みんさんの意見書をぜひお読み下さい。
12月5日、私たちは、この文書で、環境省に申し入れをしました。
栃木犬殺害遺棄事件に動物愛護法の欠陥を見た
考察 栃木の犬殺害遺棄事件について、 動物愛護法を検証する 川井 満 2014.11.26
栃木県鬼怒川河川敷及び那珂川町山中で合計70匹余の犬遺棄事件がありました。殺して捨てた男性の記事が12月の新聞などで報道されました。
記事にはブリーダー廃業予定者から犬を引き取りトラックで移動中犬が死んでしまい捨てた、とありました。これは「動物の愛護及び管理に関する法律」違反です。しかし、法律違反だけで済ませられるのでしょうか。
今回、犬遺棄事件から、改めて法律の検証をしてみました
「動物の愛護及び管理に関する法律」(以下、動物愛護法という)には動物愛護の基本原則が次のように定められています。
(基本原則) 第二条 動物が命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない。
そしてこの事件に関わる「犬猫等販売」の条項がこの後に書かれています。
● 「生産、販売、廃棄」の循環の大原則
一方私たち身の回りにある「物」には「生産、販売、廃棄」の循環があります。社会の中にいる私たちはこの循環の中で生きています。
● 動物愛護法における「犬猫等販売(繁殖を含む)」に付加された愛護
犬猫等販売業者は法律で動物愛護としての義務が示されています。条文は以下です。
(犬猫等健康安全計画の遵守) 第二十二条の二 犬猫等販売業者は、犬猫等健康安全計画の定めるところに従い、その業務を行わなければならない。 (獣医師等との連携の確保) 第二十二条の三 犬猫等販売業者は、その飼養又は保管をする犬猫等の健康及び安全を確保するため、獣医師等との適切な連携の確保を図らなければならない。 (終生飼養の確保) 第二十二条の四 犬猫等販売業者は、やむを得ない場合を除き、販売の用に供することが困難となつた犬猫等についても、引き続き、当該犬猫等の終生飼養の確保を図らなければならない。
● 「生産、販売、廃棄」の原則は、動物愛護法では?
「動物愛護法」は、取り扱う犬猫に対し(犬猫等健康安全計画)、(獣医師等との連携の確保)、(終生飼養の確保)を挙げて犬猫の愛護を明確にしています。
● 動物愛護法では「販売」しか見せていない、「(繁殖)生産」は隠されている
ここで注意しなければならないのは動物愛護法には犬猫等販売業者はあるが犬猫繁殖業者はありません。これは法律の構成を犬猫等販売業に犬猫繁殖を含めた形で構成したからだと思われます。(注1)
「生産、販売、廃棄」の原則からすると「販売」しかなく、販売目的の繁殖は目に見えず、裏に隠すためなのか?「生産、販売、廃棄」の原則からは異常な取り扱いになっています。
(注1) 第一種動物取扱業とは、有償・無償の別を問わず反復・継続して事業者の営利を目的として動物の取扱いを行う、社会通念上「業」として認められる行為7種のことをいいます。
種別業の内容 該当する業者の例
販売動物の小売及び卸売り並びにそれらを目的とした繁殖又は輸出入を行う業( その取次ぎ又は代理を含む ) 小売業者、卸売業者、販売目的の繁殖又は輸入を行う業者、露天等における販売のための動物の飼養業者、飼養施設を持たないインターネット等による通信販売業者
● 動物愛護法には、「廃棄」(注2)が無い
「犬猫の(繁殖)生産、犬猫等販売」は本来「犬猫の(繁殖)生産、犬猫等販売、廃棄」と考え、この一連の流れの中で夫々を明確にさせておかなければならなりません。
本来、廃棄は物の流れの原則で、必然であり、考えなければならないことです。物の流れの原則からすれば、「犬猫の生産、犬猫等販売」には「廃棄」を伴います。しかし、動物愛護法には廃棄はありません。結局、動物愛護法では「販売」しかなく、「(繁殖)生産」は隠し、「廃棄」を無いものとしました。
注2今ここで犬猫終末後の扱いを「廃棄」と記しました。しかし、これは適切な言葉使いではありません。今ここで適切な言葉がないためにこのような不適切な言葉を使いました。
● 犬猫等販売業は動物愛護法で愛護ができるのか?
