先にタイトルを付けて書き始めると、だんだんタイトルとは関係ない方向に文章が流れてしまうのはいつものこと。今回もどうなるか解らないが一応、プレドニンとお酒の関係について。
以前、ラムゼイ・ハント症候群というのを患ったことがあって、その時にも治療のためにプレドニンが処方された。ラムゼイ・ハント症候群は喉から顔面にかけての左右半分の神経が麻痺してしまう病気で、水疱瘡ウィルスが関係しているという。顔半分の筋肉が動かせなくなるので、会う人にぎょっとされるようなご面相になる。完治するかどうかはステロイド(プレドニン)の早期投与にかかっている。入院治療を勧める医師に「入院はできません」と頑なに拒否を続けて(その当時は破産直後でお金が全く無かったのだ)通院治療をすることになったが、プレドニンの綿密な服用スケジュールを作ってくれながら医師がさりげなく言ったのが「お酒飲まないでくださいね」の一言。プレドニン投与中はお酒は禁忌というイメージが私の頭に根付いたのは、そのためだ。無事にラムゼイ・ハント症候群が完治してプレドニンが処方されなくなってからは、また以前と同じように飲み始めていた。
今回の病気・・好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(チャーグ・ストラウス症候群、アレルギー性肉芽腫性血管炎)では入院治療だったので飲酒の問題は特に無かったが、そもそも飲める状況だったとしてもお酒は飲まなかっただろう。病気の前駆的症状だったと思うが飲食物に対しての強いアレルギー反応があって、フルーツ類や豆乳など一部の食品は摂取すると胸から肩、喉の付近が痛いような気持ち悪いようなどうにもならない状態になった。ひどい肩こりが上半身全体に広がったような状態と言えば、ご理解いただけるだろうか。アルコールでは特にアレルギー反応が強かった。わずか一口でも、アルコールを含む飲料を口にすると激しい症状にのたうち回ることになる。だから入院が決まった頃の私は、すでにお酒を飲まなくなっていたのだ。
退院が決まると、医師から生活に対しての注意事項を説明される。妻と息子も雑えての説明では主に「たくさんの人が集まるような環境には出られない」というように、私が普通の仕事・・会社勤めのようなことはできないのだということが説明された。妻の印象では、家族が患者に無理をさせないように説得しているようだったということだ。プレドニン投与によって感染しやすくなっているので、頑張って退院できるまでに治療を進めてきた医師としては、ここまで来て感染症なんかで努力を無駄にしたくない気持ちでいっぱいなのだろう。説明が終わってから気付いたのだが、飲酒に対しての注意はなかった。
医師の説明の後に、今度は薬剤師が説明に来てくれた。美しい女性で、はにかみながら一生懸命に説明するのが好ましく、私はいつもニコニコして説明を聞いていた。ふと思い出して「お酒は飲んでもいいんですか?」と聞いてみると、「うーん」としばし考えてから「実はプレドニンの注意事項には、お酒を飲んじゃいけないとは書いてないんですよ」とのこと。薬剤師が言うのだから間違いないのだろう。しかし「お酒自体が飲み過ぎれば体に良くないものだから、ほどほどにしてください」・・つまり、飲んでも差し支えないということだ。なるほど飲んでいいのかと思ったものの、少なくとも当面は私はお酒を飲もうとは思わない。
今回の病気で体の不調箇所が徹底的に洗い出されて治療が行われた結果、私はかつてないほどの健康体を手に入れることになった。こうなってみると、アルコールなどという胃壁を痛めるようなものを体内に流し込もうとは思えなくなるものだ。暴飲暴食を続けてきた人間がいい気なものだが、部屋を綺麗に掃除するとしばらくは汚さないように気をつけるというのと同じ心情なのだと思う。いつまで続けられるか解らないが、妻と息子のためにも健康でいなければならない。できるだけ続けてみようと、心ひそかに決意を固めている。