しょっちゅう電話がかかってきます。
「犬ひきとってくれるか?」
「猫が捨てられたんだけどシェルターに預けられますか?」
「どこどこで捨てられています。助けてあげて」
メールやFAXも届きます。
一般の方たちも苦しんでいます。
助けて!といったら、助けてくれる組織や仕組みがこの国にはないからです。
こちらが断ると返ってくる言葉が、
「だったらセンターに連れて行くわ」
「だったら殺すしかあんめえな」。
脅しのような言葉を前に、私たちは選択を迫られます。
国も自治体も警察も責任をもたない、野良犬や捨て猫の命。
飼い主が現れなければ数日後に保健所やセンターで処分。
これが行政の解決法です。
(処分というのは、殺すことだけでなく譲渡もある、とされますが、)圧倒的多数は殺処分されます。
私たちのような民間が保護譲渡しなければ、センターに移動し、数日後に殺されるしかありません。
でもね、相談を受けた私たちも、人手、スペース、お金、様々な問題があり、
すべてを引き受けるわけにはいかないのです。
みんな助けてあげたいのはもちろんなのですが、私たちがもしつぶれたら、シェルターにいる
今抱えている犬猫も行き場をなくして処分になってしまうのです。
つまり、センター送りです。
現に、いま収容されている、会の理事会で収容を決定した「会の」保護犬猫、
つまり、つくば市内のあるエリアの地域猫や、
線香花火の河原から来た犬たち、
被災地からの保護猫やシェルター近辺での保護犬猫にさえ、
もしも何かの理由で
シェルターをたたまねばならなくなったら、
そのときに責任をシェアしてくれる人がいるかどうか、
1匹ずつ緊急保護をしてもらえる家があるかどうか、
それさえわかりません。
代表が死んだらみなセンター処分。
これが、一般的なシェルターの現実です。
ここは命を扱う場所なので、毎日のお世話は必要です。
待っている子らに、ごはんを食べさせ、散歩をさせ、清掃し、遊んでやらねばなりません。
犬猫は世話を待っているのです。
介護や子育て、仕事を抱えながらも、体調不良で寝ていたいときでも、
何とか住み込みで、あるいは通って、みんなで運営してきたシェルターです。
でもどうしても、ぽろりぽろりと人が欠けていきます。
続けていくことは何事も大変ですが、シェルターというものは継続していくことが前提です。
そこには命があるからです。
私たちが扱っているのが生き物であり命であるという事実。
ただの物を扱う事業とは異なる重さを伴い、私たちの前に立ちはだかります。
それでも、シェルターは助けるためにはどうしても必要な場所で、
私たちの情報交換の基地ともなり、なくせません。
私たちも、苦労をしながらも、シェルターを続ける意思でいます。
肉体労働もきついですが、それより、自分たちの選択が当該の犬猫の生死に直接関わるという場面が多く、
精神的にも重い活動です。
生身のからだで、この命に向き合う活動を行っている、そのシェルターに、哀しいかな、
丸投げをしてくる人々がいます。
「シェルターがあるのだから、引き取るべきだ」
「通報すれば、助けてくれる」
「お金は潤沢にあるはず」
「寄付金をもらっているのだから、会員ではない、個人ボランティアたちにも還元すべき、
彼らの保護した医療費を会で出すべきだ」
そうして、自治体や警察だけでなく、一般人だけでなく、
周囲の自称ボランティアさんたちに、持ち込まれて丸投げされてしまいます。
ボランティアには仁義というものがあります。
犬猫を助けたくて、保護をしたものの困り、だれかに預けて世話をまかせたまま、
医療費も払わず預けっぱなしをするトラブルが多いのです。
ボラどうしでの丸投げはしない、
保護した人がその動物の譲渡まで責任をもつ、
預けた人は、かかる医療費の支払や里親会への参加をし、お届けまでを引き受ける、というものです。
一般の方、行政から、いつも丸投げされているので、
せめて苦労をわかりあえるボラ同士では、そのようなことがないように、との暗黙の取り決め。
それでも、丸投げや押しつけはあるのです。
ケージの寄付をするからと住所を聞き出してきたボランティアさんに、
キャリーに入った猫2匹を捨てられたこともあります。
(監視カメラでその人であることがわかりました。)
この活動をしていると、ほんとうにいろんなことがあるんです。
くどくど申し上げてすみません。
つまり、公的シェルターを必要とする時期が到来していることを訴えたいのです。
犬猫を助けてあげてほしい、という思いはみんなにある。
センターも自治体も警察も一般人も、殺したくない。(殺処分数が多いのは行政としても不名誉である。)
でも保護場所がない。
譲渡方法がわからない。
医療費が高すぎる。
だから、ツールやノウハウを持った保護団体に連れて行けば無料で助けてくれるようであってほしいと
みんなが思っている。
そして私たちのように、犬猫を持ち込まれる保護団体も、
行政からの支援もなく、バザーやご寄付のほかは、自腹で活動するしかない現状を変えてほしいと思っている、
せめてシェルターの家賃とワクチン接種・避妊手術くらいは税金でまかなってもよいのではないか。
公益性の高い活動であり、多くの人が殺したくないから何とかしてくれと当会にすがりついてくるのだから。
たとえば、古河からの相談で、緊急保護をすることになったケースがあります。
これも、結局は、丸投げされることとなりました。
通報を受けて、もふなさんに下見をお願いしました。
もふなさんは、この子を助けたい、緊急保護が必要ですと判断され連絡をくれました。
保護のあとの治療や飼育など、責任をとる人はいませんでした。
でもその気持ちに呼応して、保護していいよ、あとは何とかするからと言いました。
通報者はお金を出せない、シェルターボラにも来れない、と。
自分の持っている時間やちょっとした力をシェアしてこの子を生かすために動こうとはなさりませんでした。
ただ、助けてあげて、との純粋な気持ちで通報されてきました。
この子を助けるか、放置するか、といったら、助けることのほかの選択はありませんでした。
私たちは、このようにアニマルポリスのようなことまでやるしかありません。
近所の人もなぜ放置を?
センターから指導はなかったのか?
飼い主が放棄したため、病院に搬送して入院・手術。
5年前から散歩にも連れず、ガリガリでからだじゅう腫瘍だらけ。
手術代と検査で10万円以上かかりました。
腹部にも腫瘍があり、体力をとりもどしたらまた手術になるかもしれません。
わんちゃんは20日に退院となり、もふなさんのお宅で預かりをして頂けることになりました。
ジャックという名前をつけてもらって、療養中です。
5年ぶりのお散歩を堪能しているそうです。
保護のあとが、長いのです。
保護あとが、あらゆる意味でたいへんなのです。
簡単に飼うから、簡単に産ませるから、このような苦労を動物も強いられています。
不良飼い主をなくさなければなりません。
水を与えずケージに入れっぱなしで散歩に連れて行かない、そんな
飼い主が、あたりまえの、いばらぎ。
殺処分最多県としてワースト8年目です。
この県で、生きていかねばならない犬と猫の苦しみ。
丸投げされる私たちボランティアの苦しみ。
犬猫は言葉にできません。
私は言葉にできます。
だから、このような重い内容を、朝から、ゆるしてください。
byおかめ