子どものための教育学
実践編(☆:著者 T:教師 C:子ども)
8 悪い子だよ
C「先生、A君ね悪い子なんだよ。」
T「どうして、そう思うの?」
C「だって、去年、先生に叱られてばかりいたんだよ。だから悪い子なんだ。」
T「何かひどいことされたの?」
C「ううん、私は何もされていないよ。」
T「じゃあ、悪くないじゃない。」
C「だってみんな悪い子だって言っているもん。宿題だっていっつもやってきてない
し、机の中だってくちゃくちゃなんだよ。」
T「いいところはないの?」
C「ないよ。」
T「おかしいな。この前は低学年の子を助けていたし、トイレ掃除も嫌がらずにきれ
いにやっていたよ。」
C「わたしみてないからわからない。」
☆これは典型的な、教師によって生み出された悪い子どもの例です。
子どもたちは、よい子悪い子をどこで見分けるかというと、先生に叱られる回数です。
よく叱られる子は「悪い子」、よく誉められる子は「いい子」。
一番の原因は、教師が自分の都合よくしていこうという意識が強いことです。
教師として、どんなクラスにしたいとか、どんな授業をやりたいとか、どんな子どもたちにしたいとちゃんと考えています。
この「ちゃんと」が問題なのです。
この「ちゃんと」の枠組みに入らない子どもが、叱られる対象となっていきます。
でも、多くの子どもの場合「ちゃんと」するためにはどうしたらいいかが解りません。そして、できていないときだけ叱られます。でもどうすればできるのかは教えてもらえません。「これからどうするんですか」「ちゃんとやります」これで終わりです。
この子はいつまでも繰り返すことになります。
こういう子どものことを「問題児」などと呼ぶことがありますが、正しくは「問題提出児」だと思います。
「先生は子どもを育てることが仕事でしょう。僕にはこういう問題があるんです。どうやって直せばいいんですか。直してください先生の教育で。先生が僕たちに漢字のテストを出すように、僕は先生に、僕の問題行動を直すという問題を先生に出しているんです。」
そんなふうに見えます。まあ、たいていの先生は、理由をつけたりして「無理」と言いますけれど。「無理」と言った時点で先生の答案用紙は0点ということになりますね。
悪い子は作るけど、問題は解決できない。これが現在の教育現場の矛盾ですね。
それではどうすればいいのかといいますと、少しくらい悪いところは大目に見ながら、その子どものイメージアップを図ることです。
人に迷惑をかけないことについては、緩くするのです。このさじ加減が難しいのですが。そうして1年かけて、普通にできるようにしていくことです。まさに忍耐勝負ですね。