犬猫等販売業は、生産、販売、廃棄の流れの原則の中で「廃棄」にも愛護の精神を付加しなければならないはずです。そこで、第二十二条の三「犬猫等の健康及び安全を確保するため、獣医師等との適切な連携の確保」があり、第二十二条の四 当該犬猫等の終生飼養の確保を図らなければならない、 があります。動物愛護を形式的に調えました。
ここに(終生飼養の確保)とあるが経済原則からはとてもできるとは思えません。
犬猫を生産、販売する業者が第二十二条の四 にある、当該犬猫等の終生飼養の確保ができないなら、いつでも、どこででも、第二十一条の三(注3)の動物を取り扱うことが困難になると考え、適切な措置を講ずることができるのです。
経済原則が動物愛護と正面衝突しています、そしてこれをそのまま動物愛護法にのせています。
● 犬猫等販売は「生産、販売、廃棄」の循環に逆らえない
犬猫等販売は経済原則に従うとしなければならないでしょう。そして、改めて、動物愛護から見たとき、「廃棄」に愛護ができるのか、も考えなければなりません。
● このままでは動物愛護法は形骸化します
第二十一条の三 第一種動物取扱業者は、第一種動物取扱業を廃止する場合その他の業として動物を取り扱うことが困難になつた場合には、当該動物の譲渡しその他の適切な措置を講ずるよう努めなければならない。(注3)
第二十一条の三の「適切な措置を講ずるよう努めなければならない」
一般経済原則では、良い品物を生産し、販売に励み、不要になった物は廃棄処分等を行います。
しかし第一種動物取扱業者はこれまで(第二十二条の四)終生飼養の確保を求められてきて、業として動物を取り扱うことが困難になつた時に、適切な措置を講ずるとすれば、何ができるのか、犬猫の殺傷しか無いのではないか、そこに行きつくのではないか。
そしてこれは、秘かに「不要になった犬猫の殺傷」へと向かうことになるのではないか?を考えます。まさにこれは栃木の犬殺害遺棄事件そのものです。
ここまできて、これでは動物愛護は成り立ち得ないのでは無いか?に至りました。
販売はその前に生産があり後に物の始末があります。生産と物の始末が合理的に適切に行われなければ販売は成り立ち得ません。
私たち動物ボランティアは動物たちを守るための動物愛護法、その法律を守り育てていかなければならないと考えています。
以上
12月5日、環境大臣に文書を提出した。
栃木県鬼怒川河川敷及び那珂川町山中で合計70匹余の犬遺棄事件がありました。殺して捨てた男性の記事が12月の新聞などで報道されました。
記事にはブリーダー廃業予定者から犬を引き取りトラックで移動中犬が死んでしまい捨てた、とありました。これは「動物の愛護及び管理に関する法律」違反です。しかし、法律違反だけで済ませられるのでしょうか。
今回、犬遺棄事件から、改めて法律の検証をしてみました
「動物の愛護及び管理に関する法律」(以下、動物愛護法という)には動物愛護の基本原則が次のように定められています。
(基本原則) 第二条 動物が命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない。
そしてこの事件に関わる「犬猫等販売」の条項がこの後に書かれています。
● 「生産、販売、廃棄」の循環の大原則
一方私たち身の回りにある「物」には「生産、販売、廃棄」の循環があります。社会の中にいる私たちはこの循環の中で生きています。
● 動物愛護法における「犬猫等販売(繁殖を含む)」に付加された愛護
犬猫等販売業者は法律で動物愛護としての義務が示されています。条文は以下です。
(犬猫等健康安全計画の遵守) 第二十二条の二 犬猫等販売業者は、犬猫等健康安全計画の定めるところに従い、その業務を行わなければならない。 (獣医師等との連携の確保) 第二十二条の三 犬猫等販売業者は、その飼養又は保管をする犬猫等の健康及び安全を確保するため、獣医師等との適切な連携の確保を図らなければならない。 (終生飼養の確保) 第二十二条の四 犬猫等販売業者は、やむを得ない場合を除き、販売の用に供することが困難となつた犬猫等についても、引き続き、当該犬猫等の終生飼養の確保を図らなければならない。
● 「生産、販売、廃棄」の原則は、動物愛護法では?
