入院中に厄介だったのが、心臓の動きをナースステーションに無線で送るモニターと呼ばれている器械の存在だ。他の病棟は知らないが私の入院していた病棟では、入院当初は全員がこのモニターを装着することが決まっていた。治療開始後や手術後の容体の急変に備えるためのもののようだが、これが非常に煩わしい。装着自体は小指の先に端子をテープで固定するだけなので簡単だが、そこから4本のケーブルで本体につながれている。本体というのが15cm位の長さのボックスで、わりと重い。胸ポケットにでも入れば手軽なのだが入る大きさではないから、手作りの布袋に本体を入れて首からぶら下げたりする。格好悪いのは良いとしても、これに点滴が加わるわけだからトイレに行くにも不便だ。モニターを付けなくて良くなったのは、入院から2週間ほどのこと。当時の日記には「これで自由度90%!」と喜びがしたためられている。
モニターが外れると本格的にリハビリを始めることになるが、相変わらず血液検査(電解質検査?)で脱水やナトリウム不足などの症状が見られるため、他の病院にも分析を依頼しているとのこと。こういうところは、さすが国立病院という感じだ。リハビリは毎日午後2時から約1時間。主に基礎運動と歩行訓練、階段の上り下りの練習が指導されるが、実際にはこれだけでは筋力の復活は望めないので暇な時間を活用して自主的な運動が必要になる。入院中のメモを見ると「廊下奥まで2往復・ひざ50・腹筋20・爪先曲げ50×2・あと適当にいろいろ」などと書いてある。リハビリの親切なトレーナーさんと筋トレについて話したことがあるが、トレーナーさんからすると筋肉の超回復というのは本来好ましくないということだ。スポーツ選手など一部の特殊な人が通常にはない筋力を身に付けるためには有効かも知れないが、普通の人が普通の筋肉を身に付けるためには害が多過ぎるのだとか。だから休み休み、疲れを残さずに地道に続けることが大切なのだそうだ。実際に私なども頑張り過ぎた翌日は筋肉痛でリハビリができなくなったりしたから(1日休むと覿面に筋力が低下する)トレーナーさんが正しいのだと思う。
体重測定は43.6kg(転院後2週間)。転院した時は51kgだから、順調に(?)減り続けている。今の体重でも私よりずいぶん背が低くて華奢な妻と同じくらいなのに、このまま40kgラインを下回ってしまったらどうしよう・・と少々不安にもなった。失われた筋肉は戻るのだろうかというのが最大の懸念だったが、それもリハビリトレーナーさんに言わせると「筋肉は無くなってしまったわけではない」・・筋肉の繊維が細くなっているだけで、筋繊維の数自体は変わっていないのだそうだ。そう言われると少し安心する。私のイメージでは筋肉がどんどん溶けて流出してしまっているような感じだったのだ(細くなった分は、そうなのだろうが)。筋肉が落ちたのもそうだが、脂肪もしっかり落ちているので「ここで頑張って筋肉付けていけば」筋肉質の格好いいボディが手に入るかも・・なんて考えたことも、ないとは言わない。