はるはなのみの かぜのさむさや 〜春と恋〜 | 江古田・桜台の音楽教室! 歌いながら楽しくドレミをマスター♪声楽、ビジネス、普段の話し声にも。声に魅力をつけるボイスレッスン♪

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こんにちは、カンテウムの矢舗です。

 

 

ドイツもここ数日はかなり暖かくなってきましたが、まだ油断は禁物、急に冬に逆戻り・・ という日も4月一杯は続きます。

 

 

「早春賦」の歌詞にふさわしい時期ももうしばらく続くと言えるでしょう。

 

 

今日はそんな「早春賦」について。

 

 

 

歌詞はご存知の方も多いかと思います。

 

早春賦

 

古丸一昌(よしまる かずまさ)

 

春は名のみの 風の寒さや
谷の鶯 歌は思えど
時にあらずと 声も立てず
時にあらずと 声も立てず

氷解け去り 葦は角ぐむ
さては時ぞと 思うあやにく
今日も昨日も 雪の空
今日も昨日も 雪の空

春と聞かねば 知らでありしを
聞けば急かるる 胸の思いを
いかにせよとの この頃か
いかにせよとの この頃か

 

 

 

歌い出しの「春は名のみの」は「春とは名ばかりの」という意味。

 

 

音大時代、歌曲の授業でこの歌い出しを、

 

 

「春、花の実の・・・」

 

 

と歌った同級生が、先生から大笑いされていましたが、密かに肝を冷やしていた学生も多かったかもしれません。かく言う私も恥ずかしながらその一人でした。

 

 

普段、歌詞が全てひらがなで記されている「楽譜」しか相手にしない学生の陥りがちな罠でしょうか。

 

 

またそれと同時に、我々と古語との隔たりはかくも深いものになってしまったということかもしれません。

 

 

 

 

 

うぐいすは「春告鳥(はるつげどり)」というあだ名があるほど、春の到来と深い繋がりを持っています。

 

 

暦の上では春になったにもかかわらず、吹きすさぶ風の寒さ。

 

「さあ春の歌を・・」と思ううぐいすも、思い留まってしまいます。

 

 

 

 

次の連では少し日が経ち、氷も解け、葦もようやく芽吹いてきました。

 

「さては」と意気込んだものの、

 

「今日も昨日も雪の空」

 

まだ時では無いようです。

 

 

 

 

3連目。この胸の焦りは、

 

「春だと聞いてしまったばっかりに」

 

かえって大きく感じられるのだと嘆きます。

 

この空模様では、この気持ちをどのように晴らせばいいのでしょうか。

 

 

 

・・・ここまでくると、言葉に込められたもう一つの思いが読み取られてきます。

 

 

「相手のことを知ってしまったがために」苦しい。

 

 

凛々とした情景のなかに微かに恋心を重ね合わせているのです。