「動物愛護法」は、取り扱う犬猫に対し(犬猫等健康安全計画)、(獣医師等との連携の確保)、(終生飼養の確保)を挙げて犬猫の愛護を明確にしています。
● 動物愛護法では「販売」しか見せていない、「(繁殖)生産」は隠されている
ここで注意しなければならないのは動物愛護法には犬猫等販売業者はあるが犬猫繁殖業者はありません。これは法律の構成を犬猫等販売業に犬猫繁殖を含めた形で構成したからだと思われます。(注1)
「生産、販売、廃棄」の原則からすると「販売」しかなく、販売目的の繁殖は目に見えず、裏に隠すためなのか?「生産、販売、廃棄」の原則からは異常な取り扱いになっています。
(注1) 第一種動物取扱業とは、有償・無償の別を問わず反復・継続して事業者の営利を目的として動物の取扱いを行う、社会通念上「業」として認められる行為7種のことをいいます。
種別業の内容 該当する業者の例
販売動物の小売及び卸売り並びにそれらを目的とした繁殖又は輸出入を行う業( その取次ぎ又は代理を含む ) 小売業者、卸売業者、販売目的の繁殖又は輸入を行う業者、露天等における販売のための動物の飼養業者、飼養施設を持たないインターネット等による通信販売業者
● 動物愛護法には、「廃棄」(注2)が無い
「犬猫の(繁殖)生産、犬猫等販売」は本来「犬猫の(繁殖)生産、犬猫等販売、廃棄」と考え、この一連の流れの中で夫々を明確にさせておかなければならなりません。
本来、廃棄は物の流れの原則で、必然であり、考えなければならないことです。物の流れの原則からすれば、「犬猫の生産、犬猫等販売」には「廃棄」を伴います。しかし、動物愛護法には廃棄はありません。結局、動物愛護法では「販売」しかなく、「(繁殖)生産」は隠し、「廃棄」を無いものとしました。
注2今ここで犬猫終末後の扱いを「廃棄」と記しました。しかし、これは適切な言葉使いではありません。今ここで適切な言葉がないためにこのような不適切な言葉を使いました。
● 犬猫等販売業は動物愛護法で愛護ができるのか?
犬猫等販売業は、生産、販売、廃棄の流れの原則の中で「廃棄」にも愛護の精神を付加しなければならないはずです。そこで、第二十二条の三「犬猫等の健康及び安全を確保するため、獣医師等との適切な連携の確保」があり、第二十二条の四 当該犬猫等の終生飼養の確保を図らなければならない、 があります。動物愛護を形式的に調えました。
ここに(終生飼養の確保)とあるが経済原則からはとてもできるとは思えません。
犬猫を生産、販売する業者が第二十二条の四 にある、当該犬猫等の終生飼養の確保ができないなら、いつでも、どこででも、第二十一条の三(注3)の動物を取り扱うことが困難になると考え、適切な措置を講ずることができるのです。
経済原則が動物愛護と正面衝突しています、そしてこれをそのまま動物愛護法にのせています。
● 犬猫等販売は「生産、販売、廃棄」の循環に逆らえない
犬猫等販売は経済原則に従うとしなければならないでしょう。そして、改めて、動物愛護から見たとき、「廃棄」に愛護ができるのか、も考えなければなりません。
● このままでは動物愛護法は形骸化します
第二十一条の三 第一種動物取扱業者は、第一種動物取扱業を廃止する場合その他の業として動物を取り扱うことが困難になつた場合には、当該動物の譲渡しその他の適切な措置を講ずるよう努めなければならない。(注3)
第二十一条の三の「適切な措置を講ずるよう努めなければならない」
一般経済原則では、良い品物を生産し、販売に励み、不要になった物は廃棄処分等を行います。
しかし第一種動物取扱業者はこれまで(第二十二条の四)終生飼養の確保を求められてきて、業として動物を取り扱うことが困難になつた時に、適切な措置を講ずるとすれば、何ができるのか、犬猫の殺傷しか無いのではないか、そこに行きつくのではないか。
そしてこれは、秘かに「不要になった犬猫の殺傷」へと向かうことになるのではないか?を考えます。まさにこれは栃木の犬殺害遺棄事件そのものです。
ここまできて、これでは動物愛護は成り立ち得ないのでは無いか?に至りました。
販売はその前に生産があり後に物の始末があります。生産と物の始末が合理的に適切に行われなければ販売は成り立ち得ません。
私たち動物ボランティアは動物たちを守るための動物愛護法、その法律を守り育てていかなければならないと考えています。
以上
12月5日、環境大臣に文書を提出した。
byおかめ