譲渡候補犬の選定に関するガイドラインへの意見書 令和元年7月3日 | CAPIN(キャピン)公式活動報告

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認定NPO法人「動物愛護を考える茨城県民ネットワーク CAPIN」
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3年前に「譲渡候補犬の選定に関するガイドライン」に関する意見書を茨城県宛に提出しました。

このガイドラインについて、再度、私たちの考えとして、意見書を示しておきたいと存じます。



         令和元年7月3日,
特定非営利活動法人動物愛護を考える茨城県民ネットワーク(会員数485名)
任意団体
たつのこ会
JOSO WAN ZERO 
猫と友達地域猫
老犬・病猫・負傷・乳飲み子猫もみな助け隊
犬猫殺処分ゼロ実現を願う茨城県民の会
いばらき・allいのちのネットワーク
カナダ・RSPCAノバスコーシア
命の選別・T4作戦を忘れない市民の会
上記代理人弁護士坂本博之
弁護士箱山由実子
弁護士及川智志
弁護士市野綾子
弁護士西島和
弁護士植田勝博(ペット法学会ペット法塾代表)


茨城県知事大井川和彦殿

令和元年6月11日付で、貴職は「譲渡候補犬の選定に関するガイドライン」を策定して公表し、同年6月24日、同ガイドラインの策定に関連して、「犬猫殺処分ゼロを目指す取り組みについて」という表題の下、記者会見を行った。同ガイドラインには記載されていないことも、記者会見で語られているので、同記者会見の場で語られたことも踏まえて、このガイドラインに関して、以下のとおり、意見を述べる。
      記

第1 意見の趣旨
令和元年6月11日に策定された「譲渡候補犬の選定に関するガイドライン」は直ちに廃止し、広く県民や動物愛護に関心を抱く国民の意見を聞いたうえで、犬猫の殺処分ゼロを目指すため、改めて適正な方針を策定すべきである。

第2 意見の理由
1 本件ガイドライン策定過程が不透明である
 この度策定された「譲渡候補犬の選定に関するガイドライン」(以下「本件ガイドライン」という)は、後述する通り、違法な、或いは極めて不当な内容を有するものであるが、その点について述べる前に、その策定過程が極めて不透明であることを指摘する。
 即ち、犬猫の殺処分に関する問題は、多くの県民が関心を抱いている問題であり、嘗て殺処分数ワーストを記録し続けてきた茨城県の対応は、多くの国民が注目している問題である。それにも拘らず、本件ガイドラインは、事前に、県民や県内の動物愛護団体等に対して意見を聴くこともなく、隠密裏に、非常に拙速に策定されたものである。このような政策決定のあり方は、行政が拙い政策をゴリ押しするときに用いる常套手段である。この一点だけにおいても、本件ガイドラインは廃止するだけの十分な理由がある。

2 本件ガイドラインの内容は県民や国民に対する欺晰である
本件ガイドラインは、貴職の記者会見の内容からすると、「犬猫殺処分ゼロを目指す取り組みについて」の一環として策定されたものと位置づけられている。本件ガイドラインは、「譲渡適性」の有無を判断するためのガイドラインとされている。「譲渡適性」がないと判断された犬がどうなるのかについては、本件ガイドラインには明記されてはいないが、貴職の記者会見の内容からすると、「殺処分」というカテゴリーに入れることなく、殺害する、ということのようである。記者会見の中でNHKの記者からの質問にもあるように、このような犬猫の扱い方は、殺す犬猫は全て「譲渡不適」としてしまえば、容易に殺処分ゼロを達成することが可能となる。これは、単なる言葉遊びによって、殺害されてい<犬猫の存在に蓋をしてしまおうというものであり、極めて悪質な動物愛護行政であると言わざるを得ない。
 因みに、貴職の動物愛護行政において、「譲渡不適」とされた犬猫が殺害されることは、「殺処分」とは言わないということであるが、それならば、これは、何という処分に該当するということなのであろうか
 また、貴職の記者会見の中で、「譲渡不適」とされた犬猫の殺害を「殺処分」に含めないというのは、環境省が採用している区分であるとも言われている。しかし、環境省がそのような区分を行っているとしても、それが正しい在り方かどうかを批判的に検討し、あるべき姿を探っていくのが地方公共団体の役目である。なお、「譲渡不適」という判断は、非常に恣意的な判断にならざるを得ないこと、そもそも「譲渡不適」犬はあり得ないことは、後述する。
 それから、本件ガイドラインは、「殺処分頭数」を減らしていくためのガイドラインとされている。「殺処分」というのは、「譲渡適性」があるとされた犬を殺害することであるから、本件ガイドラインは、「譲渡適性」があるとされた犬であっても殺害することを前提としている。そして、このガイドラインにも、貴職の会見においても、「譲渡適性」のある犬がどのような場合に殺処分をされるのかについては、何も触れていないし、「譲渡適性」のある犬を殺処分しないために、具体的にどのような方策を執るのかということについても、何ら触れるところがない。従って、本件ガイドライン及び貴職の方針は、「譲渡適性」のある犬であっても、特に明確な理由もなく、「殺処分」を行うものであると理解せざるを得ない。このような行為は、動物愛護法44条1項によって犯罪とされている「みだりに愛護動物を殺す」行為に他ならない。
 結局、本件ガイドラインや、貴職の記者会見は、「犬猫殺処分ゼロを目指す取り組みについて」と銘打たれたものであるが、その実態は、言葉遊びの上で「殺処分」ゼロを目指す、現実には、犬猫を殺害しないための努力は何もしない、ということに他ならない

