単発の、パイロット版のヒロインは高岡早紀だった。
あれを観てセンチメンタルな気分にならなかった男はいるのか。
TX制作的にはしめしめ、だったと見えて、めでたく連ドラ化。
満を持しての第一話。号砲一発。
草刈民代、葛飾柴又に降臨。
ふさわしすぎる。ただでさえバツサンの独身男、吉田鋼太郎は
55歳で、和菓子職人だがとにかく惚れっぽく、女との約束を
取りつけるや即、江戸情緒を残す東京下町や奥座敷を連れ回して
渋い名所旧跡で蘊蓄を振りかざしては、小粋な飯と酒を喰らい
なんだか今日は行けそうな気がする~
的な超楽観主義で、ええとこまで行って最後は必ず爽やかに
自爆する。でも妙齢の銀河選抜が入れ代わり立ち代わり…
しかも元嫁のひとりは大塚寧々で、って嗚呼ムカつく。けれども
気が多く、夢見がちで、図に乗りやすく、節操のかけらもない
誰かさんを戒めてるような。
チャンカワイの「気をつけなはれや!」の最後通牒のようにも。
ひとつふたつ飛ばして、そらお出ましだぞ。
小石川の路地裏を、子猫のように、こちらの気持ちを
見透かし、焦らすように嘲笑うように、身を翻しては遠ざかる
奥貫薫。奥貫薫。奥貫薫。
やってられっかバヤロイ。オレは忙しいんだ、帰るよもうと
踵を返そうとした、その刹那に舞い降りる福音。
ミートゥーミートゥー、愛飢男。
「バッカみたい」
うっせーバヤロイ、この連ドラ女優め。