結婚を間近に控え、幸せの絶頂にある相羽季奈子の母親が、交通事故で重傷を負った。かつぎ込まれた病院の医師団は、たとえ手術が成功しても、植物状態に陥ると判断し、処置に迷っていた。その中の一人、若手脳外科医上林は医の倫理をふりかざし、手術を強く主張した。上林の主張の奥には、季奈子がかっての恋人であり、自分を捨てて他の男を結婚相手に選んだという背景があった。手術は行われ成功したが、予想通り患者は植物状態に陥った。その結果、季奈子は婚約を破棄され看病ひとすじの希望のない毎日を送り、上林は良心の呵責に苛まれ、加害者の北川は刑務所に服役中に離婚され、実家に多大な経済的負担をかけていた。北川が出所後にまた、起こした事件の弁護を引き受けた水木は、季奈子の母親殺害未遂事件の弁護も担当することになったが、事件の裏に潜む意外な事実に直面した。

「当弁護人の再三の説得にも関わらず、被告人は他人に罪をなすりつけ、己を救わんとする態度を変えようとはせず・・・」昭和53年に起きた「スナックママ殺害事件」で国選弁護人だった清原弁護士は被告人奈良林に不利な弁護をし、弁護士会から糾弾された。それから7年後、奈良林の仮出所の噂を耳にした水木弁護士は、今は無き清原弁護士の娘で水木の先輩堀井弁護士と結婚した郁子から、7年前の事件の真相究明の依頼を受け、調査をはじめた。そんな時、大森で「中小企業社長殺害事件」が発生。この事件の被告人黒瀬達夫の供述が、7年前の「スナックママ殺害事件」の被告人・奈良林の供述内容とまったく同じであることを知って、水木は驚く。

新橋にある水木法律事務所に、つきつめた表情の若い女が現れた。女は、12年前冤罪の汚名のまま獄死した父の無念を晴らしたいと、懇願した。正義感に燃える少壮弁護士水木は,話を聞くうちに次第に事件へと関心が向いていく。12年前の年末、雑踏の街新宿で殺人事件が起きた。ツリー爆弾、ピース缶爆弾事件で世の中が騒然とする中、それはマスコミ報道の陰に隠れている小さな事件だった。水木は当時の関係者をたぐり真相を掘り起こそうとするのだが、時の風化作用を受け、予想以上に困難な調査となった。信念に燃える若き法曹が歪んだ社会の中に打ちひしがれる人の群を相手に、犯罪の病巣をつき人間の真実をつきとめていく

現職の判事・寺沢が担当中の被告人の妻、岩田歌江殺人容疑で逮捕された。寺沢は歌江が殺される直前、歌江から夫の減刑のため誘惑され、一緒に居るところを目撃されていたのだ。だが、寺沢は犯行時間に行きずりの女と別のホテルにいた。これは、巧妙に仕掛けられた罠なのか?義兄・寺沢を密かに慕う杉原早紀子は、無実を証明するため、義兄と寝た赤いコートの女を求め越後出雲崎へ旅立った。そして三年、義兄が扱った殺人事件との関連を知るが・・・。

詐欺商法でのし上がった悪徳会社「シルクハウス」の会長・碓井が絞殺された。碓井と対立する同社専務・工藤を捜査陣はマーク、殺人の動機をつかんだ。が、工藤には鉄壁のアリバイがあった!有罪を信じる沢月刑事は執念の末アリバイを破り、工藤を逮捕、事件の舞台は法廷に。さらに公判中、工藤は愛人・篠原紀絵の意外な証言で窮地に追い込まれる。若き美人弁護士・槇村ゆり子は工藤の無実を証明するため、検察側と真っ向から対決するが。二転三転といきづまる展開の中に秘められた真実は・・・。

嵐の夜、新興宗教の教祖・信楽が拘置所で自殺、半年後、担当検事が、再起不能の大怪我を負った。OLの水沢かなえは、このごろいつも誰かに監視され尾行されているような気がしていた。そのうえ、恋人の野毛が心変わりし、心乱れる日々であった。そんな折り、かなえに不可解な言葉をかけた女・都鳥が殺された。パソコンのフロッピーに奇怪な文章が残されていた。そして彼女と接点のある男達が続いて死ぬ。桐生検事は一連の事件の背景にあの自殺したはずの教祖・信楽の影を見る。かなえを襲う非情な運命!

暴走族の少年・柳本に夫を殺された西崎有希。夫を偲ぶ旅に出た彼女は、東北の漁港で、荒々しいがどこか魅力的な男・黒木と知り合う。黒木は、有希の心に重く厚い感情を残した。有希は黒木の生まれ故郷・豊後竹田を訪れ、そこで幼いとき母と共に父に捨てられた黒木の過去を知る。やがて、柳本が殺された。現場に落ちていた有希のロケット。アリバイのない彼女は逮捕された。犯してもいない凶行を認める有希。検事の桐生はそんな有希の態度に不審を抱き<黒木の存在に気づく。

復権を果たした金達玄。しかし、改革解放派の彼の地位はまだ危うい。特に、金正日の側近であり、対南。対日工作の元締めである国家保安部――三号庁舎を仕切る金容淳との関係は悪化する一方であった。折しも、北朝鮮のミサイル発射事件を巡り、日本国内では北朝鮮に対する感情的世論が沸き起こっていた。そんな時、三号庁舎の工作員で、スーパーK(北朝鮮製の偽ドル札)工作にかかわっていた男が、ソウルでの壮絶な銃撃戦の末、逃亡する。男には任務のため潜入していた日本と、祖国である北朝鮮にそれぞれ妻子がいた。アメリカ国防省の情報組織、通称<会社>は人的情報収集活動のプロ、葉山を男と接触させ、司法取引をさせようともくろむ。ふたつの家族のどちらかを選べば、もうひとつは破滅する。苦悩する男の下した究極の選択とは!?

人的情報収集活動・ヒューミントのプロである葉山は、ある日事情聴取した「対象者」の言葉の中にひっかかりを覚える。北朝鮮で何か新しい動きが始まっているのではないか? 在日米軍の支援を受ける情報組織、通称<会社>の上司<エディ>の指示で葉山は調査に乗り出す。同じ頃、脱走した米兵の惨殺死体が発見される。日系アメリカ人である横須賀基地NISC(海軍調査軍)勤務の坂下も、同じく調査を開始する。彼らの聞き取り調査の中に、何度も顔を出す謎の男。北朝鮮の有力者と対等に話し、ブランド品をさりげなく着こなす長身の優雅な男。彼の正体は? そして、謎の言葉「プラチナ・ビーズ」とは?

名探偵エルキュール・ポワロは実在の人物であり、名作ミステリー『オリエント急行の殺人』事件はそれが書かれる前年の1933年、南インドで実歳に起こった事件だった!――45年後の19789月、作家・高田晨一はインド政府からの招待旅行で、79歳の矍鑠たるポワロと出会う。ポワロの手には<かつての現場・ハイデラバード急行内でふたたび殺人が起こる>との脅迫状が・・・。やがて、予告通り豪華宮殿列車で殺人が発生。ポワロの名推理によつて事件は解決したかに見えたが、最後の最後でこの稀代の名探偵にも見抜けぬ大逆転が・・・。