3 本件ガイドラインの内容は不適正である
本件ガイドラインは、「譲渡適性のある犬の選定を適正に実施するために必要な事項を定めることを目的とする」とされている。その内容として考えられているのは、①1次判定と2次判定の2段階の判定を行う、②l次判定の実施はセンター職員である狂犬病予防員が原則として行う、③2次判定は狂犬病予防員を含めた2名以上で行う、④2次判定において、実施者(犬を取り扱う者)と判定者(犬の行動及び反応を観察する者)の役割を明確に分けて実施する、などということが挙げられている。また、貴職は、記者会見において、「客観的な適性判断ができるような形でやられているということを確保するためのガイドライン」という発言をしている。
 貴職が述べる「客観的な適性判断」というのは、上記の二段階の判断を行うことや、二次判定は2名で行うことを言われているものと考えられる。しかし、判定を行うのは、県職員であり、その判断は内部的なものである以上、それが2回行われるにしても2名で行うにしても、客観性はない。本件ガイドラインの中には、第三者機関によるチェックは規定されていない。また、本件ガイドラインの中に含まれているマニュアルには、いくつものチェック項目があるが、その多くは主観的な判断が求められているものである。これでは、客観的判断になりようがない。
 実際に判定を実施する者は、県職員であるということであるが、判定者は、日常的に各犬に接することのない者となるものと思われる。このような者に、一頭一頭の犬にそれぞれ「譲渡適性」があるか否かの判断などすることは困難である。また、犬の「譲渡適性」を判定する場所は動物の保管場所である。二次判定は、一次判定の8日後以降に行うとされているが、警戒心の強い犬、臆病な犬、遺棄されてショックを受けている犬等が、このような場所、期間において的確な「譲渡適性」の判断が可能とは到底考えられない。
 そして、そもそも、「譲渡適性」がない犬は、あり得ない。これは、これまで多数の野犬の保護も行い、譲渡活動を行ってきた当団体が、実際の経験から明確に言えることである。
 以上のように、本件ガイドラインは、「客観的な適性判断」を行えるような内容ではなく、「譲渡適性」のある犬の選定を適確に行うためには不適格な内容である。そもそも、「譲渡適性」のある犬を選別し、それがない犬を「殺処分」とは言わない殺害を行うという政策自体が誤りである。

4 結論
よって、適正な内容ではない本件ガイドラインは直ちに廃止すべきであり、県民・国民を愚弄するような「譲渡適性」のない犬猫は「殺処分」に含めない(でも殺す)というような詭弁で殺処分ゼロを目指すのではなく、真の殺処分ゼロを目指す施策を改めて検討・立案すべきである。動物愛護法の趣旨からすれば、奪われる動物の命を限りなくゼロに近づけるための政策を策定するべきなのであって、形式的な「殺処分頭数」を減少させればよいのではない。仮に、奪われる命をすぐさまゼロにすることが現実的には困難であると考えたとしても(もし貴職がこのように考えているのだとすれば、それは誤りであるが)、そこへつながる具体的な制度の構築は不可欠である。従って、まず、現状を踏まえて犬猫の殺処分(本来の意味での殺処分)を行わないで済ませることができるような方策を立てるべきであり、そのような方策を立てた上でもなお、もし仮に殺害することとなった動物がいた場合には、その殺害した動物を個別的に特定できる特徴、殺害した理由と生前の当該動物の状態に関する、第三者機関による観察をも含めて記録に残し、当該記録を公開し、住民による監視を可能な状態にし、しかも住民による是正措置の請求が可能な制度を創る等、動物に対する不当な扱いが行われにくい環境をつくっておくことは必須である。


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以上、私たちからの意見書です。


生かすか生かさないかのガイドライン。いくら読んでも客観性を欠いています。密室で譲渡不敵の烙印を押す。歳をとったり病気があると生きていてはダメなの?風邪ひいていたりフィラリアが入っていてはダメなの?癌に罹っていたら、口臭があれば、鳴き声が大きければ生きていてはダメなの?

