Campinggaz Pocket Konro |  キャンプ用品・資料倉庫からのつぶやき

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   旅が好きです。旅の手段、目的、楽しみなどに関わる諸々に興味を持ってきました。
   ここではキャンプ道具という枠で投稿するつもりですが、脱線話もお許しください。(^^)
仕事部屋、兼倉庫からのつぶやきです。

80年代のストーブの話から最近のストープの話まで行ったり来たりしておりますが、今回はまた80年代のOptimus AS-BP Stoveの話へと戻ります。

 

このモデルのBPはEPIgasのBP(Back Pakker)からきていることは、その姿形から明らかだと思います。

70年代末頃から販売されたこのBP Stoveはいくつかのブランドでオマージュされ競売されました。

その中でCampinnggazのPocket KonroもまたBP型のストーブなのですが、このCampinggazといえば、逆にガスカートリッジの規格をEPIgasがオマージュしたのではないかと私は思っております。ゆえにPocket KonroももしかするとEPIgasより発売が早いのではないかなどと、当時のことがなかなかよくわからないために答えがわからず、ずっと悶々としていました。

 

私個人としてCampinnggaz製品はEPIgasと全く互換が利かないためにほぼ実際のキャンプで使用したことがありません。そのためか実機に対する興味も比較的に薄いのですが、EPIgasやPrimusのガス燃焼器具の日本での歴史を調べていくとCampinggasは70年代まではガス燃焼器具として唯一無二だったことがわかります。

そうなると、俄然興味が沸いてくるものですが、とにかくペーパー資料が乏しいために70年代がどうだったのか、そして70年代末、EPIgas製品の日本上陸によりガス燃焼器具事情がどのようになったのかなどはもやもやと霧の中にありました。

 

しかし、このPocket Konroを調べることで少しこの霧が晴れてきた気がしましたので今回このPocket Konroを記事にしたいと思います。

 

 

どちらも同じPocket Konroですが、左は五徳を小さく展開、右は大きく展開しています。この方式はEPIgasのBP Stoveと同じで、この方式を最初に始めたのはどちらなのかが気になります。

 

右:1983年1月認証 左:1989年10月認証

 

右:Mountain Konro 左:Pocket Konro

Mountain Konroは五徳やバーナーがPocket Konroと同じですがガスカートリッジの仕様が違います。

Mountain Konroの登場は90年代中頃、使用できるガスカートリッジCV-270/470の登場は1992年

 

どちらも日本国内の販売会社はキャンピングガス社です。

 

製造国はもちろんフランス製

 

このPocket Konroの発売は日本では1980年頃で、尚且つ脱着式のカートリッジを使用する初めての機種でした。

それまでは一度穴を開けて装着すると脱着できないカートリッジを使用していました。

世界的にはどうだったのかという点がわからないのですが、EPIgasがすでにBP Stoveを世に出していたので脱着式ではEPIgasが先という通説(※1)に沿うと私は考えます。

脱着式以前の仕様でもEPIgas、Primus、Campinggazの三社がしのぎを削っていたのは明らかですが、こと日本でいえばCampinggazの当時の輸入販売会社、東邦キャンピングガスによるところが大きいとは思いますが雑誌等の露出を見ると、Campinggazが主だったようです。

 

1979~80 ICI石井スポーツのカタログより

この頃Pocket Konro及びCV-250はまだ販売されていません。

 

山と渓谷社 山と渓谷1981年8月号 Campinggazの広告から

この前年よりPocket Konro及びCV-250が販売されました。

 

日本でPocket Konroと同じ80年頃登場のCV-250というカートリッジはメジャーなカートリッジの中では現在もっとも入手が難しいのではないかと思います。

 

左からCV-250、CV-270、CV-450

これらはそれぞれ、同じCampinggazでありながら接続方式が違います。

 

CV-250 販売会社がColemanに変わっています。1996年CampinggazはColeman傘下となりましたのでそれ以降に販売された製品です。

そのColemanも後に買収され、現在もColemanがCampinggazに関わっているとはいえ、経営はColeman、Campinggazそれぞれに独自性が感じられるようになりました。

 

CV-270 1996年Coleman傘下となってCampinggazからCampingazとロゴが変わりました。


CV-450 雄のリンダルバルブを使用しています。トーチ類に使用されるガスカートリッジでストーブやランタンにこのタイプを使用するモデルはありません。

若干の違いはありますが、イワタニのカセットガスやColemanの凸式カートリッジが同じようなバルブ形状です。

 

このCV-250用の燃焼器具を見かける機会は多いのですがカートリッジが入手できないだけではなく、現行のCV-270/470や他社製のOD缶に介して使用するアダプターも存在せず、ガスの詰め替えというほぼ違法行為(※2)でしか使用する方法がないので困ったものです。

逆にそれ以前の仕様のガスカートリッジの方が現在も販売が続いているというのは面白いことで、その燃焼器具も70年代の部材の質が良い燃焼器具は現在でも使ってみたいと思わせます。

 

Campinggaz製品はその長い歴史の中で、日本では4~5種類の接続方法の違いがあるガスカートリッジが販売されました。さらに海外ではブロパン仕様のシリンダーと呼ばれるタイプのボンベも販売が続いています。

OD缶と互換がないため日本市場では00年代以降急速にシェアが低下してしまいましたが、現在でもその魅力は尽きないなぁ・・・・・と思います。

 

※1  小学館Be-pal1990年3月号p.134「アウトドア図鑑 温故知新 no.1コンパクトストストーブ の記事にてEPI BP Stoveの日本登場は1974とあります。蛇足ですが、岩谷産業がPrimusのガスストーブ2255(※3)を日本で最初に紹介したのが1959年、日本ツバメガスライト社がCampinggazの輸入を始めたのが1963年とあります。

 

※2  違法か合法かは判例で決まると思うのですが、現状は黙認(放置)状態です。重大事故が起こった場合に突然取り締まりや罰則が強化されるのがお決まりなので、私は極力アダプターを使って直接、接続する方法を選んでいます。


※3  実際に2255と記載されていましたが、実際のモデルは2055なので間違いだと思います。誤植は当ブログも多いのでコソコソ直していますがお気付きの際にはご指摘頂けたら幸いです。