「マッサージして」
お風呂上がり、濡れた髪のままベッドに転がって、私に向かって手を伸ばす。
ベッドの端に腰をかけ、彼の手を取る。
暫く私の手の動きを見つめていた彼が、やがて目を閉じる。
時折傷むのか眉根を蹙める。
そのうち、反応が鈍くなり、かすかな寝息が聞こえだす。
手を放し、タオルケットをそっとかけ直す。
額にかかった髪をそっと払う。
気付かずに眠り続ける、彼。
疲れの陰はあるけれど、安心しきった様子に胸が締め付けられる。
「……ここが一番落ち着く」
以前、彼が多分何気なく口にした言葉が耳に甦る。
それは他の誰よりも私を信頼する言葉。
彼が安心して穏やかに眠れる場所で、私はありたい。