南相馬のねこおばさんこと、吉田美恵子さんと、ニャンダーガードの本多明さん。
やまゆりファーム代表 岡田久子さん。
フリーランスカメラマン太田康介さんと、ANJ副代表・ねこひと会「猫のマリア」さんこと中村光子さん。

太田カメラマンの写真が、音楽と字幕とともにスライドショーで流れました。
震災直後から現地に入り、遺棄された犬猫たちの姿をフィルムに収め、発信し続けて来られた太田康介さん、そして太田さんを含む仲間たちが保護してきた猫 を、成猫だけで300匹以上、都内の里親会で必死に譲渡し続けて来られた「ねこひと会」の猫のマリアさんこと、中村光子さんによるお話。「あそこは生きて いけない場所。命がそこに待っている限り、保護するのは当然のことです。」

パネルディスカッションの風景。
東京都職員・高木優治さん、弁護士・林太郎さん、獣医師・太田快作さん。
被災住民代表・南相馬のねこおばさん吉田美恵子さん、希望の牧場代表の吉沢正巳さん、
高円寺ニャンダラーズの佐藤洋平さん。
犬と猫と人間と2の宍戸大裕監督。
わたしとあなたにできることプロジェクトの長谷川潤さん、リスタの鈴木理絵さん。
ねこかつさん、藤村晃子さん。
RJAV代表の佐藤さん、アニマルフレンズ新潟代表のイザベラさん、ほか被災地で活動される皆さんの声、声、声。
16時開会で19時閉会の予定が、たくさんの皆様のご発言を受けて、19時50分を回っても終了しませんでした。
多くのボランティアさんが、この3年3か月のあいだに胸にためた多くの思いを伝えようと、会場は熱気にあふれていました。
ご来場頂いた先生方、お世話になっております皆様方に、ご挨拶を一言でも頂戴できればと思っておりましたが、時間がゆるさず、ご挨拶頂けないまま閉会を迎えましたこと、お詫び申し上げます。
これが、第一歩です。
これからです。

吉田美恵子さん作成・南相馬でのTNR給餌活動を紹介した写真と文章も展示しました。カラス除け、野生動物除けの工夫がなされた給餌場です。被災地だけでない、どんな場所の地域猫活動にも活かせるヒントが満載です。

大会議室の後方ではパネル展コーナーも設けました:
富岡楢葉でのTNR給餌活動を毎週継続されている写真家・高澤守さんの写真と、「しまじろうに捧ぐ」の著者・猫之介さんの文章、そして、動物ボランティア外交官・ももこひめさんの英訳によるコラボです。

閉会宣言
2011年3月11日に発生した東北太平洋沖地震とそれに伴って発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故は、福島県内を中心とする被災地において、人々のみならず、多くの愛玩動物、産業動物、野生動植物にも甚大な被害を与えました。
本日、被災地で被災動物を救済している皆様や関係者より、多数の現場の実状の報告がされました。現在、震災後約3年半を経過して、なお被災動物が現場に放置されている状況の確認がされました。
動物愛護法は、被災動物の愛護と管理に関する施策を推進するために、環境省は、その基本指針を策定し、これに基づいて都道府県は動物愛護管理推進計画を策 定することとなっていますが、現在の被災動物の保護自体が実行されずにある中で、実効性ある基本指針ができるとは考えられません。
国(環境省)は、年間約1億円の予算を組んで、被災地の動物の保護を業者に委託していますが、毎年落札して委託を受けている一般財団法人自然環境研究センターにおける、被災動物の調査、その費用の使途の問題と、被災動物の保護が充分なされているとは認め難いとの問題の指摘がありました。
環境省及び地方行政は、被災動物の保護のために、飼養者の同行避難、復興住宅での居住の確保、動物救援者の支援、官民のシェルターの確保(動物愛護法付帯 決議に動物保護のためのシェルターが求められています)、所有者への返還と所有者のいなくなった被災動物の里親譲渡への支援をすることが求められます。
そして、現在、現場にいる被災動物のために、早急に、必要な被災動物の保護と救援者への支援がなされることを求めます。
環境省は、そのために早急に被災動物の実態の把握をするための調査員とルールをつくることが求められます。
上記の業務のために、環境省、地方行政は、職員の異動等により動物の救援事業の立案・指導・監督する機能が不十分と考えられ、動物の保護について経験豊富な民間団体、市民ボランティアの意見を聴き、連携をすることが必要であると考えます。
牛、豚、馬などの家畜等の保護は、被災者が飼養出来ないときは一時的にシェルターでの保護が必要で、そこから最終飼養者へ戻されることが保護の基本と考えられますが、保護は極めて不完全で、無惨な最期の紹介がされました。
また、救済を困難にしている最大の原因は、放射能被害によるもので動物の保護に要する労力と費用は大きな負担となっていますが、その発生原因者の東京電力ないし政府がその責任を負うべきものと考えられます。
緊急災害時動物救援本部は、被災動物の救済のための義捐金を集めて動物保護の支援をしましたが、時期的に遅れた支援、義捐金を投資信託に回したこと、約1億8000万円の義捐金を手元に残したまま支 援を終了しようとした問題、現場の救援者が円滑に支援金を受けられるための手続が用意されていなかったこと、その使途が動物のためというよりも事業者の事 業のために使われるなど使途に問題があったことが指摘されてきました。救援本部は、平成26年3月に「東日本大震災被災ペット救護基金の管理及び執行要 綱」を発表しましたが、同要綱においては、「被災ペット」とは犬・猫等の家庭動物で、牛、豚などの家畜等が排除され、また、被災者が飼養する動物と被災に より被災者から逸走・放浪している犬・猫等に限定され、被災者の飼育しない、いわゆる野良犬・野良猫等を対象外としていることの問題が指摘されました。こ れは、寄付者の意思に反し、「牛や豚等の産業動物も生存の機会を与えることを求める」動物愛護法付帯決議10項の趣旨にも反するものと言えます。
救援本部は、早急に、寄付者の意思に沿った、「被災ペット」に限定しない、被災動物の保護をするために寄付金が使われる措置をとることを求めます。
上記を踏まえて、私たちは被災動物の保護について、以下の動物愛護法の改正を求めます。
① 行政は、被災動物の実態の調査と保護をすること。
② 行政は、動物の保護について、民間団体、市民ボランティアと連携共同して、動物の保護、施設の設営、飼主への返還、里親譲渡などの適切な処置をとること。
また、上記の法改正の趣旨を前提として、基本指針が定められること、これに基づいて、動物愛護管理推進計画の策定(法5条)と運用をすることを求めます。
また、被災動物には、産業動物、実験動物、学校飼育動物がおり、農林水産省、厚生労働省、文部科学省との連携をはかり、これらの被災動物の保護のためのシステムの構築とこれに必要な法改正を求めます。
併せて、災害が発生した場合には、動物愛護法及び災害対策基本法等で、都道府県と市町村が分掌して定める規定があるところ、動物の保護救援に関する法律上ないし運用において、その整合性を整えることが求められます。
数年に1度は災害が発生し被災動物が発生する状況において、原発事故を伴うことも当然視野に入れ、原子力災害対策特別措置法に、原因者と国は動物保護の責任を負う旨の法改正を求めます。
私達は、現在の現場の被災動物の保護の取り組みを早急にはかること、そして、実効性のある被災動物の保護と運用をはかる法改正を求めます。
2014年6月17日
主催:THEペット法塾、共催団体:全国動物ネットワーク