食品安全委員会は、昨日、豆腐の規格基準改正に係る食品健康影響評価(リスク評価)を完了し、厚生労働省に対し「無菌充填豆腐について、現行の冷蔵保存から常温保存に変更してもリスクに差があるとは考えられない」との答申を行いました。今回は、この評価内容の概要をお伝えします。

 無菌充填豆腐とは、豆腐の原料である豆乳を連続流動式の加熱殺菌器で殺菌した後、殺菌・除菌した凝固剤を添加し、無菌的に充填を行った長期保存が可能な豆腐です。現在、国内では、現行基準に基づき、冷蔵で流通しています。その一方で、無菌充填豆腐は、常温保存可能な食品として、欧州等諸外国への輸出及び米国での現地生産が行われ、常温で流通しており、どちらについても、健康被害の報告は確認されていません。

 厚生労働省からの評価依頼内容は、原料の豆乳に関して、レトルト食品と同じ殺菌条件(120℃・4分間加熱と同等以上)を設ける等の厚生労働省が示す条件で製造された無菌充填豆腐を現行の冷蔵保存から常温保存に変更した場合のリスクの比較をすることです。

 

 食品安全委員会は、平成29年4月、厚生労働省から食品健康影響評価の依頼を受け、リスク評価を実施し、今般、上述の結論を得たところです。

 なお、評価結果に、無菌充填豆腐には以下の事項が必要であることを付記しています。

1.大豆の浸漬工程については、耐熱性が高い毒素を産生する細菌を、毒素産生に必要とされる菌数まで増殖させないよう適切に管理すること。

2.120℃で4分間の加熱又はこれと同等以上の殺菌条件を確保するための工程管理にはモニタリングが必要であり、管理措置が適切に講じられていないときには、速やかに改善措置を実施すること。

3.容器包装は、種々の物理的影響に耐え、破損等による微生物の汚染を防止できるものであること。

4.冷蔵保存が必要な豆腐及び常温保存可能な豆腐には、それぞれ、冷蔵が必要である旨及び常温保存ができる旨を、消費者等が明確にわかるように表示すること。

 

 今後、答申を踏まえ、厚生労働省においてパブリックコメント及び薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会での審議を経て、豆腐の規格基準の改正がなされるとのことです。

 

(参考)

・食品安全委員会 豆腐の規格基準改正に係る食品健康影響評価

http://www.fsc.go.jp/fsciis/evaluationDocument/show/Kya20170412010

 

・厚生労働省 豆腐の規格基準の改正について

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000062019_3.pdf