子どものための教育学
実践編(☆:著者 T:教師 C:子ども P:親)
18 いいことはやる、悪いことはやらない②
C「先生、B君が叩いてきた。」
T「B君、どうしてC君を叩くんですか。」
B「だって、A君が叩けって言ったもん。」
T「なるほど、A君が言ったとおりにしたと言うことですね。」
B「はい、そうです。」
T「それならば、もしもA君が、『校舎の3階から飛び降りて』、と言ったら飛び降りる
と言うことですね。」
B「それはやりません。」
T「それはおかしいですね。『A君が叩け』って言ったからA君の言うことを聞いたと言
いましたね。だったら、『A君が飛び降りろ』っていたら飛び降りることになります
よね。でもあなたは『それはいやだ』と言いました。つまりやるやらないは、自分
で決めているのです。だからあなたは、C君を叩くという悪いことをしたばかりか、
それをA君のせいにしようとしているのです。『叩く』と『人のせいにする』という
2つも悪いことをしているのです。」
T「Cくん、そこは遊んではいけないところですよ。」
C「だって、A君やB君が遊んでたもん。」
T「そこでは遊んではいけないと知っていたはずですね。先生は何度もその場所では遊
んではいけませんと教えてきました。だから、あなたはそこで遊ぶことは悪いこと」
だと知りながら遊んでしまった。しかも、A君やB君が悪いことをしていることを真
似してしまったことになります。人がやっている悪いことを真似してはいけません
ね。」
T「C君、タブレットでゲームはやってはいけないことになっているでしょう。どうし
てやっているんですか。」
C「A君やB君がやっていたからいいと思いました。」
T「他の子がやっていたら『やってもいいと思う』ことは危険です。みんなが、誰かを
いじめていたら、『自分もいじめます』と言っていることと同じです。それに、自分
からゴミを拾ったり、トイレのスリッパをそろえたりしている子がいますが、あな
たはそういうことは真似しませんね。他の子がやっていることを真似するのなら、
他の子がやっている『いいこと』だって真似しなくてはおかしいのではありません
か。つまり、自分がやりたくてやっているだけなのに、他の人のせいにしようとし
ているのです。」
T「みなさん、『いいことをやる。悪いことをやらない。』『いいことを真似する。悪いことを真似しない。』これを忘れないでください。」
☆教育現場では、悪いことをしたという事実に対して、叱ったり注意したりします。
しかし、そこには『悪いことを真似する』という、もっと悪いことが隠れています。
悪いことをしてしまったことは良くないことです。でもそれをやめればそれで終わります。
ところが、悪いことを真似するということは、これからも形を変えて続いてしまいます。
そして、子どもはそのことを自覚していないことがほとんどであると考えます。
これは大人でも同じです。
自分と同じ悪いことをしている人が他にもいるのに自分だけが責められると『なんで自分だけ』と思います。
子どももほぼ同じでしょう。
しかし、これから生きていく中で、『悪いことは真似しないぞ』と意識できるかどうかで、人生が大きく変わります。
いじめ問題で、「みんながやっていたから」「そんなつもりじゃなかった」そう思っている子どもが多くいます。たった1回の悪口でも、100人から言われれば、いじめられていく子どもは、100回言われたことになります。
『悪いことは真似しない』と意識が持てるだけで、みんながやっているからは減らせるのではないでしょうか。