先ずは自分が感動して「思い出」を作ろう・・・自ら「体験」しないと、他人には売れない
これからのビジネスは「モノ」売るのではなく、「体験」を売りなさい・・・と言われ始めてから久しいですが、では具体的に何をしたら分からない人も多いのではないでしょうか?
本ブログ管理者も、実はその1人です。
そんな時、やはり頼りになるのは公立図書館・・・地元の市が運営する近所の図書館に、そのままズバリのタイトルが記された本が置いてあったので、今回はコレを読んでみますね♪
(p.15)
若い女性…クリスマスイブの例
カルティエのタンクフランセーズという「モノ」としての時計が欲しかったのではなく、クリスマスイブに、彼と一緒に銀座カルティエ本店に行って、ゴージャスな雰囲気の店内で、女性店員が恭(うやうや)しく接客してくれ、白手袋でケースの中から出してくれたタンクフランセーズを買うという「体験」が欲しかった。
※単に「モノ」を買うだけならドン・キホーテで買った方が7万5千円も安い
(p.26)
景気に関係なく繁盛している会社やお店の共通点
「モノ」や「サービス」を売っているのではなく、その先にある「体験」を発信
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例
・「モノより思い出(日産セレナ)」
・ダイハツタント(車を買ってからの体験をイメージさせるだけを考えたCM戦略)
※どちらも車のスペックよりも、そのモノを買うことによって、どういうステキな生活が手に入るのか、どういう体験が起こるのか、どういう嬉しいことがあるのか?を発信
(p.49)
消費者の86.5%は「店頭で商品を決めている」
・ほとんどのお客様が「店に来てから買う商品を決めている」
・消費者の8割以上が、自分が何が欲しいかわからずにお店に入ってくる
↓
この店に来ることそれ自体が、自分にあった(あるいは憧れの)ライフシーンを疑似的に体験する、心地よい時間を提供する必要がある
(p.65)
観覧車の例
・民営の観覧車=「相席禁止」を保証(いつ行ってもふたりっきりの世界を体験できる)
・公営の観覧車=「相席強制」なので、単に「モノ」を売っているだけだから人気が無い
↓
先ずはビジネスを起こす前に、自分がどういう「体験」したときに、ワクワクしたか、ドキドキしたか、感動したか、思い出してみる必要がある
(p.89)
商品やサービスの先にある、何かを伝える
:
例
・「仕事が休めず、風邪を早く治したい!そんなあなたにオススメ。大正製薬〇〇〇〇」
・「夜景、無料プレゼント」
・「間取りの工夫でとことん住みやすさにこだわった家(外観写真の代わりに家の特長をイラストで分かりやすく伝える)」
・居酒屋の宴会シーンを伝える写真(写真に付けられたキャプションは、本文より2倍読まれる)
・「夜に車でこれを聴くために、オレは車にサブウーハーをつけた」(リー・モーガン「サイドワインダー」)
・「音楽で、これ以上美しいモノを他に知らない」(ビル・エバンス「ワルツ・フォー・デビイ」)
・「ヴォーカルを聴きたくてもし迷っているなら、これを聴きなさい。ボクが保証します」(ジュリー・ロンドン「ベストアルバム」)
↓
その商品がどういう「体験」を提供してくれるのかという視点でPOPを書く
(※POPが楽しい店の事例…ヴィレッジヴァンガードにて)
(p.149)
店の前を通る人たちは、その前にどういう体験をしてきたのか?
来店したお客様が、どういう体験をしてきたのか想像してみる。
(p.180)
人間は「エッジ」=端や際が好き
・レストランでは、屋外と店内が同時に見られる窓際の席から最初に埋まり、次に壁際の店内が良く見える席が埋まり、最後まで人気が無いのが真ん中の席。
・ヨーロッパの街頭のカフェはほとんど道路に面して椅子が並べられている
・海辺のシーフードレストランが世界中どこでも流行っている
※ブラタモリで、よくタモリ(森田一義)が「際が面白い」って言っていますね・・・
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現代人の記憶には、原始時代からの記憶がまだ残っている
(イギリスの地理学者J・アブルトン、オランダの社会学者デルク・デ・ヨンフェ等)
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伊藤ハム元社長による著書「人が集まるテーマパークの秘密」の中の一説
【人間によって「良い景色」とは?…恐怖を取り除いた環境】
・敵に対して自分の存在が発見され難い場所(大きな木陰、隠れ家)
・自分のほうが外敵よりも先に発見できる有利な場所(木の上、丘の上、坂道の上・・・やや見通しの良い場所)
・いざというときに、70~80mの逃走距離が確保され、かつ適当な逃げ場、隠れ家がある場所
※正直、ノラ猫と同じ潜在意識(笑)
(p.182)
レストランの落ち着かない真ん中の席を「良い席」にするためには?
