住民監査請求 意見陳述書 2029年3月 | CAPIN(キャピン)公式活動報告

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認定NPO法人「動物愛護を考える茨城県民ネットワーク CAPIN」
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 2019年3月、殺処分に対する公金支出を差し止める住民監査請求を住民有志の皆様が行いました。住民代表はYさんです。

あのとき、2018年12月28日以降、殺処分は数ヶ月間ストップしていました。6月10日に住民監査請求は却下されるのですが、その直前に提出した意見陳述書です。

6月10日にガイドラインを制定、住民監査請求も却下、パルボウイルス発生による大量殺処分再開、奇しくもすべてがこの6月10日に集中していました。

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  住民監査請求 意見陳述書

2 0 1 9年5月15日
 請求人ら代理人 弁護士 坂本 博之

茨城県監査委員 殿

     記

茨城県は、同県笠間市所在の茨城県動物指導センターにおいて、犬猫の殺処分を行ってきた。平成31年1月以降、現在に至るまで、同センターでの殺処分は事実上実施されていないものと考えられるが、茨城県は、早晩、犬猫の殺処分を再開することを意図しているものと考えられ、その場合、同県知事大井川和彦は、その実施のために公金を支出することになる。
 しかし、同県が行う犬猫の殺処分は違法であり、同県知事大井川和彦は、上記予定されている公金の支出の差止を行うべきである。

2 犬猫の殺処分が違法である理由は、次のとおりである。

 即ち、第一に、動物の愛護及び管理に関する法律(以下「動物愛護法」と言う)2条1項は、「動物が命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない」と規定し、同法44条1項は、「愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、二年以下の懲役又はニ百万円以下の罰金に処する」と規定しているのであり、茨城県が行ってきた、或いは行おうとしている犬猫の殺処分は、この法律に違反する。

 第二に、動物愛護法のみならず、同法施行令、同法施行規則、或いはそれ以下の告示等においても、動物を殺害することができる場合についての規定は全くない。法的根拠を欠く殺処分は、法律の規定に基づかない、違法な処分であるというほかはない。また、実際に、我が国の都道府県等において実施されている殺処分の理由として、①治癒の見込みがない病気に罹患していたり攻撃性があるために譲渡をすることが適切ではないと判断された場合、②適切な譲渡先が見つからない、施設の収容可能頭数等の物理的制限により飼養が困難等、その他の理由、が挙げられている。仮に、これらの理由が殺処分の理由として認められるとしたとしても、茨城県においては、①の点は実際に適正な判断がなされているものとは到底言えない。②の点は、譲渡のための公示を行うことも十分ではない上、動物指導センター内に十分な余裕があるのであり、全く理由とはならない。因みに、茨城県動物指導センター内には、収容犬を保管するために利用できるスペースが十分にあり、そこを利用すれば犬の収容頭数を増やし、殺処分を容易に回避することができる。平成31年3月20日の県議会・予算特別委員会において、舘静馬議員がその点を知事に質問したところ、知事は、このような提案を拒絶したのである。知事の努力不足は明白であり、このようなことのために犬猫の殺処分が実施されることは到底許されないものと言わねばならない。
 第三に、動物愛護法40条1項は、「動物を殺さなければならない場合には、できる限りその動物に苦痛を与えない方法によってしなければならない」と規定している。しかし、茨城県が行っている殺処分の方法は、現在、餌に毒を混ぜて与えるというものであり、この方法によった場合、毒餌を食べた犬や猫は、すぐに絶命するものではなく、苦しんだ挙句に死に至る。このような殺害方法は、動物愛護法40条1項に違反する。
 第四に、茨城県は、平成28年12月28日、「茨城県犬猫殺処分ゼロを目指す条例」(以下「殺処分ゼロ条例」と言う)を制定した。この条例では、格調高い前文が置かれている。ここには、「特に,本県は,犬の殺処分頭数が長年にわたり全国上位に位置するほど多く,県民が深く憂慮すべき状況にある。犬や猫の命を尊ぶことがひいては人間の命の尊厳の確保につながることに鑑み,今こそ,犬や猫を飼養し,又は業として犬や猫を取り扱う者には,それらの命の大切さに対する認識を新たにして行動することが求められている。ここに,私たちは,県,市町村及び県民が一体となって,犬や猫の殺処分ゼロを目指すことを声高らかに宣言し,犬や猫と共に幸せに暮らせる社会の実現に向けて行動する決意を明確にするため,この条例を制定する。」と書かれている。しかし、上記のような茨城県の態度は、同条例前文に違反する。

