No.1「不安を糧に、行動を起こす」挑戦内容:フットサル | 挑戦記インタビュープロジェクト

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キャンサーペアレンツ会員たちの挑戦記をご紹介していきます。

名前:花木 裕介さん
年齢:40歳
仕事:医療関連サービス会社勤務(フルタイム勤務)
家族構成:妻、長男(8)、次男(5)
病状:中咽頭がん ステージ4 経過観察中。

罹患時年齢:38歳
概要:2017年12月にがんが発覚し、そこから抗がん剤治療、放射線治療を経て、2018年8月に一旦治療完了。
 

 

◆がん宣告前後◆
Q・がん宣告前後の状況を聞かせてください。

2017年10月に首の腫れが気になって、勤務先付近の耳鼻咽喉科にかかりましたが、結局理由が分からずにもっと大きな総合病院で精密検査をしました。

その結果、12月に中咽頭がん及び頸部リンパ節転移のステージ4を宣告されました。

Q・そのときの心境はいかがでしたか?
「俺の人生もここまでか……」と。がんは治せる病気になってきているとはいえ、いざ自分ごとになると、最初はネガティブな気持ちしか生まれてきませんでした。

 


仕事も休職せざるを得ませんし、幼い子どもたちはどうなるのかと。正直、お先真っ暗ですよね。

周りはクリスマスやら年末ムードで盛り上がっているのに、自分だけ取り残されたような気分でした。

Q・そこからどのように頭を切り替えていったのですか?
何日かふさぎ込んでいたものの、そのまま何もしなければ何も始まりません。

とにかく今できるベストのことをやろう、と治療機関や治療方法を探し、結果、ステージ4ながら治療をやりきれば回復の見込みがあるということが分かってきました。

その後、約9ヶ月の治療・療養を経て、何とか復職させていただくことができたのです。
 


◆挑戦について◆

Q・現在、どんな挑戦をされているのですか?
フットサルです。もともと小学校の頃からサッカーをやっていて、30過ぎまでボールを蹴っていたのですが、子どもが生まれたのを機に、プレー機会は激減。

でも、病気になってみて、やはりサッカーは楽しかったなと思い直し、形は違えど、フットサルなら少しの空き時間でもやれることから、チャレンジしようと考えました。

 

Q・なぜその挑戦を始めようと思ったのですか?
治療に入る前から、「復帰したら新しいチャレンジを始めよう」と漠然と思っていました。

ただ、治療中は、とてもそんなことを考える余裕はなく、日々を凌ぐことで精いっぱい。日常を綴っていたブログには、「復帰したらまたボール蹴りしたいです!」なんて前向きな発言をしていたものの、正直「こんな状態で、本当に再開できるのか。子どもと蹴るくらいが精一杯じゃないか……」と不安に思うこともありました。

 


でも、多くの方のおかげで無事に復職させていただくことができ、改めてそのことに感謝の気持ちを抱いていくにつれ、やりたいことはやれるときにやっておかなくては、と思うようになりました。
 

Q・その挑戦は花木さんにとってどんな意味を持っていますか?
ひとことで言うと、「不安との戦い」でしょうかね。

私の命はいわば「生かされた命」。この先も3ヶ月ごとの経過観察が続きます。「そこでまた別の未来が待っているかもしれない」、そう思うと、悩み続ける時間ってあまりないんですね。

失敗してもいいから日々を悔いなくやらないと、そして、不安を糧にしてでも行動を起こさないと、家族をはじめ助けていただいた方に申し訳ない。

私にとって挑戦とは、がん罹患後の生き方そのものなのかもしれません。

 


◆皆様へメッセージ◆
Q・これから何かに挑戦しようとしている方に、挑戦することの重要性を伝えてください。

この先、辛いことや苦しいことはきっとたくさんあると思います。一方で、命の有り難みや、やれることをやれるときにやっておくことの大切さなど、多くのことを得られる機会でもあると思います。

ひと通り悩んだら、あとはこの病気をポジティブに受け止め、今できることを始められるといいのではと思いますし、それがひいては辛い治療に耐えるモチベーションにもなると思います。

私は治療中から自分のことを「がんチャレンジャー」と呼ぶようにしています。

がんという病気にチャレンジする。
がんに罹患してもなお、自分の可能性にチャレンジする。

そう自分に言い聞かせることで、なんだか力が湧いてくるんですよね。

ぜひがん罹患者の方のうち、一人でも多くの方が「がんチャレンジャー」として新たな挑戦に向かわれることを、心から応援しています。

(了)

 



取材日:2018年12月10日


▼プロジェクトメンバーが発足時に書いてくれました!