医師の良し悪しは勘で決まる | 五十路は人生半ばなり

五十路は人生半ばなり

2014年7月に好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(アレルギー性肉芽腫性血管炎、チャーグ・ストラウス症候群)という難病を発症。
退院後4カ月でプレドニンの処方も0mgになり、現在はほぼ健康人と同じ生活。あたふたと再起のための仕事の準備を進めている。

健康過ぎて闘病記にならないなあというのが正直な気持ち。難病になり不安や葛藤や自分自身を元気付けるためにも「何か書きたい」という気持ちは強かったのだが、最近は日常のこと以外病状にこれといった変化はない。筋肉痛と関節痛に足裏と足先の痺れは毎度のことだが、それも生活に困るほどではなく、先日の検査では好酸球値は12%と上がったものの体調は悪くない。好酸球が破壊活動を続けていれば病状は徐々に悪くなっていくはずだが、それも無いことから「壊したり再生したりしているのでは」などと素人なりに考えている。もともと痛風持ちなので好酸球は普通の人より多いのかも知れない。痛風も尿酸結晶を好酸球が攻撃することによって起る病気だから。してみると好酸球って結構バ・・・いや、思慮に欠けたシステムなのかもしれない。

好酸球が思慮に欠けているというよりは、好酸球を使う・・・好酸球に出動命令を出す脳のシステムの方に問題がありそうだ。好酸球はつまりそういうものだから「破壊せよ」と命ぜられれば何も考えずに手当たり次第に破壊する。撤退命令が出るまでは破壊活動を続けるから、何かのトラブルで撤退の命令が出なかったりすれば増殖を続けて正常な細胞まで破壊し尽くしてしまう。核爆弾が悪いのではなくて、核爆弾の発射スイッチを押す人が悪いというのと同じだ。ステロイドの投与は言わば、この核爆弾の発射スイッチを押す役目の人に「核爆弾はもう発射されましたよ」と偽の情報を流すのに似ているかも知れない。それならもう核爆弾を発射する必要はないやとスイッチ係の役人が一服することで、爆撃は一旦中止される。その間に戦地では破壊された建物や橋や道路の復旧作業が行われるのだ。

いや、核爆弾に例えると却って解りにくくなってしまう。やはり好酸球は破壊活動専門の部隊と考え、それに命令を出す脳が本部と考えた方が解りやすい。好酸球増多による疾患はこの本部が錯乱して、ところ構わず破壊部隊を派遣することによって起る。本部がなぜ錯乱するのか、その原因は解らない。ステロイドの投与は錯乱した本部から部隊を動かす権限を取り上げる、国連決議のようなものと考えて良いだろう。混乱した情勢を沈静化するために国連が軍部の執行権限を握ってしまう。それでも国連決議に逆らって破壊活動を続けようとする場合もあるようだが(私は今のところ大丈夫なようだが)、その場合はさらに国連とは別方向からの政治的圧力をかける。

難しいのは、いつまでも国連が軍隊の指揮権を握りっ放しでいるわけにはいかないということだ。自立のためには徐々に手を放して正常な機能が復活するように持っていかなければならない。国連は軍部の権限を掌握しているといっても、実際に軍を動かすことはしないからだ。指揮権を掌握されてしまった本部の内部では、だらけた空気が蔓延し始めるだろうから、先ずこれを引き締めていかなければならない。いきなり「今日からまた君たちが軍隊を動かしなさい」と言われても、ふてくされたり戸惑ったりしてまともに動けないのは目に見えている。だから少しずつ手を引いて、少しずつ任せる方法を行う。その過程で「チャンス!」とばかり反逆を試みる本部もあるだろうから、そのような兆候が見えれば権限を譲り渡していくのは慎重に時間を掛けて行う必要があるだろう。逆に一気に任せてしまった方が良い結果が出ると判断されることもある。その場合は疑いながらちょびちょびと権限を渡していると却って反感を招く恐れがあるから、思い切って大胆に任せてしまう。この辺の裁量が非常に大切なのだ。なにしろ軍と言っても一様ではない。同じことをすれば同じ結果が出るとは限らない。

プレドニンや他の免疫抑制剤の処方については私は、ほとんど医師のカンのようなものなのではないかと考えている。データだけで人の治療はできないから。同じ病気の人に同じ薬を飲ませても、効く人と効かない人がいるのだ。何を信じれば良いというのだろう。そうなると医師の優劣は、勘が良いか悪いかで決まることになる。もちろん勘の裏付けには膨大な知識と経験が不可欠だし、知識や経験が自然と勘を育むとも言えるかも知れない。少なくとも好酸球性多発血管炎性肉芽腫症などという珍しい病気を探り当ててくれた医師なら、勘という部分でも信頼できるかも知れないなと思う。