ロコや花梨はセンターでは鳴き続けていたけれど、引き出したら全く鳴かないですよ。あの場所での判定は不可能です。

殺そうとすれば、理由はあとから付いてきます

健康で若く小型サイズで問題行動がない犬を希望される方だけではありません。皮膚病だからこそ、腫瘍があるからこそ、治療に繋げるために引き出しを願う方もおられることを、理解していただきたいのです。

譲渡不適犬の殺害を殺処分と言わないなら、何という処分ですか。
法的根拠を欠いています。
「みだりに殺す」に通底します。
このガイドラインの違法性、不透明さ、残酷さが、野放しにされて3年半が経ちました。


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1目的 このガイドラインは,茨城県動物指導センター(以下,「センター」という)に収容された成犬の譲渡にあたり,譲渡適性のある犬の選定を適正に実施するために必要 な事項を定めることを目的とする。
2 対象の選定
  1次判定時において生後91日以上(推定含む)の成犬とする。
3 譲渡候補犬の選定 1次,2次判定を実施し,総合判断で可となった犬をセンターのボランティア登録を受けた団体等への譲渡候補犬とする。
(1)1次判定 1次判定には譲渡候補犬判定表【成犬1次】(別表1)を使用し,【譲渡候補犬1次判定実施マニュアル】(別紙1)に基づき判定を行う。 ※1次判定の総合判断結果で「否」であっても2次判定は継続し,2次判定の結果を優先する。
(2)2次判定
2次判定には譲渡候補犬判定表【成犬2次】(別表2)を使用し,【譲渡候補犬2 次判定実施マニュアル】(別紙2)に基づき判定を行う。
3補則 ・その他,譲渡候補犬の選定に関して必要な事項は,別途定めることができる。 ・本ガイドラインは令和元年6月11日から施行する。 ・施行前に収容された犬については,2次判定を行うものとする。


別紙1
【譲渡候補犬1次判定実施マニュアル】
1 実施者について 原則,センター職員である狂犬病予防員が行うものとする。
2 実施時期について 原則,センターに収容した日に行うものとする。
ただし,業務時間外,休日等に収容された動物については翌日以降に行うものとする。
3 実施場所について 原則,動物を保管する場所で行うものとする。
4 体格の判定 成犬の体格判定は,下表を参考に実施するが,体高・体長等も考慮して判定すること。 特大 36Kg~
大 ~35Kg 中 ~20Kg 小 ~10Kg
5 年齢の判定 成犬の年齢の判定は,別表「犬の年齢の見分け方」を参考に実施すること。
6 生育環境 生育環境は,引き取り,収容等に際し,所有者等や関係者から聴取した情報に基づき下表を参考に記入すること。
飼い犬,あるいは所有者のない犬であっても人から給餌された経験が ある,身体を触られた経験がある等,人との接触が濃厚であったもの。 人との接触は間接的にはあるが,給餌された経験,身体を触られた経 験等がなく,人との接触が希薄であったもの。
             ++
人との接 + 触の程度
    ― 収容時まで人との接触が全くなかったとおもわれるもの。 不明 情報収集が出来ず履歴不明のもの。
     3

7 許容性
  許容性の判定は,下表を参考に実施すること。
    人
     攻撃性反応
    +
  人が犬舎等の柵越しにしゃがみ,犬に声をかけたときに, うなる,かみつこうとする等の反応が出た場合「+」と する。
恐怖性反応
    ++
   人が犬舎等の柵越しにしゃがみ,犬に声をかけたときに, 硬直する,逃げようとする等の反応が出た場合「++」 とする。
   +
  人が犬舎等の柵越しにしゃがみ,犬に声をかけたときに, 近づかないが明らかに興味を示し,その行動が特殊な環 境に起因するものと推測され,数日後に改善が期待され る場合「+」とする。
 ++ 環境 恐怖性反応
犬舎等の隅に逃げ込み硬直して動かない,物音に対して 異常に怖がる等の場合「++」とする。
   +
   犬舎等ではあまり動かず,物音に対してやや怖がるが, その行動が特殊な環境に起因するものと推測され,数日後に改善が期待される場合「+」とする。
     8 健康状態 健康状態については,原則,外観上から判定することとする。
9 総合判定 判定については,犬種,体格,年齢,許容性,健康状態等を総合的に判断することとなるが,概ね下記の判定基準に従い決定するものとする。 なお,「否」とした場合にあっては,判定理由のうち主なものひとつを選択し「許容性」
「健康」に○印を入れること。また,「否」とした主な理由がそれ以外であった場合には 「その他」を選択し具体的内容を記入すること。
・人に対し,攻撃性の反応を示したものは「否」とする。 ・人及び環境に対する恐怖性反応については,原則,いずれかの項目で「++」の判
定であった場合は,「否」とする。 ・健康状態で外観上顕著な異常がみられたものは「否」とする。


