殺処分ゼロは可能です。70頭の保護犬で、工場を占拠した男 | CAPIN(キャピン)公式活動報告

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認定NPO法人「動物愛護を考える茨城県民ネットワーク CAPIN」
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フランコおじさんは捨てられたり彷徨ったりしている野良犬たちを、広い工場跡地に保護しています。

一頃は、100頭いました。
今、70頭に減ったのは、
譲渡がだんだんと進んだからです。


かーなり、広かっぺ?

倉庫の周りには小さな檻やサークルがあって、夜は犬たち、それぞれのハウスに入って寝ているんだそうですよ。


ケンカが起きないのは、フランコおじさんがリーダーだからかしら。



40代になって、保護活動を始めたらしい。
とにかく可愛がる。


倉庫と屋外は出入り自由。
犬も中と外を出たり入ったり。

ストレスがない。

繋がれていないことは、素晴らしい。
自由がある。

それが、自然。


倉庫の外も広いのですが、周囲に柵やフェンスが巡らせてあります。

もとは設備屋さんだったから、溶接や大工仕事はフランコおじさんがチャチャッとやってしまうのです。


お世話に通うのはフランコおじさんのほか、この日は女性二人。

少ない人数でお世話ができるのは魔法のようです。

犬たちも、フランコおじさんを手伝っているみたい、

犬が人に協力するんです。
信頼関係があるのです。

古くから居る犬が新入りに教えるみたい。

羨ましいような、保護犬天国でしょう。

思い切り尊敬してしまいます。


犬たちみんな満ち足りてるよう。

顔からもからだからも、 ハッピーオーラが出ています。


わらわら犬だらけ。みな、フレンドリー。

近くのしっかり管理された市営シェルターよりも、こっちがずっと、幸せそう。



犬同士がケンカしないのが、不思議。

フランコおじさん、60代。
長生きしてね。


この倉庫は郊外にあって、実は倒産した会社の持ち物でした。

一時期、ここには麻薬やハシシをやる若者たちが陣取って、犯罪の温床になっていたそうです。

フランコさんはそうした不良たちを追い出して、保護犬をボンボン入れていきました。

捨てられた犬、虐待された犬などを。

だから、街の人からも行政からも感謝されたのです。

不法占拠で訴えられて、裁判がまだ終わっていないとのこと。

でも裁判官がフランコおじさんの味方をしていて、そのまま使ってよいことになった、とか、噂を聞きました。


おなかには、避妊済みの印である、STERの刺青。

おおらかな、笑い溢れるイタリア。

イタリアはずっと犬猫殺処分ゼロ。
 
野犬や乳飲み子やシニアやハンディキャップのある子を殺処分することは違法です。
 
生かしていることがかえって苦痛となるような、病末期の犬猫の安楽死のほかは、殺処分は、認められていません。
 
基礎自治体、つまり市区町村コムーネごとに、公的なシェルターがあります。
 
運営資金は国、州からも予算がついています。
 
土地と建物は市が提供。
 
トレーナーさんや獣医師や有償スタッフも市が雇用。
 
市が出来ない場合は、動物保護の全国組織、ENPAがスタッフ数名を送り込みます。
 
自立した自治体では、ENPAでなく、独自の保護団体が自主運営しています。ボローニャなど。
 
シェルターで大切なものは人手です。行政による雇用により、しっかりとマンパワーが確保されています。そこにボランティアさんが入りますので、飼養体制もしっかりとし、お世話の質も、安定しています。
 
 
常にボランティア募集。
志願者は、決まった曜日に講習を受け、試験に合格すると、8000円くらい支払ってパスカードを受け取ります。その費用には保険も含まれます。咬傷事故や脱走に対応できるよう、保険加入は義務づけられています。
 
皆さんイキイキと世話をされています。数十年も通っている人も。動物から元気をもらっているそうです。
 
必ず、避妊去勢。
定期的な、ワクチン、ノミダニ駆除。
 
譲渡費用はゼロか、3000円くらいまで。
 
民間に丸投げでなく、行政がきちんと予算さえ付ければ、殺処分ゼロは可能だし、雇用の創出になります。
 
ウン億円かかる道路一本を来年度に回せば、シェルターに予算をつけるのも簡単なことです。
 
この動物保護分野で働きたいと考える若者は、少なくないのです。
周辺にショップやカフェやドッグランを併設すれば、地域経済も活性化します。
 
殺処分ゼロは、具体的に、達成できるのです。


by 鶴田おかめ