ボランティア団体を規制するより育成すべきだ | CAPIN(キャピン)公式活動報告

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認定NPO法人「動物愛護を考える茨城県民ネットワーク CAPIN」
公式ブログ

殺処分ゼロをめざして、と法改正をした国。


殺処分ゼロをめざす条例を作った県。





その結果、飼い主やブリーダーからの安易な引き取りを拒否して、保健所やセンターでは殺処分を堂々とはしなくなった。



その結果、殺処分を免れた犬猫はどこにいく?


放棄できないで、仕方なく飼い主のもとに留まる。


あるいは動物保護ボランティア団体のもとに押し付けられる。



当然、ボランティア団体は多頭飼育となる。


本来なら、ここに手当をすべきである。避妊去勢手術への助成。飼養費の助成。家賃補助、フード支援等。



















しかし、今回の法改正では、手当どころか、動物保護ボランティア団体が規制の対象とされた。





動物を商品として繁殖したり販売する第1種動物取扱業の規制と同様に。


シェルターを抱える第2種動物取扱業、つまり動物保護ボランティア団体が規制を受ける。ふだん行政や市民から丸投げされ、引き取って育てている動物保護団体が、ペット業者と同じように規制だけを受けることとなる。


高騰する光熱費の補助もない、施設貸し出しやドッグランの提供もない、動物看護士やトレーナーの派遣といった人的資源の提供もない、支援とか育成という観点はまるでなく、規制のみである。



寄付と会費のみで運営する団体が多いが、ただ、業者といっしょくたに「規制」のみである。


結果、今何が起きているか。



動物保護団体は、市民が遺棄したり放棄したり増やしたりした犬猫を引き取り、新しい家族に託したり自らが面倒をみて助けている。行政による殺処分からレスキューする。


自治体は動物ボランティアに犬猫を引き取らないと殺すぞと脅し引き取らせる。あげく、ボランティアは多頭飼育崩壊となる。


身銭を切り私財を投げ打ち活動しているところが多い。


年間1,000頭を超える犬が収容される県ではボランティアさんたちの個人宅で保護しているだけでは追いつかない。仕方なく緊急保護施設を作りボランティアさん皆で世話する。毎週末のように里親会を開くが次々と新たに収容される。殺処分を止めたと胸を張る行政は実は民間ボランティア頼みで丸投げしている。


民間ボランティア団体に犬猫が溜まる。犬猫を世話する専属スタッフが欲しい。雇用したいが資金がない。寄付をくださる方も、直接犬猫に使う医療費とフードは良いが、人件費には使わないでほしいと言われる場合も少なくなく、ボランティアさんのお力にすがりつつ運営する。でも限界がある。最低限の雇用。綱渡りのよう。募金を呼びかけ必死に人を探す。


そんななか、本来ならば、殺処分ゼロを目指す国の意向のもと、ノーキルの自治体を底支えしている動物保護団体に、今回の数値規制を満たすだけのスタッフ派遣と飼育環境整備(ケージの広さや冷暖房の確保、家賃も含めて)を助成してもよいはずだが、国は第2種動物取扱業に規制だけをかけた。


現場にいない人たちの話し合いで決められる数値規制により、今現場で何が起きているか。





頭数が規定のボランティア数より多いからと保護施設から猫を外に遺棄している団体がある。


保護頭数をしぼる団体が多数ある。


出来ることならたくさん助けたい、が手を出せない、と頭を抱える団体さん。


ボランティアが泣いている。

犬や猫も泣いている。


国や議員たちは、第2種動物取扱業を本当に理解しているのだろうか。ブリーダーやペットショップ業者と変わらないと考えているのではないだろうか。


これから何が起きるのか。




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数値規制により廃業するだろう第1種動物取扱業、つまりブリーダーやペットショップは3割にのぼるとも言われている。


法改正で、その3割の繁殖犬猫たち13万頭が行き場を失い、その多くが第2種動物取扱業に流れるだろうと言われている。


その受け皿であるボランティアたちを潰すわけにはいかないのではないか。




小型犬や純血種に人々は群がるだろう。第2種動物取扱業の私たちが抱える中型犬や雑種犬たちの譲渡は鈍るだろう。




こうした状況が予測される今、国や議連がやるべきは、第2種動物取扱業を支援し、育成し、この苦難の数年を乗り切れるだけの胆力、体力を授けることではないだろうか。国民が犬猫ウサギを飼うときはペットショップでなく保護団体から迎えるのを当たり前とする時代をめざすのならば。



甘夏



この日本という野蛮な動物虐待大国に抗い、行政の支援がほぼないなかで、身を粉にして保護施設を自分たちで実現し、寄付を集めて医療を施し、殺処分を減らし、譲渡を通じて子どもたちに啓発してきた第2種動物取扱業の私たちを、どこまで利用し、搾取するつもりなのだろうか。


よその国の法律を見ると、国は動物ボランティア団体を育成し助成する、と書いてある。日本の動愛法にさえも。


動物と人との共生を大切にするなら、それをもたらす非営利の動物保護団体を、なぜ規制だけして支援しないのだろうか。


ボランティアに足枷をはめ、それによりボランティア団体が潰れ、保護活動できなくなれば、行き場を失うのは飼い主のいない動物たちである。


by鶴田真子美(おかめ)