 第五に、茨城県動物指導センターに収容した犬猫については、後述するような、飼主の不明な犬猫を除けば、その所有権は、茨城県に帰属するものと考えられる。殺処分ゼロ条例4条1項は、犬猫の飼主の責務を、「犬又は猫の所有者は,動物の福祉に鑑み,自らが所有する犬又は猫がその命を終えるまで適切に飼養すること(次条第1項において「終生飼養」という )に努めるとともに,その所有する犬又は猫を,やむを得ず飼養することができなくなった場合には,自らの責任において新たに飼養を行おうとする者に譲り渡すよう努めなければならない」と規定する。茨城県の態度は殺処分ゼロ条例の上記条項に違反する。

第六に茨城県は、収容した犬猫について、公示も十分に行わずに殺処分を行ってきた。収容した犬猫の中には、飼主の不明な犬猫、実際には飼い主がいるにもかかわらず、十分な調査もされない犬猫がいるものと思われる。これらの犬猫については、所有者に対する関係で器物損壊罪が成立する。また、その殺処分した犬猫を焼却する行為は、証憑隠滅罪を構成する。

第七に、茨城県動物指導センターで行われている殺処分は、明確な基準もなく、県職員の恣意によってその対象となる犬や猫が選定されている。このような殺処分が実施されている茨城県動物指導センターの作業場は、労働安全衛生法23条に規定する労働者の精神的な健康に必要な措置を講じているものとは到底言えない状態であり、このような事態は、同法23条、24条に違反する。

第八に、日本国憲法は、個人の尊厳を、憲法以前から存在する最も重要な理念と捉えている(憲法11条、13条)。個人が尊厳性を有する根拠は、その生命の尊厳性にあるものと考えられる。生命を有する、人間の生命と連続した、血の繋がりのある生命を有する動物には、人間の尊厳性に準じた尊厳性が備わっている。このような、動物の生命の尊厳性は、憲法11条、13条にその根拠を有する者というべきである。そして、我が国の法制上、動物の殺処分を認めることができる場合についての法律上の規定は存在しない。現実に行われている殺処分も、社会的な必要性を具備するものとは言えないし、その方法も適切なものではないし、さらにその手続も全く整備されていない。このような状況での殺処分の実施は、憲法11条、13条、31条に違反する。
 従って、茨城県による犬猫の殺処分の実施が違法であることは明らかである。

3 よって、茨城県が犬猫の殺処分の実施のために行う公金の支出は、さしとめられるべきである。


この子がB133


A299








カケルやあずさの兄弟もいます。手を伸ばせば触れるくらいの近さに今も感じます。みんな死んでしまいました。


なぜ、止められなかったのか。


6月10日を皮切りに、次々と殺されてしまった子たちです。


改めて開示文書を精読しています。


開示文書はいくらでも改ざんしたり書き直したりできることは分かっていますが。


穴が開くほどこの紙を眺めています。


6.10に黒塗りの方に引き出された犬に、その日のうちにパルボ検査がなされ、陽性が出たそうだ、と聞いたことから全てが始まりました。



2019年6月


あのときセンターで、何があったのか。


その闇が未だに拭いきれません。


みな、パルボのワクチンは収容時に必ず打っていました。それなのに、突然、引き出された犬が陽性に?


ワクチンはなぜ効かなかったのか。


それを機にセンターからは締め出された。


6月10日のパルボ発生以来、大部屋に入れたのはセンター長と、保護指導課と、委託業者だけです。


6月10日からセンターにも県庁にも何度も話を聞きに通いました。生活衛生課長もセンター長も部下も、だれも、何も話さず。ガイドラインについては月末の県知事会見まで、一言も触れもしませんでした。


しかし、裏では着々と、ガイドラインに基づき、殺されていたのです。



この4年、皆様と一緒にここまで来られたのだから、センターも改善されて職員さんたちも変わったのだから、前を向いて行くしかない、と分かっていますが。


この闇を完全に抜けたくても、絡みついてくるのです。

by鶴田真子美(おかめ)