司法書士受験界の有名講師である竹下貴浩氏 が行った無料ガイダンスの動画 をご紹介いたします。

勉強法というよりは、資格取得に関する考え方に多くの時間を割いています。

かなり辛辣な語り口ではありますが、「平均値でものを考えるな」との考え方は、資格取得だけでなく、ビジネス全般について言えることではないでしょうか。

今回は、前回解説した「被保険者番号」の欄の隣にある「取得区分」についてお話しします。

まずは、裏面の「注意」をご覧ください。

candyflip's warehouse-取得届(裏面)

5番目の項目に、記載方法が書いてあります。

1)今回が初めての就職先である場合
2)今の職場における労働条件の見直しによって、雇用保険加入の要件 を満たすことになった場合
3)過去働いていた職場では、条件面 で雇用保険に加入出来なかったが、新しい仕事先でそれを満たす労働契約を結んで採用になった場合

上記の場合は、被保険者番号を新規に取得することになるので、「1」になります。

既に被保険者番号を持っている場合は、それを引き続き使うことになりますので、「2」になります。

但し、過去に取得した番号を離職後7年以上使っていない場合は、「テープ落ち」といって、ハローワークのデータベースに死蔵され、そのままでは使えない状態になってしまいますので、この場合は新規に番号を取得することになり、「1」となります。


ところで、中途採用された方の中には、以前の勤め先を履歴書に書いていないことが結構あります。

その主な理由として

1)前職の辞め方に問題があって、それを今度の就職先に知られるのは避けたい
2)基本手当(いわゆる失業保険)をもらっている最中だから、就職の事実をハローワークに隠しておけば、そのまま給料との二重取りができるかも

というものがありますが、1)については、個人情報保護の観点から、前職調査をすることはありません。その企業の人事担当者が、書類選考と面接での評価だけで採用の可否を決めています。

2)については、ハローワークの職員の方によると、、被保険者番号を調べる際に、「氏名」「生年月日」「性別」で検索すると、日本全国の同姓同名の被保険者と被保険者だった方の番号がリストアップされます。その中で基本手当を受給中の人がいると、「要調査」の警告が出て、資格取得の手続きが一旦ストップします。
窓口にいる担当者にヒヤリングして、問題なければ警告を解除して手続を完了させますが、不明な点がある場合は、手続を中止して、担当者から本人に詳しく確認してもらうか、「就業証明書」を渡して所定事項を記載後に給付課宛に返送するよう依頼するか、の対応をするとのことです。

2)は、結局のところ給付課に通報されるので、そうなった場合は「不正受給 」として、いわゆる「三倍返し」の対象となります。

ですから、履歴書の記載はきちんとしてもらった方が、使用者側から変な不信感を持たれることもありませんし、余計な調査にかかる時間が短縮されて窓口の混雑も解消出来、届ける者としても助かります。

また、2)に関しては、就職した事実を就職日の前日に給付の窓口で申告すべきことを、説明会で言われているはずですので、ぜひ遵守して下さい。基本手当はストップしますが、就労条件と支給残日数に応じて、再就職手当または就業手当、常用就職支度手当 が支給されます。

採用した従業員が雇用保険の加入資格 を満たしている場合に届け出るのが、「雇用保険被保険者資格取得届」です(下の画像)。

candyflip's warehouse-雇用保険被保険者資格取得届

画像が見づらいという方は、ハローワークに原紙がありますので、直接もらってきて下さい。
一般の方が訪れる「給付課」ではなく、事業主や総務担当の方、そして社労士や労働保険事務組合の受付窓口である「適用課」というところに行けば、置いてあります。


さて、左上を見ると、「被保険者番号」という項目があって、11コの数字を入れるマス目があります。

ここに、前職で雇用保険に加入した時にもらった「雇用保険被保険者証」に記載してある番号が入ります。
今回の職場で初めて被保険者になるという方は、ハローワークで入力時に新しい番号を割り振られることになります。

もし、従業員の方が総務担当に被保険者番号を申告していない場合は、「名前」「生年月日」「性別」「職歴」を手掛かりとして、ハローワークの職員の方が端末でその番号を割り出すことが出来ます。


ここで注意しなければならない点がいくつかあります。


職歴を見る資料としての履歴書・労働者名簿について

1)全ての職歴を書いていない。特に直近のもの。
2)派遣元ではなく、派遣先の企業・店名を書いている。
3)運営母体ではなく、店舗名を書いている。例えば「ファーストリテイリング」ではなく「ユニクロ」等。
4)経験した職種だけで、勤め先の企業名を全く書いていない。
5)被保険者番号の登録が旧姓のままになっていて、それを就職先に告げていない。

こうした書き方になっている時は、番号が検索出来ないので、新規に番号を振られることがあります。

そうすると、前職の被保険者期間を今回の職場におけるものと繋げることが出来ません。

前の職場での離職に関して雇用保険の給付を受けていなければ、それと今回の職場での就職との間隔が一年以内であれば、被保険者期間の通算 が出来るので、今回の職場での被保険者期間が短い時に役立ちます。

そう考えるともったいない話です。

もちろん、ここで見逃しても、求職の申込みの際に申告すれば、番号をくっつけることが出来ますが、本人が言わない限り、スルーされてしまいます。親切な職員の方であれば、他に番号がないかを調べてくれることがありますが、ただでさえ求職者で混雑している給付の窓口ではそこまで気が回らないかもしれません。

ですから、ここは多少面倒でも、自分の被保険者番号を確認して、就職先に申告しておいた方が、今後の手続きがスムーズに進みます。


自分の番号の確認は、前の職場に聞くのが難しいという方は、住所・居所を管轄するハローワークに申告すれば、被保険者証を再発行してくれますので、免許証や住基カード、国民健康保険証、住民票、印鑑証明書などのいずれかを持参して下さい。


また、自分が雇用保険に加入しているかどうか分からない時もハローワークで調べてくれるので、前述の資料に加えて、会社発行の給与明細書やタイムカード(出勤簿)のコピーなどを併せて用意して下さい。

もし雇用保険の加入資格 を満たしているのに加入していなかった場合、給与明細を確認して、雇用保険料が天引きされていれば、確認出来る一番古い給与明細書の記載年月の時期まで、天引きされていなければ最高2年まで遡って加入出来ます 。手続は事業主を通じて行います。

その際、天引きされていなかった期間の本人負担分 は、次回以降の給与支払い時に引かれることになりますので、まとめて引いてもらうか、分割にするかを事業主と相談して下さい。