観葉植物やパーテーションを置いて、テーブルの周りに「エッジ効果」をつくる
(p.185)
滞在時間は消費金額に正比例する
高級クラブでトイレに立って用を済ませて席に戻った時に、きれいなホステスのおねえさんが「ハイ!」と言っておしぼりを渡すのも、可能な限り「客の滞留時間を延ばす」という意味合いが込められている。
:
TDLのトイレ(手洗い場)に鏡が無い理由
鏡に自分の顔が映り見えると現実に戻ってしまう(レポートの提出日、嫌な上司等)
(※ファームコート袖ヶ浦■本ブログ内関連記事参照)
(p.189)
迷ったら1950年代デザイン
・アメリカでは「フィフティーズ(’50s)」をテーマにしたレストランやショップはハズレが無い
・日本でも「ALWAYS 3丁目の夕日」がヒット
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店舗デザインや商品開発、グラフィックデザインに困ったら、未来ではなく「過去」に目を向ける
(ノスタルジー普遍の法則)
SNSやネットが普及して、人々の生活や仕事が昔より忙しくなってきている今だからこそ、昭和時代のほのぼのと、のんびりとした生活に懐かしさや安らぎを感じる。
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BGMにもこだわる(40代から50代のオジサン狙いの例)
・吉田拓郎、松山千春、中島みゆき等(1960~1980年代までのフォーク)
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遠くから眺めると、大抵のものはきれいに見える(p.207)
(p.192)
人間は無意識のうちに左側が好き
・左側の方が歩きやすい(87%)
・危険物を回避する際は左側(74.3%)
※テーマパークでは「多くの人が左側を歩く」ということを基本に設計
・大型店の店内は、客の流れを「反時計回り」で設計していることが多い(「右利きの人間が多い」ことを利用した導線計画)
・商品の陳列は「お客様の目線が左から右へ動く」ことを考えて陳列(「Z移動」…目立たせたい商品は、左の上の方に陳列)
(p.198)
人間は、大きなモノよりミニチュアのほうが好き
・鉄道模型やドールハウス、プラモデルは何故未だに人気があるのか?
・北海道のジオラマ博物館はなぜずっと支持されるのか?
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原始時代の記憶?
・原始時代は夕方になると、自分の住んでいる土地を高台から眺め、敵が侵入していないかどうか確かめることで、「安全」を確認し安らぎを感じた
・小さなものの世界で想像力を発揮して夢を見ることは人々を真の安らぎに導き、やがてふくよかな気持ちを与える(フランスの哲学者ガストン・バラシュール)
・普段小さいものが大きくなると、人間は無意識のうちに恐怖心を抱く
(p.203)
不良少年を追い払ったショパンの調べ
・アメリカの24時間営業スーパーマーケット深夜の駐車場における事例
(p.210)
上からは音楽、下からは効果音
・音楽は人間の耳の高さから流すのが最も自然な形
・天井からは通常のBGM音楽、壁際床面からは虫の音やせせらぎ、小鳥の鳴き声の音を流す
(p.214)
必ず女性を口説ける?「錯誤帰属」
・人間は足元が不安定な場所や高いところ、暗闇にいる時には、無意識に恐怖を感じ、脳がその恐怖のため、僅かながら興奮するが、脳はその興奮を「恐怖」とは関連付けないで、その時たまたま近くにいる異性と関連付けてしまうらしい、、、
(高いところやジェットコースターに乗った後で女性を口説くと成功率が高まるといわれる根拠)
↓
店舗デザインへの応用例
・エントランスが暗くてちょっと深いトンネル形状(男性が手を引いてあげやすい契機をつくる)
・トンネルの床には光ファイバーで「天の川」を演出(これからまさに別世界に2人で入っていくという「体験の共有」を起こす)
・席はすべてきれいな夜景がぼんやりと見える位置(ぼんやり=屋外の樹木などの隙間から夜景を見せる※ハッキリと夜景を見せると失敗)
・お互いの膝がちょっと触れる程度のレイアウト(口説こうと思っている人が左側に座る)
・BGM(ラフマニノフやスクリャービンのような官能的なクラッシク、またはムーディーなスローバラードのモダンジャズ、あるいはブラックコンテンポラリーのちょっとセクシーな曲)
・トイレに行く通路には「媚薬」と言われる種類の匂いを演出
(p.223)
「体験」=モノではなく「コト」
・モノにまつわる物語、人の思い
・素晴らしい生活
・問題解決
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「独自性」(独自の価値)
(p.249)
先ずは自らがたくさん「体験」「感動」することで感性が磨かれる
・良い映画を見る
・素敵なお店に行く
・美味しい料理を食べる
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レストランだけでなく、テーマパークや映画、書物、自然の風景から、他人よりもいろいろなことを「楽しみながら」たくさん体験し、「ここは、この選択で合っているのか?」を突き詰めながら常に考え注意深く観察することで感性は磨かれる可能性がある。
※「勉強」だと思ってやると失敗するので注意