側を米軍「パットン将軍」が担当している格好だった。連合軍は、この2人が率いる大軍団のどちらに、より多く武器弾薬・食料薬品などの物資を供給するのが、より効果的かの判断を迫られていた上、この我の強い米英の『大将軍様』の鞘当ての原因にもなっていた。

 「モントゴメリー元帥」は、兵站問題の解決と、戦争終結の決定的手立てとして、この「マーケット・ガーデン作戦」を立案し、その実施を米軍側に迫っていた。この作戦が成功すれば、クリスマス前にも欧州大戦は終結し、ドイツの背後から迫る共産主義国家「ソ連」をも牽制できるはずなのだが・・・

 連合軍最高司令官「アイゼンハワー将軍」は、英国の立場と、終戦後の国際関係に配慮を示し、この電撃的作戦を承認し、実施を許可した。

 地下活動者らからの独軍機甲部隊の動向情報や通信機の不備、航空機の不足などは、この大作戦のブレーキとはならず、実施決定からたった7日で「マーケット・ガーデン作戦」は実施された。


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 まず、「マーケット作戦」では、航空機の不足を補うため、輸送機とグライダーが用いられ、米軍「第101空挺師団」と「第82空挺師団」、そして英軍「第1空挺師団第1空挺旅団」のエアボーンが始まる。各部隊は、初期作戦に成功し、それぞれの制圧拠点に到着する。


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 また、「ガーデン作戦」では、砲兵部隊による30分の砲撃後、英軍「近衛機甲師団第5近衛戦車旅団」を先頭とする「第30軍団」が進撃を始めるが、独軍の防衛部隊の迅速な建て直しを予期しておらず、88mm対戦車砲等で側面攻撃を受け、数両の「M4シャーマン戦車」を失い、航空支援を得ながらやっとのことで、独軍を退けたが、大破したM4シャーマン戦車の除去等の進撃路の確保作業でさらに時間を費やし、アイントホーフェン(第101空挺師団担当地区)の15km南の地点、ヴァルケンスヴァールト辺りでぐずぐずする。ここで約35時間のスケジュール遅延があり、また、墜落したグライダーから、独軍斥候によって作戦書類を奪取される等、作戦の今後に暗雲が垂れ込める。


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 その後、地下組織からもたらされていた情報と、航空写真で裏づけられていた、タイガーⅡ戦車を主力とする(この作品では、レオポルドⅠ戦車で代用)独軍機甲部隊の登場で、アンヘルム地区で孤立する英軍「第1空挺師団」が大打撃を受ける。


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