【犬の年齢の見分け方】 歯:歯石の量,歯の消耗,欠ける 歯茎:歯肉炎,歯槽膿漏 毛:毛艶,毛並み,白髪(5 歳~) 体格:筋肉の発達,骨格の形成具合 足:歩行,肉球の状態 目:白内障,涙やけの跡や症状

【歯と歯茎から年齢を知る】

~4 か月:永久歯と乳歯が混同する

~6 か月:永久歯が生えそろう

1~2 歳:全体的に白い歯,奥歯にやや濃いくすみあり

3~5 歳:すべての歯に歯石あり,一部の歯茎で炎症あり歯肉炎

5~10 歳:歯石が厚い,歯茎が下がる腫れる歯周炎(歯槽膿漏),強い口臭

10 歳~:歯が削れ欠けた歯あり,抜けそうな歯,歯石も多く,歯肉炎も進行,歯茎を押すと出血 や膿


ギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザギザ

以下、令和元年12月に署名県議会に陳情しましたが、ガイドラインの見直しは実現していません。

命の選別を正当化することがないよう、改めて要望致します。




件名及び要旨


安易な殺処分を助長する「譲渡候補犬の選定に関するガイドライン」の撤廃と.茨城県動物指導センターの管理体制の抜本的な見直しを求める陳情


茨城県は.「犬猫殺処分ゼロをめざす条例」の施行を契機として.行政の取り組みや内外の譲渡団体の協力のもとに殺処分の減少が進み.昨年12月27日からは半年にわたり殺処分ゼロを達成するなど動物愛護行政が推進されてきた。ところが.今年6月11日に突然「譲渡候補犬の選定に関するガイドライン」を策定された。本ガイドラインは,策定の過程も不明、適用の時期も不明確である上,密室で行われる判定で恣意的な運用がされるおそれがあり.県の目指すべき殺処分ゼロの方向性を誤るものであり.ただちに撤廃することを求める.

 本ガイドラインによると.ほとんどの収容犬は譲渡適性がないと判断されてしまう。平成30年度には446頭の殺処分が行われたが.ガイドラインを適用するとそのうちの18頭だけが殺処分とされ.残りの428頭は譲渡適性がなかったという判定により.殺処分数にカウントされることなく葬られることになってしまう。センター収容犬の8割は元飼い犬であり.譲渡不適正と判定し殺すのではなく.どの犬にも.譲渡の可能性.生きるチャンスを与えるぺきである。収容頭数が増えたから.場所がない.人手がないといった理由で.安易に間引きするような殺処分は.条例の趣旨からしても.県民の思いにも反するものだと言わざるを得ない。今こそ.動物愛護管理に関する行政自体の意識改革が必要である。動物指導センターは.収容棟の増築や人員の配置、ポランティアの協力など.生かすための提案.提言が寄せられていながら.旧態依然の管理体制が変わることなく.広い県内でただ1か所の処分施設から脱却しようという姿勢も見受けられない.真の殺処分ゼロをめざして.動物指導センターはできる限り生かし譲渡につなげる施設に転換することを求め.下記4項目を趣旨に賛同する署名簿I.323名を添えて陳情する。


[陳情事項}

1 「譲渡候補大の選定に関するガイドライン」を即刻停止すること。

2 動物指導センターの敷地に犬舎を増設し.過密収容を避け個別管理を徹底すること。

3 県内1箇所ではなく複数個所に保護譲渡機能を地域に分散させること。

4 職員の増員やドッグトレーナーの雇用とボランティアの受け入れを行うこと.


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3年前の陳情のうち、ドッグトレーナーの雇用は叶いました。また、大部屋だった1と2号室は個別房に作り替えられました。しかし、残りは変わっていません。

ガイドラインに基づき、努力なく殺処分を再開するなら、動愛法44条違反となります。


by鶴田真子美(おかめ)